中学入試は、合否だけが返ってきて点数は返ってこない——そう思っている保護者が多い。実際、首都圏の私立中学で入試の得点を受験生に伝える学校はごく少数である。ただし「少数」は「ゼロ」ではない。2027年度(令和9年度)の募集要項を1校ずつ読むと、合格発表の画面にそのまま個人の得点を表示する学校があり、不合格だった受験生に限って窓口で点数を見せる学校があり、素点ではなく5段階のランクだけを返す学校がある。

得点が分かることの価値は、合否の納得感だけではない。1月入試の得点は、2月1日以降の出願を組み替える材料になる。4科のどこで落としたのかが数字で分かれば、残り2週間の詰め方も、押さえ校のラインも変わる。逆に、点数が出ない学校しか受けていなければ、その判断はすべて模試の偏差値と感触に頼ることになる。

本稿では、2027年度の生徒募集要項・入試ページ・よくある質問を確認して得点または成績の開示が明記されていた私立5校を整理し、あわせて「開示の記載がなかった学校」「開示しないと明記した学校」、そして制度として開示請求ができる公立中高一貫校の手続きを並べる。数値・日程はすべて各校公式および教育委員会の公表資料で照合した。

2027年度入試で得点・成績の開示を明記した私立5校

開示の形は3通りに分かれた。合格発表と同時に画面上で見せる「発表同時型」、不合格者からの申請を受けて見せる「申請型」、そして点数ではなくランクを返す「段階開示型」である。開示されるものが「自分の点数」なのか「合格ラインとの距離」なのかは、学校によってまったく違う。

学校(所在) 開示のしかた 開示される内容 対象 時期
大宮開成中学校
(埼玉)
合格発表サイト上(発表と同時) 合否結果・個人の得点・合格ライン点数 受験者 第1回1月11日/特待生選抜・算数選抜1月13日/第2回1月15日の各午前11:00〜
栄東中学校
(埼玉)
インターネットの合格発表(要項に「得点開示あり」と明記) 得点 Ⅰ入試・Ⅱ入試・東大特待・Ⅲ入試の受験者 1月11日/12日/13日/17日の各10:00〜
獨協埼玉中学校
(埼玉)
合格発表にあわせた「成績開示」 5段階のランク(素点ではない) 受験者 合格発表は1月11日22時/12日20時/17日19時
国府台女子学院
(千葉)
本部事務局の窓口で閲覧(申請書を提出) 受験科目の個別点数および総合得点 不合格だった者のみ 令和9年3月1日〜31日(10:00〜13:00・要事前電話)
本郷中学校
(東京)
学校ホームページからリンクする外部サイト(受験番号+自分で設定したパスワード) 受験回の得点 不合格者で希望する者のみ(合格者への開示はなし) 合格発表から2月6日15:00まで

5校のうち4校が埼玉・千葉、すなわち1月入試を実施する県の学校である。1月の結果を2月の出願に生かす受験生が多い地域で開示が進んでいる、という対応関係がはっきり出ている。

発表同時型:大宮開成と栄東は画面に点数が出る

大宮開成中学校の令和9年度要項は、第VII章そのものが「合格発表・得点開示」という見出しになっている。試験日は第1回が1月10日午前、特待生選抜が1月12日午前、算数選抜が1月12日午後、第2回が1月14日午前で、発表はそれぞれ翌日・翌々日の午前11:00から学校ホームページ内の合格発表サイト。要項は「発表では、合否結果・個人の得点・合格ライン点数を開示します」と書いている。自分の点数と、その回の合格ラインが同じ画面に並ぶため、何点足りなかったのかが即座に分かる構造である。

注意したいのは、同じ学校でも中学と高校で扱いが逆だという点だ。大宮開成の高校の令和9年度要項には、合格発表の欄に「得点の開示はおこなっておりません」と明記されている。中学の運用を高校にも当てはめることはできない。

