中学受験の費用というと学費や塾代に目が向きがちですが、出願の直前に効いてくるのが受験料(入学検定料)です。2027年度(令和9年度)入試の募集要項が出そろってきた埼玉・千葉の1月入試校を見ると、受験料は1回あたり20,000円から28,000円。複数回受験が当たり前になった今、「何回受けるといくらになるのか」は学校によって10,000円以上の差が出ます。

この記事では、2027年度の募集要項をすでに公開している8校について、受験料の金額と複数回出願の割引条件を要項から整理しました。数値はすべて各校が公表した2027年度(令和9年度)の生徒募集要項に基づいています。

2027年度1月入試の受験料は20,000円〜28,000円

まず全体像です。1回分の受験料は下表のとおりで、最も安いのが開智未来中学校の20,000円、最も高いのが渋谷教育学園幕張中学校市川中学校(第1回)の28,000円でした。埼玉校がやや低め、千葉の難関校が高めという傾向が見て取れます。

学校(所在地) 1回あたりの受験料 複数回出願の扱い
開智未来中学校(埼玉) 20,000円 20,000円で本校の複数回に加え開智学園6校すべて受験可
栄東中学校(埼玉) 25,000円 1〜2回25,000円/3回以上35,000円(5回まで)
大宮開成中学校(埼玉) 25,000円(算数選抜のみ10,000円) 2回目以降は1回5,000円(2回30,000円・3回35,000円)
城北埼玉中学校(埼玉) 26,000円 初回26,000円で2回分。以降1回追加ごとに5,000円
東邦大学付属東邦中学校(千葉) 26,000円 推薦・帰国生・前期・後期とも各26,000円。割引の記載なし
昭和学院秀英中学校(千葉) 26,000円 割引の記載なし
市川中学校(千葉) 第1回28,000円/第2回26,000円/12月帰国生26,000円 回ごとに納入。割引の記載なし
渋谷教育学園幕張中学校(千葉) 28,000円 一次・二次・帰国生とも各28,000円。割引の記載なし

表の右列を見ると、同じ「複数回受験」でも扱いが三つに分かれることが分かります。順に見ていきます。

割引の型は3つに分かれる

1. 定額で何回でも受けられる「パッケージ型」

もっとも思い切っているのが開智未来中学校です。要項には受験料20,000円で「本校の複数回および開智学園6校も20,000円ですべて受験できる」と明記されています。対象は開智未来・開智中学校・開智日本橋中学校・開智望中等教育学校・開智所沢中等教育学校・開智横浜国際中学校(仮称)の6校。同校は1月10日の第1回、1月11日の算数1科、1月12日のT未来のほか、1月15日の「開智併願」(開智中学校の特待II入試)、2月4日の「日本橋併願」(開智日本橋中学校の第4回入試)でも判定を受けられる仕組みで、20,000円という金額はグループ全体の入口として設計されています。募集定員は120名(T未来クラス60名・未来クラス30名・開智クラス30名)です。

栄東中学校も上限つきのパッケージ型です。要項の規定は「受験料25,000円で2回出願できる。3回以上出願する場合はプラス10,000円で5回まで出願できる」というもの。つまり1回でも2回でも25,000円、3回以上なら一律35,000円です。出願の組み合わせは任意で、あらかじめ複数回同時に出願しても、1回目の受験後に追加出願しても構わないと要項に明記されています。ただし東大特待の4教科型と算数重視型の両方に出願した場合は2回出願した扱いになる点に注意が必要です。入試日はI入試が1月10日、II入試が1月11日、東大特待(4教科型・算数重視型)が1月12日です。

2. 2回目以降が安くなる「追加型」

大宮開成中学校は初回25,000円、2回目以降は1回あたり5,000円という積み上げ方式です。要項には出願回数ごとの金額が1回25,000円・2回30,000円・3回35,000円と表で示され、複数回同時出願でなくても割引が適用されると注記されています。1月12日午後の算数選抜入試だけは扱いが別で、他の回の受験の有無に関わらず10,000円。4科目入試(第1回・特待生選抜・第2回)と組み合わせやすい価格設定です。

城北埼玉中学校も同じ追加型ですが、起点が異なります。要項では「初回受験料26,000円(2回分同時出願)、以降追加出願1回につき5,000円」とされ、さらに1回しか出願しない場合でも初回受験料は26,000円と明記されています。つまり最初から2回分がセットになっており、1回だけの受験には割高に働きます。同校は1月10日の特待入試と1月11日の第2回入試でGMOアリーナさいたまTOIRO(定員200名・先着順)を試験会場として選べるほか、1月18日に第4回、2月4日に第5回を実施します。

3. 回ごとに定額の「都度型」

千葉の難関校は、複数回出願の割引を設けていません。渋谷教育学園幕張中学校は一次(1月22日)・二次(2月2日)・帰国生(1月20日)のいずれも28,000円で、要項には割引の規定がなく、一次と帰国生の両方に出願する場合は出願サイトで「同時出願」を選ぶ手続き上の案内があるだけです。

市川中学校は回によって金額が違います。1月20日の第1回が28,000円、2月4日の第2回が26,000円、12月12日の帰国生入学試験が26,000円。第1回は幕張メッセ国際展示場で実施され、募集定員は280名です。なお同校の要項は現時点でリーフレット版のみの公開で、詳細版は9月下旬に学校ホームページへ掲載される予定と記載されています。

