2027年度(令和9年度)中学入試の募集要項が、埼玉・千葉の私立中学を中心に出そろってきた。要項を読み比べて最初に驚くのは、「4科目入試」と一口に言っても満点が300点・350点・400点・450点とばらばらで、同じ学校の中でも受験回によって科目数も配点も変わることだ。

この記事では、2027年度の生徒募集要項を公開済みの12校について、試験科目・試験時間・配点を各校公式の要項から拾い出して整理した。数字はすべて2027年度(令和9年度)版の要項に記載されたもので、前年度の資料は使っていない。志望校の過去問に取りかかる前に、「その学校が何を何点で測ろうとしているのか」を確認しておきたい。

同じ「4科目」でも満点は300点から450点まで違う

国語・算数・社会・理科の4科目で受ける入試でも、社会と理科の扱いは学校ごとに大きく異なる。4科を均等配点にする学校もあれば、社会・理科を国語・算数の半分の重みに抑える学校もある。

学校(入試回) 国語 算数 社会 理科 満点
市川中学校(第1回・第2回) 100点/50分 100点/50分 100点/40分 100点/40分 400点
東邦大学付属東邦中学校(前期) 100点/45分 100点/45分 100点/45分 100点/45分 400点
渋谷教育学園幕張中学校(一次・二次) 100点/50分 100点/50分 75点/45分 75点/45分 350点
東邦大学付属東邦中学校(推薦・後期) 100点/45分 100点/45分 50点/30分 50点/30分 300点
昭和学院秀英中学校(第1回) 100点/50分 100点/50分 50点/40分 50点/40分 300点
城北埼玉中学校(第1回ほか4科) 100点/50分 100点/50分 50点/30分 50点/30分 300点
栄東中学校(A日程・B日程) 100点/50分 100点/50分 社会・理科あわせて100点/計50分 300点
大宮開成中学校(4科目入試) 100点/50分 100点/50分 社会・理科あわせて計50分・各50点 300点
麗澤中学校(第1回・第2回 4科型) 100点/50分 100点/50分 50点/30分 50点/30分 300点
山脇学園中学校(一般A・C) 100点/50分 100点/50分 60点/30分 60点/30分 320点
栄東中学校(東大特待 4教科型) 150点/50分 150点/50分 75点/40分 75点/40分 450点

注目したいのは東邦大学付属東邦中学校だ。募集人員240名と最大規模の前期入試は4科すべて100点の均等配点だが、12月の推薦入試(40名)と2月3日の後期入試(20名)は社会・理科が各50点・各30分に落ちる。同じ学校を3回受けるつもりなら、回によって理社の重みが半分になることを前提に対策の配分を決める必要がある。

社会と理科を1つの時間枠でまとめて実施する学校も増えている。栄東中学校のA日程・B日程は社会・理科あわせて計50分・100点、大宮開成中学校も社会・理科あわせて計50分で各50点。大宮開成中学校の要項には「社会・理科の試験はどちらから解答を始めても構いません」と明記されており、2科目分の時間配分を受験生自身が決める形式になっている。

2科・4科の選択制は「判定方法」で有利不利が決まる

「2科目でも4科目でも受けられます」という入試は多いが、合否をどう決めるかは学校ごとに違う。ここを読み飛ばすと、科目選択を誤りかねない。

学校 選択の仕組み 判定方法
森村学園中等部 2科目または4科目 4科目受験者は国語100・算数100・社会75・理科75の合計350点を200点満点に換算し、その換算得点と国語・算数2科目の合計得点を比べて高い方を判定点とする
城北埼玉中学校(第2回・第3回) 2科目200点または4科目300点 全受験者から国算2科目の得点順に合格者の75%程度を選抜し、さらに4科目受験者から25%程度を選抜する
麗澤中学校(第1回・第2回) 4科型または3科型(国・算・英) 出願時に型を選ぶ。3科型は若干名の枠
富士見丘中学校(一般入試) 2科目、または国算+理社から1科目の3科目 国語・算数は各100点/45分、理科・社会は50点/30分
開智未来中学校(第2回) 4科・3科・2科から選択 4科は社会50点・理科50点をあわせて40分、3科は国算+英語100点、2科は国算のみ

森村学園中等部の方式は、4科目で受けても2科目分の得点が上回ればそちらで判定されるため、理社が不利に働かない。一方で城北埼玉中学校は、まず全員を国算2科で並べて4分の3を決め、残りの4分の1を4科受験者から選ぶ二段構えになっている。4科目で受けることが「追加のチャンス」として設計されているわけだ。