栄東中学校の令和9年度生徒募集要項は、入試日程表の「合格発表日(インターネット)」の欄に、時刻と並べて「(得点開示あり)」と刷り込んでいる。記載があるのはⅠ入試(1月10日実施・発表1月11日)、Ⅱ入試(1月11日実施・発表1月12日)、東大特待(1月12日実施・発表1月13日)、Ⅲ入試(1月16日実施・発表1月17日)の4日程で、いずれも発表は10:00から。帰国生Ⅱ入試・帰国生Ⅲ入試の欄には得点開示の記載がないので、同じ学校でも日程によって扱いが分かれる。

なお栄東は合否判定について「各日程とも合計点数で合否判定をします。各教科ごとの最低基準点は設けません」と要項に書いており、Ⅲ入試ではⅠ入試・Ⅱ入試・東大特待のいずれかを受験していれば合計得点に30点(国語・算数各10点、社会・理科各5点)が加点される。開示された得点を読むときは、この加点込みの数字かどうかを意識する必要がある。

段階開示型:獨協埼玉は点数ではなく5段階のランク

獨協埼玉中学校の2027(令和9)年度要項には「成績開示」という独立した欄があり、そこにはこう書かれている。「受験者の成績を以下の5段階で開示します。・合格基準点以上3段階:A1(上位)・A2(中位)・A3(下位)/・合格基準点未満2段階:V1(上位)・V2(下位)」。

区分 記号 意味
合格基準点以上 A1 / A2 / A3 上位/中位/下位
合格基準点未満 V1 / V2 上位/下位

素点は出ないが、「合格ラインのすぐ下(V1)だったのか、大きく届かなかった(V2)のか」は分かる。併願校を下げるべきか、同じレンジで押し切れるかという判断には、素点より直接的に効く情報である。獨協埼玉の2027年度入試は英語資格入試(1月10日午後)・第1回(1月11日)・第2回(1月12日)・第3回(1月17日)の4日程で、合格発表はインターネットのみ、1月11日22時・1月12日20時・1月17日19時に行われる。

この学校は第3回入試に20点の加点制度も置いている。第1回入試の出願期間に第3回を含めて複数回出願し、その入試を欠席せずに受験し、結果が不合格で、そのうえで第3回を受験した場合に20点が加点される。英語資格入試では英語検定3級以上の資格に15点が加点される。ランク開示を読むときは、これらの加点が反映された後の成績だという前提で見ることになる。

申請型:国府台女子学院と本郷は「不合格者だけ」に開示する

千葉の国府台女子学院は、2026年10月1日に「令和9年度入学 児童・生徒募集に伴う試験成績(個人情報)の開示・申請について」を学院サイトに掲載した。2027年度入試に向けた開示ルールとして、現時点で最も新しい公表である。

内容を要約すると、開示の対象は小学部・中学部・高等部の入試を受験して不合格だった者に限られる。本人または法定代理人が「国府台女子学院入試情報開示申請書(別紙様式1)」を本部事務局に提出し、受験票などで本人確認を受けたうえで、その場で閲覧する方式である。中学部で開示されるのは「受験科目の個別点数及び総合得点」。申請書には出願区分として中学部の「1. 推薦入試/2. 第1回入試/3. 第2回入試」が並んでおり、3回すべてが対象になる。

項目 国府台女子学院(中学部)の運用
対象 受験して不合格だった者(本人または法定代理人)
開示内容 受験科目の個別点数および総合得点
方法 入試情報開示申請書(別紙様式1)を本部事務局へ提出し、その場で閲覧
受付期間 令和9年3月1日〜31日(期間中の日曜・祝祭日・学院休業日を除く)
受付時間 10時〜13時。事前に電話で日時を調整のうえ来校
本人確認 受験票または在籍校の生徒証など1点

東京の本郷中学校は、要項の「合格発表後の得点開示」欄で「合格者への得点の開示はありません」とまず断ったうえで、「不合格の場合で、ご希望の方には本校ホームページからリンクする外部サイトにて受験回の得点を公開します」と書いている。閲覧には受験番号と、別途設定するパスワードが必要で、公開期限は第1回・第2回・第3回とも合格発表から2月6日15:00まで。要項には「電話での問い合わせにはお答えできません」とも明記されている。

