中学受験の志望校選びが最終局面に入るこの時期、保護者が気にし始めるのが「入ったあとの進路」です。大学通信が2026年8月17日に公表した「2026年難関10国立大現役進学者数」によると、埼玉県の私立高校では栄東が34人で最多、続いて開智32人、大宮開成28人、本庄東12人という結果でした。リセマムが2026年10月28日に埼玉県分を報じています。

この調査の特徴は、よく目にする「合格者数」ではなく実際にその大学へ進んだ「現役進学者数」を集計している点にあります。合格実績は1人が複数大学に合格すれば重複して数えられますが、進学者数は1人につき1校です。

この記事では、埼玉県の私立20校の数字を整理したうえで、そのうち何校が中学受験で入れるのかを埼玉県が公表した2027年度(令和9年度)の入試要項と突き合わせ、さらに各校が自校サイトで公表している合格者数と並べて「合格」と「進学」がどれだけ違うのかを確認します。数値はすべて出典時点の公表値です。

この調査の読み方 ― 「合格者数」ではなく「現役進学者数」

大学通信は全国約4,300校を対象に進学状況のアンケートを行い、回答のあった高校について、難関10国立大学への現役進学者数と進学率を集計しています。難関10国立大学とは東京大、京都大、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大、東京科学大、一橋大、神戸大の10大学です。

表を読むうえで押さえておきたい前提が4つあります。

  • 数字は全入試枠の合計。一般選抜だけでなく、学校推薦型選抜・総合型選抜・系列校の内部進学を含みます。
  • 2026年7月31日現在の判明分。掲載された人数より実際の進学者が多い場合があります。
  • 空欄は0人とは限らない。一部に未集計・未回答があります。表に名前がない学校の実績が0ということではありません。
  • 進学率は卒業生に占める割合。卒業生数は高校発表によるもので、定時制・通信制を併設する学校はそれらを除いた全日制の数字です。

つまりこの数字は、「その高校の3年生が実際にどこへ進んだか」を示す実態データであり、学校案内に載る延べ合格者数とは性質が違います。

埼玉の私立20校 難関10国立大への現役進学者数

大学通信の集計に掲載された埼玉県の私立高校は20校でした。現役進学者数の多い順に並べ、内訳を添えます。学校名は高校の名称です。

高校名 卒業生数 現役進学者数 進学率 内訳
栄東 471人 34人 7.2% 東京大11、京都大2、北海道大8、東北大6、名古屋大2、九州大2、東京科学大3
開智 644人 32人 5.0% 東京大11、京都大1、北海道大3、東北大7、大阪大2、東京科学大7、一橋大1
大宮開成 591人 28人 4.7% 東京大1、北海道大4、東北大9、名古屋大2、大阪大4、九州大1、東京科学大2、一橋大3、神戸大2
本庄東 398人 12人 3.0% 東京大2、京都大1、北海道大3、東北大3、名古屋大1、大阪大2
川越東 477人 9人 1.9% 北海道大2、東北大2、大阪大1、東京科学大2、一橋大2
浦和明の星女子 161人 7人 4.3% 東京大1、北海道大1、東北大1、東京科学大3、神戸大1
開智未来 148人 7人 4.7% 東京大1、東北大3、東京科学大3
淑徳与野 321人 7人 2.2% 東京大1、東北大1、名古屋大1、大阪大1、東京科学大1、一橋大1、神戸大1
昌平 489人 6人 1.2% 東京大1、北海道大1、東京科学大3、一橋大1
栄北 471人 5人 1.1% 北海道大1、東北大1、名古屋大1、大阪大1、九州大1
埼玉栄 947人 3人 0.3% 北海道大2、東京科学大1
浦和麗明 359人 2人 0.6% 北海道大1、一橋大1
城西大付川越 230人 2人 0.9% 北海道大1、東京科学大1
城北埼玉 183人 2人 1.1% 東京大1、東北大1
星野 540人 2人 0.4% 九州大1、東京科学大1
浦和実業学園 1,014人 1人 0.1% 北海道大1
東京成徳大深谷 200人 1人 0.5% 一橋大1
武南 448人 1人 0.2% 東京科学大1
武蔵越生 312人 1人 0.3% 北海道大1
山村学園 483人 1人 0.2% 北海道大1

上位3校(栄東・開智・大宮開成)で94人を占め、20校の合計は155人でした。東京大への現役進学者を出したのは9校で合計30人、うち栄東と開智が各11人と突出しています。

20校のうち15校は中学受験で入れる

中学受験の読者にとって重要なのは、この20校のうちどの学校が中学からの募集を行っているかです。埼玉県が公表した「令和9年度埼玉県私立中学校入試要項」(県内31校を掲載)と突き合わせると、15校に中学募集があり、5校は高校からしか入れないことが分かります。

