2027年度(令和9年度)の募集要項が出そろってくると、日程や受験料の欄と並んで「優遇措置」「資格評価制度」「英語利用入試」といった見慣れない項目が目に入ります。中身は多くの場合、実用英語技能検定(英検)などの資格を入試の点数に反映させる仕組みです。

この記事では、2027年度の募集要項をすでに公開している学校のうち、英検を合否判定に使うことを要項で明記している9校について、何級で何点なのか、いつまでに取得した級が有効なのか、どの入試回が対象なのかを整理しました。数値と日程はすべて各校が公表した2027年度(令和9年度)の生徒募集要項および学校公式のお知らせに基づいています。

英検の使われ方は3種類。「加点」「換算」「出願資格」

まず全体像です。同じ「英検が使える」でも、点数への効き方はまったく違います。要項を読むときは、次の3つのどれに当たるかをまず見分けてください。

仕組み 効き方の目安 本記事の該当校
加点型 当日の総合点に数点〜20点を上乗せ 5〜20点。合否ラインの上下1〜2問分 共立女子麗澤中学校森村学園清風南海金蘭会
換算型(みなし得点) 英検の級を1科目分の得点に置き換える 70〜100点。科目1つ分が確定する 三輪田学園富士見丘
出願資格型・英語受験型 一定の級がないとその入試回に出願できない、または英語の筆記試験を受ける 点数ではなく受験枠そのものが変わる 山脇学園、三輪田学園、芝浦工業大学柏

影響が大きいのは換算型です。三輪田学園の英検利用入試は2級以上で100点、富士見丘の英語資格入試は英検準1級以上で100点満点になります。2科目のうち1科目が満点で確定するのと同じ意味を持ちます。一方の加点型は5〜20点で、当日の学力試験がほぼ勝負を決める点は変わりません。

加点型。総合点に何点上乗せされるか

加点型5校の点数を、要項の記載どおりに並べます。

学校(所在地) 対象の入試回 英検の級と加点 注意点
共立女子(東京・千代田) 2月3日午後2科入試(募集55名) 1級から3級までで最大10点 2027年度から新設された方式
共立女子(海外帰国生入試) 2026年11月29日実施分から 1級から3級までで15点〜5点 従来の得点換算は廃止
麗澤(千葉・柏) 第1回・第2回・第3回のすべて 3級5点/準2級・準2級プラス10点/2級以上15点 帰国生15点との重複加点はなし
森村学園(神奈川・横浜) 第2回(2月2日)の英語利用のみ CSE1456〜1727点(3級)+5点/1728点以上(準2級以上)+10点 4級は加点対象外。級の合否に関わらずCSEスコアで判定
清風南海(大阪・高石) A入試(2027年1月17日)の専願のみ 2級(CEFR B1)+10点/準1級以上(B2以上)+20点 専願の+10点に上乗せ。併願は対象外
金蘭会(大阪) A・B・C日程のすべて 5級5点/4級10点/3級15点/準2級以上20点 漢検・数検なども同点数。合計が20点を超えても20点まで

共立女子は2027年度に2月3日午後の入試を組み替えました。学校の発表によれば、この回にあった「英語4技能」と「合科型」の試験区分を廃止し、国語(50分100点)と算数(50分100点)の2科入試に一本化したうえで、英検級による加点を加える方式に変更しています。海外帰国生入試も2026年11月29日実施分から、英検級の得点換算をやめて国語・算数(各45分100点)に加点する形に変わりました。英語4技能の試験に向けて準備していた受験生にとっては、出題形式そのものが消えた大きな変更です。

麗澤は加点の設計が細かく、英検による加点、帰国生への15点、複数回受験者への5点の3本立てです。要項には、英検と帰国生の加点は重複しないと明記されています。複数回受験の5点は第1回を受けた人が第2回・第3回の判定で優遇されるもので、英検の加点とは別枠です。

金蘭会は英検だけを見る制度ではありません。要項の「資格評価制度」は、英検・日本漢字能力検定(漢検)・実用数学技能検定(数検)が同じ点数表(5級5点、4級10点、3級15点、準2級以上20点)で、珠算検定が2級5点・1級10点、歴史能力検定が5級5点・4級10点・準3級15点・3級以上20点という設計です。複数の合格証明書を提出できますが、資格点の合計が20点を超える場合は20点に換算されます。

換算型。英検の級が1科目分の得点になる

換算型の2校は、点数の重みがまったく違います。

英検の級 三輪田学園「英語のみなし点」 富士見丘「英語資格の換算得点」
準1級以上(CEFR B2〜) 100点(2級以上) 100点
2級A 100点(2級以上) 95点
2級(CEFR B1) 100点 90点
準2級プラス 90点 85点
準2級(CEFR A2) 85点 80点
3級(CEFR A1) 75点 70点