本郷の「よくある質問」側にも同じ趣旨の回答があり、あわせて「合否は4科の合計得点のみで決めますので、教科ごとの足切り点もありません。ただし、1科でも0点があった場合には不合格となります」と説明されている。

この2校の共通点は、開示が不合格者のための制度として設計されていることだ。合格した受験生が自分の点数を知る手段は用意されていない。

「開示あり」と書いていない学校はどうなのか

開示が明記されていない場合、要項を読むだけでは「制度がない」のか「書いていないだけ」なのかは判別できない。ただし、要項やよくある質問に開示しないと明記している学校もある。

安田学園中学校は入試のよくある質問で「入試の成績開示はしていますか?」という問いに対し「入試の成績開示は行っておりません」と回答している。先に触れた大宮開成の高校要項も「得点の開示はおこなっておりません」と書く。つまり、学校側が意識的に開示しない選択をしているケースがある。

一方、2027年度(令和9年度)の募集要項本体をすべて読めた学校のうち、開示・照会に関する記載が1件も見つからなかったのが次の各校である。「制度がない」と断定するものではなく、要項に書かれていないため出願前に確認が必要な学校という意味で挙げる。

学校 確認した資料(2027年度/令和9年度) 開示に関する記載
昭和学院秀英中学校 2027年度 生徒募集要項(PDF) なし
世田谷学園中学校 2027年度 募集要項(PDF) なし
佼成学園中学校 2027年度 中学入試要項(PDF) なし
東京成徳大学中学校 2027年度 募集要項(PDF) なし
開智未来中学校 令和9年度 中学生募集要項(確定版・PDF) なし
麗澤中学校 入試要項ページ(2027年度) なし

開智未来中学校については注意が必要だ。同校の「10月イベントの案内」(2026年9月25日掲載)には「計算基礎や読解基礎は、実践的な演習を行い、得点開示を行います」という記述があるが、これは10月24日に実施する「第1回探究型入試演習」という事前イベントの説明であって、1月10日の探究1入試・1月11日の探究2入試そのものの得点開示を意味しない。同校の令和9年度要項本体に開示の規定はない。「得点開示」という語が入試本番ではなく事前演習を指している例で、検索で拾った一文だけで判断すると取り違えやすい。

公立中高一貫校は制度として開示請求ができる

私立と対照的に、公立中高一貫校では個人情報の開示請求という手続きが制度化されている。東京都教育委員会は「令和8年度東京都立中等教育学校及び東京都立中学校入学者決定における本人得点等の開示について」を公表し、適性検査等の得点の開示を請求できることを明示している(令和9年度版は本稿執筆時点で未公表)。

項目 都立中等教育学校・都立中学校の運用(令和8年度)
開示を請求できる内容 検査得点表(適性検査および作文、面接、実技検査の得点)
申請方法 (1) SaaS型共同電子申請サービスによる電子申請 (2) 開示請求書による各校窓口での申請
受付期間 各募集の合格発表日以後で各校が定める日から令和8年8月31日まで
受領時の持ち物 受検票や身分証明書など本人確認書類。保護者が受領する場合は受検票+保護者の身分証明書+関係を証明するもの(住民票の写しなど)
期間外の請求 個人情報の保護に関する法律に基づく請求が必要

具体的な日付は学校ごとに定められる。東京都立立川国際中等教育学校の令和8年度の案内では、開示請求の受付期間が令和8年2月16日から8月31日まで、検査得点表の交付期間が令和8年3月2日から8月31日まで(追検査分は3月16日から)とされ、交付開始日以降は請求と受領を同日に行える(即日交付)と書かれている。受付時間は平日の9:00〜16:30。併願した場合はそれぞれについて申請が必要で、交付期限までに受領しなければ再度の申請が必要になる。

同校の附属小学校の案内では、令和7年11月実施分について受付期間が令和7年12月2日から令和8年8月31日まで、交付は令和8年2月12日から——と実施時期に応じて日程が前倒しされている。検査を受けた時期によって受付の起点が変わるということである。

なお神奈川県の令和9年度県立中等教育学校入学者募集に関する実施要領(相模原・平塚)には、得点開示に関する記載は含まれていなかった。公立であっても、要領本体に書かれているとは限らない。