東邦大学付属東邦中学校は推薦・帰国生(英語選択型)・前期・後期の4区分すべてが26,000円で統一。昭和学院秀英中学校も26,000円です。いずれも要項に複数回出願による減額の記載はありません。

併願プラン別に受験料を試算する

ここまでの金額をもとに、よくある1月入試の組み方で総額を計算してみます(いずれも本記事による試算で、決済手数料は含みません)。

併願プラン 受験回数 受験料の合計
栄東I・II+大宮開成第1回 3回 50,000円(25,000+25,000)
栄東3回+大宮開成2回 5回 65,000円(35,000+30,000)
城北埼玉2回+開智未来(複数回) 4回以上 46,000円(26,000+20,000)
渋谷教育学園幕張一次+市川第1回+東邦大学付属東邦前期 3回 82,000円(28,000+28,000+26,000)
栄東I・II+渋谷教育学園幕張一次+市川第1回 4回 81,000円(25,000+28,000+28,000)

注目したいのは3行目と4行目です。受験回数が多いプランのほうが総額は安いという逆転が起きています。割引のある埼玉校を軸に組めば4回以上受けても5万円を切る一方、千葉の難関校を3回組むと8万円を超えます。「回数を減らせば安くなる」とは限らないことは、併願を検討する段階で押さえておきたい点です。

出願前に確認したい5つの注意点

1つ目は返金がないこと。渋谷教育学園幕張・東邦大学付属東邦・栄東はいずれも要項で「一度納入した受験料は返還しない」旨を明記しています。受験しなかった回の分も戻りません。

2つ目は決済手数料が別にかかること。栄東は「受験料のお支払いには別途手数料がかかります」、城北埼玉は「決済方法によって手数料が異なります」と要項に記載しています。クレジットカード・コンビニ・ペイジー(金融機関ATM)などから選ぶ形式が主流で、手数料は決済方法によって変わります。

3つ目は納入後の変更ができないこと。城北埼玉は決済完了後の取り消し・受験日・試験会場の変更を一切認めないとしています。東邦大学付属東邦も受験料の支払い完了後は出願情報の変更・修正ができません。会場や日程の選択は、支払いボタンを押す前に確定させる必要があります。

4つ目は外部会場の定員。城北埼玉のGMOアリーナさいたまTOIROは定員200名の先着順で、超過した場合は本校会場での受験になります。会場を選びたい場合は出願開始直後に手続きするのが確実です。

5つ目は特殊な入試回の料金。大宮開成の算数選抜入試のように、1教科入試だけ金額が別立て(10,000円)になっている例があります。「複数回割引の対象に入るのか」は要項の注記まで読んで確認してください。

今後のスケジュール

受験料の支払いは出願手続きの一部です。2027年度の主な出願開始日は次のとおりで、いずれもWeb出願です。

学校 出願開始 備考
栄東中学校 2026年12月1日(火)10:00 3回以上の追加出願は受験後でも可
大宮開成中学校 2026年12月1日(火)9:00 第1回の締切は2027年1月8日(金)23:00
開智未来中学校 2026年12月1日から出願サイトにアクセス可能 開智学園6校の判定希望はチェック欄で選択
城北埼玉中学校 2026年12月14日(月)9:00 受験者情報の入力は12月1日(火)10:00から可能
渋谷教育学園幕張中学校 2026年12月15日(火)9:00(一次) 一次の締切は2027年1月10日(日)15:00。二次は1月24日9:00から
市川中学校 2026年12月15日(火)12:00(第1回) 第1回の締切は2027年1月16日(土)15:00。第2回は1月22日13:00から

10月以降は東京・神奈川の私立校が2027年度の募集要項を順次公開します。市川中学校のように詳細版を9月下旬に出す学校もあるため、受験料の最終確認は出願直前にもう一度行うのが安全です。

よくある質問

受験しなかった回の受験料は返ってきますか

返ってきません。今回確認した8校はいずれも、一度納入した受験料を返還しない旨を要項に記載しています。複数回分をまとめて支払う栄東や城北埼玉の方式でも同じで、体調不良などで受験を見送った回の分は戻らないと考えてください。合格して以降の回を受けない場合も同様です。

割引を受けるには同時に出願しないといけませんか

学校によります。大宮開成中学校は「複数回同時出願でなくても受験料の割引は適用されます」と明記し、栄東中学校も出願の組み合わせは任意で1回目の受験後に追加出願しても差し支えないとしています。一方、城北埼玉中学校の初回26,000円は2回分の同時出願を前提とした金額です。1回目の結果を見てから追加したい場合は、その学校の規定を出願前に確認してください。

受験料のほかに、出願段階でかかるお金はありますか

決済手数料が別途かかります。金額は決済方法によって異なり、栄東中学校と城北埼玉中学校は要項でその旨を注記しています。加えて、合格後の入学手続では入学時納入金が必要です。昭和学院秀英中学校は300,000円(入学金150,000円+入学時施設費150,000円)、東邦大学付属東邦中学校は入学金340,000円と要項に示されています。受験料だけでなく、合格した場合に動くお金までを含めて資金計画を立てておくと安心です。

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出典

最終更新: 2026年9月8日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)
合格之助(中村先生)

中学受験専門塾で長年、受験生と保護者の進路相談を担当している中村です。偏差値・倍率・過去問傾向・学校ごとの出題特徴をもとに、志望校選びをわかりやすくサポートしています。

特に得意なのは、単に偏差値だけで学校を判断するのではなく、
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