三輪田学園は2027年度、第1回(2月1日午前)と第2回(2月2日午前)に英検利用入試を置き、募集人数は各10名です。応募資格は英検3級以上の取得者。判定は、国語と算数のうち高い方の得点に英語のみなし点を足す形で行われます。加えて要項には、国語・算数の合計点が2科4科方式の合格最低点を上回っていれば合格とする、という救済の規定も書かれています。みなし点で不足しても、2科の実力が届いていれば拾われる設計です。

富士見丘の英語資格入試は募集30名で、国語・算数から1科目を選び、そこに英語資格の換算得点(100点満点)を合計して判定します。合格すると英語特別コースに所属します。同校の英語特別コースを志望する場合は、WILL入試・英語資格入試・グローバル/アスリート入試のいずれかに出願し、いずれも英検4級以上の英語資格が必要です。入学後のコースは英検4級〜3級がコースA、準2級がコースB、2級以上がインターという目安で分かれ、コースBとインターの志望者には英語面接が課されます。

出願資格型・英語受験型。級がないと受けられない回がある

3つめは、点数の話の前に「その回を受けられるかどうか」が決まる型です。

山脇学園は2027年度、一般入試A(2月1日)・B(2月2日午後)・C(2月4日)とは別に、英語入試A・B・Cを実施します。要項では英語入試の出願にあたり英検3級相当以上の合格証のコピー提出が必須とされ、対象は2024年度(小学4年次)第1回検定以降に取得したものに限られます。一方の一般入試については、要項に「一般入試では加点はありませんが、合否判定の参考資料とする場合があります」と書かれており、英検4級相当以上を取得している人のみ合格証のコピーを提出します。点数化はされない、という明記がある点が特徴です。なお一般入試Aと英語入試A、一般入試Cと英語入試Cの両方に出願する場合は、新設の「ダブル出願」枠(40,000円)から出願する必要があります。

芝浦工業大学柏は、英検の級を点数化するのではなく、英語の筆記試験そのものを用意する形です。第1回・第2回では、従来の4教科入試(350点満点)に加えて、4教科に英語を足した5教科入試(450点満点)を実施します。配点は国語45分100点・算数45分100点・理科40分75点・社会40分75点・英語45分100点。英語の筆記試験は45分で、学校は出題レベルを英検3級から英検2級相当としたうえで基準点を設けると告知しています。ここで注目したいのは、5教科入試が不合格でも、英語の試験を除いた4教科で合格基準に達していれば4教科で合格とするという扱いです。英語で挑戦しても4教科の受験生と同じ土俵が残るため、挑戦の下振れが小さい設計になっています。

麗澤も第1回・第2回で3科型を選ぶと、国語・算数に加えて英語(60分100点)を受験します。募集は3科型が若干名ですが、英検の加点とは別に英語そのもので勝負する選択肢が用意されています。

見落としやすい条件。取得時期・提出方法・締切

点数表ばかりに目が行きますが、実務で差がつくのは提出条件です。要項から拾えた注意点を挙げます。

学校 取得時期の条件 提出方法・締切
三輪田学園 2023年第1回(6月)以降に取得した級 出願時に合格証明書またはCSEスコア証明書(デジタル証明書)をWeb出願サイトから提出
山脇学園 2024年度第1回検定以降に取得したもの 合格証のコピーを封筒に入れ試験当日に持参。受験番号を朱書き。複数回受験者は初回のみ提出
森村学園 要項に取得時期の限定記載なし 級に合格した人はデジタル合格証明書共有キー、未合格の人はCSEスコア入り成績表の画像。提出方法は11月上旬に学校サイトで告知
清風南海 要項に取得時期の限定記載なし 「英語検定資格提出用紙」に合格証書のコピーを貼付し、2027年1月15日(金)必着で学校事務室へ郵送
金蘭会 要項に取得時期の限定記載なし 出願期間内(必着)に合格証明書のコピーを事務室へ持参または郵送。複数提出可

特に注意したいのが取得時期です。三輪田学園は2023年第1回(6月)以降、山脇学園は2024年度第1回検定以降と、いずれも「古すぎる級は使えない」ことを明記しています。低学年のうちに取った級が対象外になる可能性があるため、志望校が決まったら要項の該当欄を必ず確認してください。

提出のタイミングも学校ごとにばらばらです。三輪田学園は出願時にWeb提出、山脇学園は試験当日に紙で持参、清風南海は試験の2日前にあたる1月15日必着の郵送です。清風南海のように郵送必着の締切がある場合、当日に思い出しても間に合いません。

森村学園は英検の合否ではなくCSEスコアで判定する点も独特です。級には合格していなくても、CSEスコアが1456点以上あれば加点の対象になります。不合格だった回の成績表が使えるということなので、手元の書類を捨てずに残しておく価値があります。

