今、中学受験で何が起きているのか
中学受験の世界は、毎年少しずつ変化していますが、2025年から2026年にかけては「激変期」と言えるほど大きな転換点を迎えています。少子化が進む中でも受験者数は過去最高水準を維持し、学校側も時代に合わせた大胆な改革を次々と打ち出しています。
特に2026年度入試は「サンデーショック」という特殊事情が重なり、例年とは全く異なる受験戦略が必要になります。この記事では、最新データと具体的な対策をもとに、保護者の皆さまが今知っておくべき情報を徹底解説します。
1. 2025年度入試の振り返りと最新概況
受験者数は過去最多水準を維持
首都圏の中学受験者数は約5.2万人と、少子化が進む中でも高水準を保っています。これは首都圏の小学6年生の約5.5人に1人が私立中学を受験している計算になります。
なぜ減らないのか?
- 公立中学への不安(いじめ、学力格差)
- 大学附属校の安定した進学実績
- 中高一貫教育による先取り学習の魅力
- 教育への投資意識の高まり
「安全志向」と「中堅校人気」の顕著化
2025年入試で最も顕著だったのは、偏差値50〜60帯の学校の倍率上昇です。
- 最難関校(偏差値65以上):志願者が微減傾向
- 中堅上位校(偏差値55〜60):倍率が前年比1.2〜1.5倍に上昇
- 中堅校(偏差値50〜55):「確実に合格したい」層の流入で競争激化
背景にあるもの
- 経済的不透明感による「確実性」重視
- 「無理して最難関より、中堅で上位を狙う」という戦略的選択
- 中堅校の教育改革が評価されている
公立中高一貫校の動向
以前ほどの超高倍率(10倍超え)ではなくなりつつありますが、依然として5〜7倍程度の高水準を維持しています。
注目ポイント
- 適性検査型の出題が私立入試にも影響
- 「公立一貫校がダメなら私立」という層の存在
- 私立との併願パターンが定着化
2. 2026年度最大のトピック「サンデーショック」を完全理解
サンデーショックとは?
2026年2月1日が日曜日になることで起こる、数年に一度の特殊事象です。
何が起こるのか? キリスト教系の伝統校の多くが、日曜日の入試実施を避けるため、入試日を2月2日にずらします。これにより、例年では同日受験できなかった学校の組み合わせが可能になり、併願パターンが劇的に変化します。
具体的な影響:志望校別シミュレーション
【女子御三家の場合】
例年(通常年)
- 2月1日:女子学院 vs 桜蔭(どちらか一方しか受けられない)
- 2月2日:雙葉
2026年(サンデーショック)
- 2月1日:桜蔭、フェリス女学院
- 2月2日:女子学院、雙葉
→ 桜蔭と女子学院の両方を受験できる受験生が急増し、両校とも実質倍率が上昇する可能性が高い
【男子校の場合】
キリスト教系男子校は少ないため、女子校ほどの影響はありませんが、併願校選びの選択肢が広がる点で戦略の見直しが必要です。
日程変更を発表している主な学校(2025年12月時点)
| 学校名 | 通常年 | 2026年 |
|---|---|---|
| 女子学院 | 2月1日 | 2月2日 |
| 雙葉 | 2月1日 | 2月2日 |
| 白百合学園 | 2月1日 | 2月2日 |
| フェリス女学院 | 2月1日 | 2月1日のまま |
| 暁星 | 2月1日 | 2月2日 |
※最新情報は各校公式HPで必ず確認してください
面接廃止の動き
日程変更に伴うスケジュールの過密化を考慮し、白百合学園などが2026年入試から面接を廃止すると発表しています。
受験生へのメリット
- 複数校受験がしやすくなる
- 面接対策の負担軽減
- 学力試験に集中できる
3. 注目校と新設・改編トレンド
キーワードは「大学附属化」と「共学化」
【大学附属化の波】
明治大学付属世田谷中学校(2026年開校)
- 旧:日本学園中学校
- 明治大学への推薦枠を確保
- 立地の良さ(世田谷区)も魅力
- 初年度入試は高倍率が予想される
北里大学附属順天中学校(2026年〜)
- 現:順天中学校が系列校化
- 医学部・理系学部への推薦ルートが強化
- 理系志向の受験生に注目度急上昇
なぜ大学附属が人気なのか?