中学募集がないのは川越東・栄北・浦和麗明・武蔵越生・山村学園の5校です。川越東は現役進学者9人(進学率1.9%)と上位に入っていますが、中学校は設置されていません。

中学募集のある15校の2027年度(令和9年度)の募集人員と初回の試験日は次のとおりです。

中学校名 現役進学者数 進学率 2027年度 募集人員 初回の試験日
栄東中学校 34人 7.2% 240人(内部進学25人を含む) 1月10日(Ⅰ入試)
開智中学校 32人 5.0% 360人(内部進学80人を含む) 1月10日(第1回)
大宮開成中学校 28人 4.7% 150人 1月10日(第1回)
本庄東高等学校附属中学校 12人 3.0% 90人 1月10日(第1回)
浦和明の星女子中学校 7人 4.3% 160人 1月14日(第1回)
開智未来中学校 7人 4.7% 120人 1月10日(探究1・第1回)
淑徳与野中学校 7人 2.2% 160人 1月10日(医科学進学コース)
昌平中学校 6人 1.2% 130人 1月10日(第1回一般)
埼玉栄中学校 3人 0.3% 120人(内部進学10人を含む) 1月10日(第1回)
城西川越中学校 2人 0.9% 85人 1月10日(第一回特別選抜ほか)
城北埼玉中学校 2人 1.1% 120人 1月10日(第1回)
星野学園中学校 2人 0.4% 160人(内部進学60人を含む) 1月10日(第1回)
浦和実業学園中学校 1人 0.1% 80人 1月10日(4科型)
東京成徳大学深谷中学校 1人 0.5% 70人 1月10日(第1回)
武南中学校 1人 0.2% 80人 1月10日(第1回午前)

埼玉の入試は1月10日に集中しており、15校のうち13校が1月10日に初回入試を置きます。例外は1月14日の浦和明の星女子中学校と、1月13日に第1回を置く淑徳与野中学校(1月10日は医科学進学コース)です。募集人員に「内部進学を含む」と記載がある学校(栄東中学校・開智中学校・埼玉栄中学校・星野学園中学校)は、外部からの受験生が争う枠がその分少なくなる点に注意してください。

進学率で見ると順位が入れ替わる

人数は卒業生の多い学校ほど有利になります。卒業生に占める割合である進学率で並べ替えると、見え方が変わります。

  • 栄東 7.2%(卒業生471人・34人)が人数・率とも県内私立のトップ。
  • 開智 5.0%(644人・32人)、大宮開成 4.7%(591人・28人)が続く。
  • 開智未来 4.7%は卒業生148人で7人。人数では8位相当だが、率では大宮開成と並ぶ。
  • 浦和明の星女子 4.3%も卒業生161人と小規模で、率では上位に入る。

逆に、卒業生1,014人の浦和実業学園中学校や947人の埼玉栄中学校は、人数が少なくても母集団が大きいため率は0.1〜0.3%にとどまります。複数のコースを持ち進路の幅が広い学校では、難関国立大という一つのものさしだけで学校の性格は測れません。人数と率の両方を見ることが、学校規模の違いを補正する最も簡単な方法です。

学校が公表する「合格者数」と並べると差が見える

各校が自校サイトで公表している2026年春の合格実績と、大学通信の現役進学者数を並べてみます。いずれも学校公式の資料で確認した数字です。

学校 学校公表の難関10国立大 合格者数 大学通信の現役進学者数 差が出た大学
大宮開成中学校 現役29人・既卒3人(令和8年4月24日現在) 28人 北海道大は現役合格5人に対し進学4人
本庄東高等学校附属中学校 合計13人・うち既卒1人(令和8年3月31日現在) 12人 現役合格12人と進学12人が一致
開智中学校 36人(現役・既卒の区別なし、2026年4月30日時点) 32人 東京大は合格12人に対し進学11人、東京科学大は合格9人に対し進学7人
浦和明の星女子中学校 9人(過去5年間の大学合格一覧、2026年) 7人 東京科学大は合格4人に対し進学3人、大阪大は合格1人に対し進学0人

ずれ方には理由があります。学校公表の実績には既卒生(浪人)が含まれることが多く、さらに合格しても別の大学に進む生徒がいるためです。本庄東高等学校附属中学校のように既卒分を差し引くと進学者数と一致する例もあれば、開智中学校のように合格36人・進学32人と4人の開きが出る例もあります。