保護者・受験生への影響と対策

整理すると、2027年度入試で得点が分かる学校の選び方には次のような実務上の意味がある。

1月入試で「発表同時型」の学校を1校入れておくと、2月の判断材料が増える。大宮開成は合格ラインまで出る。栄東は得点が出る。獨協埼玉はランクが出る。いずれも1月前半の発表なので、2月1日の出願・併願の組み替えに間に合う。逆に、1月入試を点数の出ない学校だけで組むと、本番の素点データがないまま2月に入ることになる。

「不合格者のみ開示」の学校は、受けた後に動く必要がある。国府台女子学院は3月1日〜31日の平日10時〜13時に、電話予約のうえ来校して閲覧する。本郷は2月6日15:00で公開が終わる。いずれも締切つきの手続きで、放っておくと権利が消える。特に本郷の2月6日は、まだ2月入試の最中である。不合格の通知を受けた時点で、見るか見ないかを決めておいたほうがよい。

パスワードと受験票は捨てない。本郷は受験番号と自分で設定したパスワードが必要、国府台女子学院は受験票などでの本人確認が必要、都立中は受検票の提示が必要である。開示を使う可能性があるなら、受験票と出願時に設定した各種パスワードは3月末まで保管しておく。

要項に書いていない学校は、説明会で直接聞く。開示の有無は募集要項に必ず載る項目ではなく、よくある質問や入試結果ページ側に置かれていることもある。秋以降の入試説明会は、要項に書かれていない運用を確認できる唯一の場でもある。

一点、過度な期待は避けたい。開示されるのは得点やランクであって、答案そのものや採点の内訳が返ってくるわけではない。本郷が「電話での問い合わせにはお答えできません」と明記しているように、点数の根拠を学校に問い合わせることは想定されていない。

今後のスケジュール

時期 開示に関して起きること
2026年10月〜11月 東京・神奈川校の2027年度要項の詳細版が出そろう。開示規定が追記される可能性がある
2026年12月1日 埼玉・千葉の多くの学校でインターネット出願が開始(大宮開成・栄東・獨協埼玉はいずれも12月1日10:00〜)
2027年1月11日〜17日 大宮開成・栄東・獨協埼玉の合格発表。発表と同時に得点またはランクが開示される
2027年2月6日15:00 本郷の得点公開が終了(第1回〜第3回すべて)
2027年2月中旬〜 都立中の本人得点開示請求の受付開始(各校が定める日から)
2027年3月1日〜31日 国府台女子学院の開示申請受付(平日10:00〜13:00・要予約)
2027年8月31日 都立中の開示請求受付・交付の期限(令和8年度の例に準じる場合)

よくある質問

合格した場合でも自分の得点は分かりますか

学校によります。大宮開成・栄東・獨協埼玉のように合格発表の画面で開示する方式であれば、合格者も自分の得点やランクを見ることができます。一方、国府台女子学院は「受験し不合格だった者に限り」申請に基づいて開示すると明記しており、本郷も「合格者への得点の開示はありません」と要項に書いています。この2校の方式では、合格した場合に点数を知る手段はありません。

要項に開示の記載がない学校に、点数を問い合わせることはできますか

要項に記載のない開示を個別に求めても、応じてもらえるとは限りません。本郷は開示制度を持っている学校ですが、それでも要項に「電話での問い合わせにはお答えできません」と明記しています。開示の有無や方法は学校が定める運用であり、問い合わせで変わるものではないと考えたほうがよいでしょう。知りたい場合は、出願前の入試説明会で制度として開示があるかを確認するのが確実です。

都立中高一貫校の得点開示は、受検した本人以外も請求できますか

保護者(法定代理人)も請求・受領できますが、提示する書類が増えます。東京都教育委員会の案内では、保護者が開示を請求する場合は受検票と保護者の本人確認ができるものの両方を提示し、受領する場合はさらに受検者と保護者との関係を証明するもの(住民票の写しなど)が必要とされています。電子申請の場合は、通知メールの内容に加えてこれらの書類を窓口で提示します。

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出典

最終更新: 2026年10月4日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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