- 大学入試改革の不透明感
- 内部進学の安心感
- 中高6年間をのびのび過ごせる環境
【共学化・校名変更】
| 新校名 | 旧校名 | 開始年度 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 英明フロンティア | 東京女子学院 | 2026年 | 国際教育重視 |
| 鎌倉国際文理 | 鎌倉女子大中等部 | 2026年 | STEAM教育導入 |
共学化の背景
- 少子化による生徒募集の戦略的転換
- 時代に合わせた教育方針の刷新
- 男女共同参画社会への対応
【新設校】
羽田国際中学校(2026年開校予定)
- 国際バカロレア(IB)プログラム導入
- 羽田空港至近の立地
- グローバル教育に特化
明星Institution(2026年開校予定)
- 探究型学習を前面に
- ICT教育の充実
4. 入試問題の最新傾向:「思考力」がすべて
暗記だけでは通用しない時代へ
近年の入試問題は、知識の量よりも「考える力」「表現する力」を問う方向に大きくシフトしています。
【理科・社会】時事問題の定番化
2025年入試で出題された時事テーマ例
- 能登半島地震と防災対策
- 気候変動とカーボンニュートラル
- 生成AI(ChatGPTなど)の社会的影響
- パレスチナ問題などの国際情勢
- 大阪万博と SDGs
対策のポイント
- 日々のニュースに触れる習慣
- 子ども向けニュース番組(NHK「週刊ニュース深読み」など)の活用
- 親子での時事問題ディスカッション
【英語入試】もはや特別ではない
英語入試を実施する学校は約140校まで増加し、もはや「特別な入試」ではなくなりつつあります。
タイプ別の英語入試
- 英語選択型:4科か英語含む型を選択(三田国際、広尾学園など)
- 英語加点型:英検取得級に応じて加点(市川、栄東など)
- 英語1科型:英語のみで受験可能(かえつ有明など)
英検保持のメリット
- 英検準2級以上で加点や優遇措置がある学校多数
- 小学5〜6年で準2級取得者が増加中
- 英語を武器にできれば選択肢が広がる
【算数1科入試】午後入試の定番に
なぜ算数1科が増えているのか?
- 得意科目を活かせる
- 午後入試で複数回受験を促進
- 理系志向の受験生を獲得したい学校側の意図
注意点
- 難易度は4科型より高い傾向
- 「算数が得意」レベルでは厳しい場合も
- 過去問で難易度を必ず確認
5. 保護者が今すぐすべきこと:具体的アクションプラン
【2026年受験生の保護者】
① 最新の募集要項を必ず確認
- 学校公式HPを週1回チェックする習慣を
- 塾の情報だけに頼らない
- 説明会の日程変更にも注意
② サンデーショック対応の併願プラン見直し
- 昨年の合格実績は参考にならない
- 複数のシナリオを用意(A案、B案、C案)
- 塾の先生と最低2回は面談
③ 過去問演習の前倒し
- 6年生の夏休み前から着手
- 時間配分の練習を重視
- 併願校も含めて最低3年分は解く
【2027年以降受験生の保護者】
① 情報収集の習慣化
- 学校説明会への参加(4〜5年生から)
- 文化祭・体育祭の見学
- 在校生・卒業生の声を聞く
② 英語教育への投資
- 小学3〜4年生から英検対策を視野に
- オンライン英会話の活用
- 目標:小6で英検準2級
③ 思考力・記述力の土台作り
- 読書習慣の定着
- ニュースを見て親子で議論
- 作文・日記で表現力を磨く
まとめ:変化をチャンスに変えるために
2025〜2026年の中学受験は、「サンデーショック」「大学附属化」「共学化」という3つの大きな波が同時に押し寄せる、まさに激動の時代です。
しかし、変化は必ずしも脅威ではありません。正確な情報を早期にキャッチし、柔軟に対応することで、むしろ新たなチャンスが生まれます。
成功のカギ
- 最新情報への感度を高める
- 子どもの個性に合った学校選び
- 思考力重視の学習スタイルへの転換
中学受験は、合格がゴールではなく、子どもの将来への投資です。この記事が、お子さまの可能性を最大限に引き出すための一助となれば幸いです。
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