埼玉県は2026年9月11日、「令和9年度埼玉県私立中学校・高等学校・中等教育学校入試要項」を公表した。県内私立中学校31校の募集人員は3,723人で、前年度の3,798人から75人減った。この資料には31校すべての試験区分名・試験日・試験科目の型が1枚にまとめられており、2027年度入試で「2科・4科以外」の試験を行う学校が一覧で確認できる。

中学受験では、国語・算数・社会・理科の教科型とは別に、適性検査型・思考力型・プレゼンテーション型・探究型・英語型といった選抜が広がっている。首都圏ではこれらをまとめて「新タイプ入試」と呼ぶことが多い。本記事では、埼玉県の公表資料と各校が公開している2027年度募集要項をもとに、教科型以外の入試を実施する13校について試験日・募集人員・出題内容を整理し、あわせてこの枠を取りやめた1校の動きも取り上げる。数値はすべて県の公表資料または各校公式の要項で確認したものだけを記載している。

埼玉県が公表した令和9年度の募集状況

県の発表資料に載っている募集状況の概要は次のとおり。中学校の募集人員は、具体的な数を定めていない学校を除いた集計である。

区分 令和9年度 学校数 令和9年度 募集人員 前年度 募集人員
中学校 31校 3,723人 3,798人
全日制高等学校 47校 17,129人 17,156人
通信制高等学校 11校 1,950人 2,070人
中等教育学校 1校 360人 360人

私立中学校は学校数が31校で前年度と変わらず、募集人員だけが75人減っている。なお国際学院中学校は令和7年度から休校と記載されており、実際に入試を行う学校はこれより少ない。

埼玉の私立中学で「教科型以外」の名前がついた入試

県の資料は試験科目を記号で示しており、「○」は2科目、「◆」は4科目、「○ ◆」は2科目か4科目の選択、「※」はそれ以外の試験科目を意味する。ここでは「※」が付き、かつ試験区分の名称から内容が判別できるものを抜き出した。日付はすべて2027年1月。

学校 教科型以外の入試区分 試験日 中学全体の募集人員
浦和学院中学校 第4回午後 自己アピール型/第6回午後 自己アピール型 1月11日/1月16日 100人
浦和実業学園中学校 適性検査型(2回)/英語/3科型 1月11日・1月19日/1月15日/1月12日午後 80人
大妻嵐山中学校 まなび力エキスパート/英語1教科 1月10日午前/1月10日午後 70人
開智未来中学校 探究1/探究2/算数1科/T未来 1月10日/1月11日/1月11日/1月12日 120人
昌平中学校 第1回グローバル/第2回グローバル/第2回Tクラス 算数1教科型 1月10日午前/1月11日午前/1月11日午後 130人
西武学園文理中学校 適性検査型/英語4技能/バイリンガルクラス/アート&スポーツ(2回) 1月16日(前3種)/1月12日・1月30日 175人(内部進学54人含む)
西武台新座中学校 適性検査型 1月14日 80人
聖望学園中学校 第2回 適性検査型/第4回 プレゼンテーション/第4回 英語 1月11日/1月16日(後2種) 80人
細田学園中学校 第1回 dots 1月11日 120人
星野学園中学校 総合選抜 1月14日 160人(内部進学60人含む)

31校中10校が、教科型とは別枠の名前を付けた入試を用意している計算になる。西武学園文理中学校のように1月16日へ適性検査型・英語4技能・バイリンガルクラスの3種類を集めている学校もあれば、大妻嵐山中学校のように1月10日の午前と午後で性格の違う2本を並べる学校もある。

学校公式の要項で確認できた出題内容

浦和実業学園中学校の適性検査型は1月11日と1月19日で構成が違う

浦和実業学園中学校の要項によると、1月11日午前の適性検査型入試は適性検査1(作文型)と適性検査2(科目複合型)の記述式で行われる。これに対し1月19日午前の適性検査型入試は、適性検査1・2に加えて適性検査3(数理思考型)まで課される。同じ「適性検査型」でも後半日程のほうが科目が1つ多い。

同校は1月15日午前に英語入試(筆記と英語面接)、1月12日午後に3科型入試(国語・算数・英語)も置いている。受験料は複数回でも取り扱いが細かく、1月10日の午前と午後を同時に出願した場合は20,000円で追加料金がかからず、午前のみ出願したあとに午後を追加出願すると25,000円になる、といった例が要項に明記されている。