算数1科・国語1科入試は5校で実施

1科目だけで合否が決まる入試は、2027年度も各校で継続・拡大している。試験時間が通常より長く設定され、配点も100点や120点に増えているのが共通点だ。

学校(入試名) 科目 時間・配点 備考
大宮開成中学校(算数1科目入試) 算数 60分・120点 算数1科目の点数の上位者から「3年特待合格」「1年特待合格」「T合格」の順に選抜
麗澤中学校(第3回 1科型) 算数 65分・120点 同じ第3回の2科型は国算各50分・各100点。1科型は本校会場のみ
開智未来中学校(算数1科) 算数 60分・100点 外部会場の集合は14時20分
城北埼玉中学校(第5回) 算数 50分・100点 全6回のうち唯一の1教科入試
山脇学園中学校(国語1科・算数1科) 国語または算数 各60分・各100点 2月1日午後実施。国語1科・算数1科あわせて50名

算数1科入試は「算数が突出して得意な受験生の枠」と見られがちだが、大宮開成中学校のように特待生の選抜と直結している場合、上位層の併願先として機能する。麗澤中学校の1科型が65分・120点と、2科型の算数(50分・100点)より時間も配点も大きいのは、1科目で判定するぶん問題量と難度で差をつける設計だからだろう。

傾斜配点と独自科目 – 学校が測りたい力が配点に出る

科目数だけでなく、配点の傾斜そのものがメッセージになっている入試がある。

算数に極端な重みを置く入試

もっとも極端なのは栄東中学校の東大特待入試だ。4教科型(国語150・算数150・社会75・理科75=450点)と並んで「算数重視型」が用意されており、こちらは国語150点・算数300点の450点満点。算数1科目で全体の3分の2を占める。要項には4教科型と算数重視型の両方に出願できると明記されている。

昭和学院秀英中学校の午後特別入学試験(募集30名、集合14時30分)も算数に寄せた設計で、国語40分・60点に対して算数は60分・120点の合計180点満点。同校の第1回が300点満点、第2回が国算2科の200点満点であることを考えると、3つの回で満点も科目構成もすべて異なる。

城北埼玉中学校の特待入試は、算数50分・100点と理科40分・70点の2科目170点という珍しい組み合わせだ。国語を使わず、算数と理科だけで理系適性を測る。

教科の枠を組み替えた独自科目

開智未来中学校は、従来の教科名とは異なる科目で入試を組んでいる。1月10日午前の「探究1」は、計算基礎50点(20分)・読解基礎50点(30分)・探究(科学)100点(40分)の200点満点。翌11日午前の「探究2」は探究(社会)100点、または英語100点を選ぶ形になる。基礎学力を短時間で測り、残り半分を探究型の問題に充てる構成だ。1月12日午後の「T未来」は国語・算数・理科の3科各100点・各40分で300点満点となる。

山脇学園中学校の「理数探究入試」(2月3日午後・20名)は、算数40分・50点と理科40分・50点の100点満点。要項には算数が「算数的思考力をはかる問題」、理科が「生活の中での科学をテーマとした問題」と説明されている。同じ学校の一般入試A・Cが320点満点であることと比べると、測ろうとしている力がまったく違うことがわかる。

面接に配点がある入試

富士見丘中学校のWILL入試(募集40名)は、国語50点(30分)・算数50点(30分)に加えて面接20点(5〜10分)という配点で、合計120点満点。要項には学科試験が基礎的な問題構成であること、面接で「本校で学びたい意志・意欲(WILL)」を評価することが明記されている。面接が加点や参考ではなく、明確な配点として組み込まれている例だ。

同校のグローバルアスリート入試(5名)は国語・算数から1科目(50点/30分)と作文(50点/30分)、面接20点。国際生入試(5名)は英語エッセイ100点(45分)と基礎日本語作文30点(30分)で構成される。1つの学校の中に、120点満点から200点満点まで5種類の入試が並ぶ。

保護者・受験生への影響と、いま取るべき対策

配点の違いは、そのまま過去問対策の優先順位に直結する。押さえておきたいのは次の3点だ。

1. 志望校の「満点」を紙に書き出す。 4科均等の400点満点校(市川中学校・東邦大学付属東邦中学校の前期)と、理社が半分の300点満点校(昭和学院秀英中学校の第1回、城北埼玉中学校の第1回)では、理社1問の重みが2倍違う。併願校がこの両方にまたがっている場合、「理社をどこまでやるか」の判断が変わる。