学校案内やポスターの数字を他校と比べるときは、「現役か既卒込みか」「合格者数か進学者数か」「延べ人数か実人数か」の3点をそろえてから比べてください。大宮開成中学校の公表資料では、私立大学の合格者数が早慶で132人、GMARCHで725人と並びますが、これは延べ合格者数で、1人の生徒が何校にも合格した分が積み上がっています。

単年の数字だけで学校を決めない

卒業生が150〜200人程度の学校では、数人の増減がそのまま実績の見え方を変えます。浦和明の星女子中学校が公表している過去5年の東京大合格者数は、2022年7人、2023年4人、2024年2人、2025年3人、2026年1人と推移しています。一橋大も2025年は5人でしたが2026年は0人です。

これは学校の教育力が年ごとに上下したというより、学年の規模が小さい学校では単年の変動が大きく出るということです。学校を比べるなら、少なくとも3年分、できれば5年分を並べて平均的な水準を見るほうが実態に近づきます。多くの学校は過去数年分の実績を自校サイトに掲載しています。

保護者・受験生への影響と、いま確認しておきたいこと

出願直前のこの時期に、進学実績をどう使えばよいかを整理します。

  • 「出口」は併願校を決める材料になる。1月の埼玉入試は2月の東京・神奈川入試の前哨戦として受ける家庭が多い一方、実際に進学先となる可能性もあります。進学する前提で数字を見ておくと、合格後の判断が楽になります。
  • 高校募集の有無で学校の性格が変わる。今回の15校の多くは高校からの募集も行っており、卒業生数には高校入学者が含まれます。表の進学率は「中学から入った生徒の実績」ではない点に注意が必要です。コース別の実績を公表している学校もあるので、説明会で確認する価値があります。
  • 表にない学校の実績が0というわけではない。未回答の学校があるため、気になる学校は自校サイトの進路実績ページを直接確認してください。
  • 内部進学を含む募集人員に注意。栄東中学校・開智中学校・埼玉栄中学校・星野学園中学校は募集人員に内部進学分が含まれます。

今後のスケジュール

時期 内容
2026年12月 埼玉県の私立中学校でインターネット出願の受付が始まる(12月1日開始の学校が多い)
2027年1月10日 埼玉県内私立中学校の入試解禁日。今回の15校のうち13校が初回入試を実施
2027年1月13日〜16日 淑徳与野中学校の第1回、栄東中学校のⅢ入試など後半日程
2027年1月14日 浦和明の星女子中学校の第1回
2027年1月中旬 埼玉県が私立中学校・高等学校の入試応募状況を公表予定
2027年2月4日〜5日 浦和明の星女子中学校の第2回、淑徳与野中学校の第2回、城西川越中学校の第四回総合一貫など
2027年3月〜4月 各校が2027年春の大学合格実績を公表

よくある質問

合格者数と現役進学者数は、どちらを見るべきですか

学校を比べる目的なら現役進学者数のほうが実態に近づきます。合格者数は1人が複数の大学・学部に合格した分が重複して数えられ、既卒生の実績が含まれることも多いためです。ただし現役進学者数は各校のアンケート回答に基づくため、未回答の学校は掲載されません。両方を見て、気になる学校は自校サイトの進路実績で確認するのが確実です。

進学率が高い学校に入れば、難関国立大に進みやすいのでしょうか

進学率は卒業生全体に占める割合であり、入学時の学力層やコース編成の影響を強く受けます。難関国立大を目指すコースを設けている学校では、そのコースの実績と学校全体の実績は別物です。また高校募集のある学校では、中学から入った生徒と高校から入った生徒が同じ数字に含まれます。学校説明会でコース別・入学経路別の進路状況を聞いてみてください。

埼玉の学校は1月に入試があります。2月の本命校の前に受けても大丈夫ですか

2027年度の埼玉県内私立中学校の入試解禁日は1月10日で、今回取り上げた15校のうち13校が同日に初回入試を行います。2月1日からの東京・神奈川入試より3週間早いため、本番の経験を積む目的で受ける家庭が多いのが実情です。ただし合格すれば入学手続きの期限が来ますので、手続き期限と延納制度を募集要項で確認したうえで出願してください。

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出典

最終更新: 2026年10月28日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)
合格之助(中村先生)

中学受験専門塾で長年、受験生と保護者の進路相談を担当している中村です。偏差値・倍率・過去問傾向・学校ごとの出題特徴をもとに、志望校選びをわかりやすくサポートしています。

特に得意なのは、単に偏差値だけで学校を判断するのではなく、
「倍率」「受験者数の推移」「合格可能性」「併願パターン」まで含めて、一人ひとりに合った本当に狙いやすい学校を見つけることです。