大妻嵐山中学校のまなび力エキスパート入試はエントリーシートと個別面談が必須

大妻嵐山中学校は令和9年度入試で、まなび力エキスパート入試・英語1教科入試・特待生入試・一般入試・帰国生入試の5種類を行うと公表している。このうちまなび力エキスパート入試は募集定員30名で、同校の入試のなかで最も定員が大きい。試験日は2027年1月10日午前、試験科目は国語・算数の2科だが、出願にあたってエントリーシートの提出と個別面談への参加が必要とされる点が教科型と異なる。同校は「基礎力重視型」の入試であり、これまで取り組んできた実績や資格なども評価すると説明している。

英語1教科入試は1月10日午後、募集定員は若干名で、試験科目は筆記試験(英語)と英語スピーチの2本立て。スピーチシートを当日持参する運用になっている。会場は本校と大宮から出願時に選べ、1月23日の第3回一般入試のみ本校会場に限られる。

開智未来中学校の探究型入試は計算基礎・読解基礎に探究科学または探究社会

開智未来中学校は、4科・2科・3科(国語・算数・英語)の教科型入試4回と、基礎力と思考力を問う探究型入試2回の計6回を実施すると説明している。探究型入試は計算基礎・読解基礎に、探究科学(探究1)または探究社会(探究2)を加えた3領域で構成される。

領域 時間 内容
計算基礎 20分 35問の計算をどれだけ正確に速く解けるかを問う
読解基礎 30分 文章やさまざまな資料の内容から読解力を問う
探究科学(探究1) 40分 小6までの教科書範囲の基礎知識で実験の仮説を立て、自分の考えを記入する
探究社会(探究2) 40分 日常生活や社会問題について資料を読み取り、自分の考えを記入する。英語での受験も可

同校は、教科型で得点力のある受験生は探究型でも相応の得点を取ることが多い一方、教科型で実力を発揮できなかった受験生が探究型で教科型合格者の得点を上回り特待合格を取る例もある、と公式に記している。どの入試でも特待合格を出すことも明記されている。

東京では2月入試のなかに新タイプ入試が組み込まれている

山脇学園中学校の理数探究入試は2月3日午後・20名

山脇学園中学校の2027年度募集要項によると、理数探究入試は2027年2月3日(水)午後に実施され、募集人員は20名。集合時間は15:00で、受付開始は14:20となっている。試験は算数(40分・50点)と理科(40分・50点)の2科目で、算数は「算数的思考力をはかる問題」、理科は「生活の中での科学をテーマとした問題」と要項に明記されている。時間割は算数15:15〜15:55、理科16:15〜16:55。

同校は他に、一般入試A・B・C(募集70名・50名・40名)、英語入試A・B・C(帰国生入試と合わせて50名)、国語1科・算数1科入試(2月1日午後・50名)を実施する。国語1科・算数1科入試は一般入試と同じ問題を使う点が要項に書かれており、2月1日午後のB日程一般入試とのダブル出願はできない。出願期間はいずれもWeb出願のみで、2027年1月10日(日)9:00から各試験日当日7:00まで。

富士見丘中学校のWILL入試は募集40名で面接に20点

富士見丘中学校の2027年度生徒募集要項では、入試種別がWILL入試・グローバルアスリート入試・一般入試・英語資格入試・国際生入試の5本立てになっている。募集人員はWILL入試40名、グローバルアスリート入試5名、一般入試30名、英語資格入試30名、国際生入試5名。

入試種別 募集人員 受験科目 特徴
WILL入試 40名 国語(50点・30分)、算数(50点・30分)、面接(20点・5〜10分) 学科試験が基礎的な問題構成で、面接で学びたい意志・意欲を評価
グローバルアスリート入試 5名 国語・算数より1科目、作文(50点・30分)、面接(20点・5〜10分) 作文と面接でスポーツ・芸術への熱意を評価。入学後にグローバルアスリートの認定

面接は受験生のみの個人面接で、グローバルアスリート入試の出願者は戦績(成績)資料を出願サイトにアップロードし、2027年1月29日(金)までに送信する必要がある。合格発表は試験当日で、午前の入試は19:00、午後の入試は21:00に同校ホームページで行われる。

芝浦工業大学附属中学校は2028年度から入試名称を変更

芝浦工業大学附属中学校は2026年9月19日、2028年度中学入試(2026年度時点の小学5年生)から入試名称を変更すると公表した。現行の「言語・探究入試」は「探究入試」に、「英語入試」は「英語資格入試」に改められる。英語資格入試については、2028年度入試より制度内容についても変更を予定しているとしている。2027年度入試の名称は現行のままで、同校は午後の特色入試として算数・言語技術・英語(リスニング音源を含む)のサンプル問題を公開している。