保護者・受験生への影響と対策

ここまでの数字をふまえると、対策の優先順位はかなりはっきりします。

第一に、加点型を狙って英検対策に時間を割く判断は慎重にということです。加点型の上限は5〜20点で、算数の大問1つ分にも届かないことがあります。同じ時間を算数や国語に充てたほうが得点期待値が高い場面は少なくありません。加点型は「すでに持っている級を申告して確実に受け取る」ものと位置づけるのが現実的です。

第二に、換算型は志望校選びの段階で判断すべきという点です。三輪田学園の英検利用入試や富士見丘の英語資格入試は、英検2級以上を持っていれば1科目が90〜100点で確定します。これは受験戦略そのものを変える威力があり、すでに準2級以上を持っているお子さんであれば、出願する回の組み合わせを考え直す価値があります。逆に3級のみの場合、三輪田学園のみなし点は75点、富士見丘は70点で、当日の国語・算数で取り返せる範囲です。

第三に、「英検が使える」という情報だけで出願先を決めないことです。共立女子のように、前年まであった英語4技能型の試験区分が2027年度に廃止された例があります。塾や情報サイトの一覧表は前年度のまま残っていることがあるため、最終確認は必ず各校が公開している2027年度の募集要項で行ってください。

なお、英検の受験自体にもスケジュールの制約があります。2027年1月・2月の入試に間に合わせるには、秋までの検定回で合格しておく必要があり、合格証明書の発行や証明書の取得にも日数がかかります。合否発表のタイミングと学校への提出締切を突き合わせて、逆算しておくのが安全です。

今後のスケジュール

本記事で扱った9校の直近の日程を、要項の記載から整理します。

時期 できごと
2026年11月上旬 森村学園が英語資格の証明提出方法を学校サイトで公表予定
2026年11月29日 共立女子 海外帰国生入試(新方式の初回)
2026年12月17日 麗澤 第1回〜第3回の出願開始
2027年1月10日 三輪田学園・富士見丘の出願開始
2027年1月15日 清風南海 英語検定資格提出用紙の郵送必着
2027年1月17日 清風南海 A入試
2027年1月21日・25日・28日 麗澤 第1回・第2回・第3回(第3回は午後入試)
2027年2月1日 三輪田学園 第1回英検利用入試、山脇学園 英語入試A、森村学園 第1回
2027年2月2日 三輪田学園 第2回英検利用入試、森村学園 第2回(英語利用を新設)、山脇学園 英語入試B
2027年2月3日 共立女子 2月3日午後2科入試(英検加点)
2027年2月4日 山脇学園 英語入試C、森村学園 第3回

2027年度の要項を未公開の学校もまだあります。とくに東京・神奈川の私立校は10月以降に詳細版を公開する例が多いため、英検の扱いが変わる学校は今後も増える見込みです。

よくある質問

英検は何級を持っていれば中学入試で有利になりますか

本記事で確認した9校の要項では、加点や換算の対象になる下限は3級(金蘭会のみ5級から)です。効果が大きくなるのは準2級以上で、三輪田学園は準2級85点・準2級プラス90点・2級以上100点、富士見丘は準2級80点・2級90点・準1級以上100点と差がつきます。清風南海は2級で+10点、準1級以上で+20点です。一方で、山脇学園の一般入試のように「加点はしない」と明記している学校もあります。級の目標は、志望校がどの型を採用しているかを確認してから決めるのが合理的です。

低学年で取った英検の級も使えますか

学校によります。三輪田学園は2023年第1回(6月)以降に取得した級に限ると要項に明記しており、山脇学園は2024年度(小学4年次)第1回検定以降に取得したものと定めています。取得時期の限定を書いていない学校もありますが、志望校の要項に該当する記載がないか、出願前に必ず確認してください。

英検に不合格でも使えることはありますか

森村学園は英検CSEスコアに基づいて加点し、要項には級の合否に関わらず加点すると記載されています。CSEスコアが1456点以上なら+5点、1728点以上なら+10点です(4級は対象外)。ただしこれは同校の英語利用入試での扱いで、他校では合格証明書の提出を求めるのが一般的です。不合格だった回の成績表が使えるかどうかは学校ごとに異なります。

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出典

最終更新: 2026年9月12日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)
合格之助(中村先生)

中学受験専門塾で長年、受験生と保護者の進路相談を担当している中村です。偏差値・倍率・過去問傾向・学校ごとの出題特徴をもとに、志望校選びをわかりやすくサポートしています。

特に得意なのは、単に偏差値だけで学校を判断するのではなく、
「倍率」「受験者数の推移」「合格可能性」「併願パターン」まで含めて、一人ひとりに合った本当に狙いやすい学校を見つけることです。