2. 同じ学校でも回ごとに別物と考える。 東邦大学付属東邦中学校は前期が4科均等400点、推薦・後期が300点。昭和学院秀英中学校は午後特別180点・第1回300点・第2回200点。城北埼玉中学校は全6回で300点・170点・200点・100点と変わる。「第2回の過去問を解いたから第1回も大丈夫」とはならない。

3. 試験時間の長さを本番前に体感しておく。 麗澤中学校の1科型は算数65分、大宮開成中学校の算数1科目入試と開智未来中学校の算数1科、山脇学園中学校の国語1科・算数1科はいずれも60分。通常の50分より10〜15分長い試験を最後まで集中して解ききる練習は、直前期に入る前に済ませておきたい。

あわせて確認したいのが、社会・理科を1つの時間枠でまとめる方式への慣れだ。栄東中学校と大宮開成中学校はいずれも社会・理科で計50分。1科目あたり25分の感覚で解き進める練習が要る。

今後のスケジュール

時期 確認すること
2026年9月下旬 市川中学校が募集要項の詳細版を学校ホームページに掲載予定(リーフレット版に明記)
2026年10月 東京・神奈川の私立中学が2027年度要項を順次公開。科目・配点の変更はここで確定する
2026年11月〜12月 出願開始。東邦大学付属東邦中学校の推薦入試は11月2日10時〜11月16日、前期は12月3日10時〜1月8日13時
2026年12月1日 東邦大学付属東邦中学校の推薦入試・帰国生入試(英語選択型)
2026年12月12日 市川中学校の12月帰国生入学試験(英語Ⅰ・英語Ⅱ・国語・算数の各100点)
2027年1月10日〜 埼玉入試開始。栄東中学校のA日程(1月10日)・B日程(1月11日)・東大特待(1月12日)、開智未来中学校の探究1(1月10日)
2027年1月20日〜 千葉入試開始。市川中学校の第1回(1月20日)、昭和学院秀英中学校の午後特別(1月20日)・第1回(1月22日)、渋谷教育学園幕張中学校の一次(1月22日)
2027年2月1日〜 東京・神奈川入試開始。山脇学園中学校の一般A・国語1科・算数1科、富士見丘中学校のWILL入試ほか

よくある質問

2科目と4科目、どちらで受けるのが有利ですか。

学校の判定方法によって答えが変わる。森村学園中等部のように4科目の合計を2科目分に換算し、国算2科の合計と比べて高い方を採用する学校では、4科目で受けても不利にならない。一方で城北埼玉中学校の第2回・第3回は、まず全受験者を国算2科の得点順に並べて合格者の75%程度を決め、そのうえで4科目受験者から25%程度を選ぶため、4科目受験は合格機会が1つ増える形になる。要項の「選抜方法」の欄を必ず読み、判定の順序を確認してほしい。

算数1科入試は算数が得意な子だけのための入試ですか。

算数1科入試は試験時間が60分前後と長く、配点も100点や120点に設定されているため、算数の実力がそのまま結果に出る。ただし大宮開成中学校のように算数1科の点数の上位者から3年特待・1年特待・T合格の順に選抜する学校もあり、特待生を狙う層の併願先としての性格も強い。算数が得意な受験生にとっては、午後の枠で合格を1つ確保しつつ特待の可能性も探れる選択肢になる。

同じ学校なのに回によって満点が違うのはなぜですか。

回ごとに募集人員や狙う受験生層が異なるためだ。東邦大学付属東邦中学校は募集240名の前期を4科均等の400点満点とする一方、40名の推薦入試と20名の後期入試は理社を各50点に抑えた300点満点にしている。昭和学院秀英中学校の午後特別入学試験(30名)が国語60点・算数120点の算数重視になっているのも、午後入試という枠で算数の力を短時間で見る設計だからと考えられる。志望校の要項は「回ごとに1枚ずつ」読むのが安全だ。

なお本記事の数値は、2026年9月13日時点で各校が公開している2027年度(令和9年度)生徒募集要項に基づく。要項は今後改訂される場合があるため、出願前には必ず各校公式サイトの最新版を確認してほしい。

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出典

最終更新: 2026年9月13日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)

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