新タイプ入試を取りやめる動きもある

広がる一方ではない。大妻多摩中学校は2026年度入試で、2月1日午前に適性型思考力入試(定員10名・読解表現[作文]と合科適性)を実施していた。しかし同校が公開した2027年度生徒募集要項では、第1回(2月1日午前・45名)、第2回(2月1日午後・35名)、第3回(2月2日午前・30名)、第4回(2月2日午後・20名)、第5回(2月4日・10名)の5回がいずれも教科型で、適性型思考力入試は姿を消している。

2027年度の大妻多摩中学校は、第1回・第3回・第5回が2科(国語・算数)と4科の選択、第2回・第4回の午後入試が2科(算数・国語)と1科(算数)の選択という構成である。全入試に英検加点制度(英検4級3点、3級5点、準2級10点、準2級プラス13点、2級以上15点)が設けられている。適性型思考力入試の枠が、午後の算数1科や英検加点に置き換わった形と読める。

保護者・受験生への影響と対策

第一に、教科型で成績が伸び悩んでいる場合でも、受験できる入試の選択肢は埼玉だけで10校ぶんある。大妻嵐山中学校のまなび力エキスパート入試のように、募集定員が学校全体のなかで最も大きい枠として設定されている例もあり、「新タイプ入試=少人数の特別枠」と決めつけない方がよい。

第二に、名前が同じでも中身は学校ごとに違う。浦和実業学園中学校のように同じ適性検査型でも日程によって科目数が変わる学校があり、開智未来中学校の探究型のように計算の速さを正面から問う領域を含む学校もある。志望校の要項で、領域名・時間・配点まで確認してから対策を始めたい。

第三に、出願前に手続きが必要なタイプがある。大妻嵐山中学校のまなび力エキスパート入試はエントリーシートの提出と個別面談への参加が条件で、富士見丘中学校のグローバルアスリート入試は戦績資料の送信期限が2027年1月29日に設定されている。試験日から逆算すると、11月から12月にかけて動き出す必要がある。

第四に、適性検査型入試は公立中高一貫校の検査と形式が近いため併願先として使われることが多いが、実際の出題は学校ごとに独自である。浦和実業学園中学校の1月19日回のように数理思考型が加わる構成もあるため、公立の過去問だけで備えるのは避けたい。

今後のスケジュール

時期 内容
2026年10月〜11月 東京・神奈川の私立中学で2027年度募集要項の公開が中心的に進む時期
2026年12月〜2027年1月 大妻嵐山中学校のまなび力エキスパート入試に必要な個別相談・面談の実施時期
2027年1月10日 埼玉入試の解禁日。大妻嵐山中学校のまなび力エキスパート入試・英語1教科入試、開智未来中学校の探究1、昌平中学校の第1回グローバルなどが実施される
2027年1月11日〜1月30日 浦和学院中学校の自己アピール型、聖望学園中学校のプレゼンテーション、西武学園文理中学校のアート&スポーツなどが順次実施
2027年1月29日 富士見丘中学校グローバルアスリート入試の戦績資料 送信期限
2027年2月1日〜2月4日 東京・神奈川の入試期間。山脇学園中学校の理数探究入試は2月3日午後

よくある質問

新タイプ入試は2科・4科より合格しやすいのですか

学校は難易度が下がるとは説明していない。開智未来中学校は、教科型で得点力のある受験生は探究型でも相応の得点を取る場合が多いとしたうえで、教科型で実力を発揮できなかった受験生が探究型で教科型合格者の得点を上回ることもある、と公式に記している。得意な力の出し方が変わるのであって、易しい枠が用意されているわけではないと考えるのが妥当である。

適性検査型入試は公立中高一貫校の併願に使えますか

日程の面では使える。埼玉の適性検査型入試は1月に実施されるため、2月の都立中などの検査より前に結果が出る。ただし出題は各校独自で、浦和実業学園中学校は1月11日が適性検査1(作文型)と適性検査2(科目複合型)、1月19日が適性検査3(数理思考型)を加えた構成と要項に明記している。受ける回によって必要な準備が変わる点に注意したい。

新タイプ入試でも特待生になれますか

学校によるが、対象としている例はある。開智未来中学校はどの入試でも特待合格を出すと明記している。大妻嵐山中学校は成績特待生制度をA(入学金全額と1年間の授業料全額を給付)・B(入学金全額)・C(入学金半額)の3段階で設けており、まなび力エキスパート入試と英語1教科入試はC特待の対象とされている。志望校の要項で、入試区分ごとの特待対象を確認してほしい。

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出典

最終更新: 2026年9月19日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)
合格之助(中村先生)

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