東京都は2026年10月7日、令和9年度(2027年度)都内私立高等学校入学者選抜実施要項を公表しました。この資料には、都内の私立高校で生徒を募集しない「生徒非募集校」が52校あることと、その52校の校名がすべて載っています。令和8年9月24日現在でとりまとめた集計です。

生徒非募集校とは、高等学校を設置していながら高校段階では生徒を募集しない学校、つまり中学入試で入らなければ入学できない学校です。一般に「完全中高一貫校」と呼ばれます。52校の内訳は男子校13校・女子校32校・男女校7校で、麻布中学校や武蔵中学校のような伝統校から、海城中学校と豊島岡女子学園中学校のように近年になって高校募集をやめた学校、渋谷教育学園渋谷中学校・三田国際科学学園中学校・東京農業大学第一高等学校中等部のように中高一貫化を学校の方針として打ち出した学校まで並びます。

中学受験の志望校選びでは、この区分が実務的に効いてきます。高校募集のある学校なら「中学で届かなくても高校でもう一度」という考え方が成り立ちますが、生徒非募集校にその道はありません。逆に、6年間同じ集団で過ごす前提のカリキュラムが組めるという意味もあります。この記事では東京都の報道発表資料をもとに52校の全リストを区分別に整理し、あわせて高校募集を続けている学校の2027年度の高校募集人員を同じ資料から取り出して対比しました。数値はすべて東京都が公表した集計および別表に基づきます。

東京都の発表:高校で生徒を募集しないのは52校

まず全体像です。東京都生活文化局の集計では、都内私立高校(全日制課程)234校のうち2027年度に生徒を募集するのが181校、生徒非募集校が52校、募集停止校が1校となっています。学校数の集計には休校中の学校は含まれず、特別支援学校は別集計です。

区分 令和9年度(2027年度) 令和8年度(2026年度) 増減
生徒募集校 181校 179校 +2校
生徒非募集校 52校 53校 -1校
募集停止校 1校 1校 ±0校
合計 234校 233校 +1校

出典:東京都「令和9年度都内私立高等学校入学者選抜実施要項」(2026年10月7日・生活文化局私学部私学行政課)。

募集する181校の募集人員は全日制で合計3万5,476人、前年度より349人の減少です。男女別の内訳は次のとおりで、男女校(共学)だけが学校数を2校増やしています。

区分 2027年度 学校数 2027年度 募集人員 前年度 学校数 前年度 募集人員
男子校 17校 2,260人 17校 2,265人
女子校 39校 6,285人 39校 6,365人
男女校(共学) 125校 26,931人 123校 27,195人
計 181校 35,476人 179校 35,825人

なお全日制以外では、定時制課程が3校・286人(前年度と同数)、通信制課程が8校・7,020人(25人減)です。募集人員が「若干」と書かれている入試は0人として集計されているため、実際の入学者はこの集計よりやや多くなります。

中学側の数字は別の報道発表で公表されており、2027年度に生徒を募集する都内私立中学校は180校・募集人員2万6,122人です。中学の募集状況は2027年度 都内私立中180校・募集人員2万6122人で詳しく整理しています。

男子校13校 ── 御三家のうち2校が含まれる

高校で生徒を募集しない男子校は13校で、前年度と同数です。東京都の資料に載っている校名をそのまま並べます(資料の掲載順)。

中学入試で入る学校名 高等学校名
暁星中学校 暁星高等学校
麻布中学校 麻布高等学校
芝中学校 芝高等学校
高輪中学校 高輪高等学校
海城中学校 海城高等学校
成城中学校 成城高等学校
早稲田中学校 早稲田高等学校
獨協中学校 獨協高等学校
攻玉社中学校 攻玉社高等学校
駒場東邦中学校 駒場東邦高等学校
東京都市大学付属中学校 東京都市大学付属高等学校
本郷中学校 本郷高等学校
武蔵中学校 武蔵高等学校

いわゆる男子御三家のうち、麻布中学校と武蔵中学校の2校がこのリストに入っています(開成中学校は後述のとおり高校募集を続けています)。中学で生徒を募集する都内私立の男子校は28校ですから、男子校の約46パーセントが高校では募集しない計算になります(本記事で東京都の中学・高校2つの集計から算出)。

女子校32校 ── 前年度より1校減

女子校は32校で、前年度の33校から1校減りました。減った1校は後述する聖心女子学院高等科で、帰国生のみを対象に高校募集を再開したためです。

中学入試で入る学校名 高等学校・高等部等の名称
大妻中学校 大妻高等学校
共立女子中学校 共立女子高等学校
女子学院中学校 女子学院高等学校
白百合学園中学校 白百合学園高等学校
雙葉中学校 雙葉高等学校
三輪田学園中学校 三輪田学園高等学校
頌栄女子学院中学校 頌栄女子学院高等学校
東洋英和女学院中学部 東洋英和女学院高等部
普連土学園中学校 普連土学園高等学校
山脇学園中学校 山脇学園高等学校
学習院女子中等科 学習院女子高等科
跡見学園中学校 跡見学園高等学校
桜蔭中学校 桜蔭高等学校
香蘭女学校中等科 香蘭女学校高等科
品川女子学院中等部 品川女子学院高等部
鴎友学園女子中学校 鴎友学園女子高等学校
恵泉女学園中学校 恵泉女学園高等学校
昭和女子大学附属昭和中学校 昭和女子大学附属昭和高等学校
聖ドミニコ学園中学校 聖ドミニコ学園高等学校
田園調布学園中等部 田園調布学園高等部
田園調布雙葉中学校(中学も募集なし) 田園調布雙葉高等学校
実践女子学園中学校 実践女子学園高等学校
東京女学館中学校 東京女学館高等学校
大妻中野中学校 大妻中野高等学校
光塩女子学院中等科 光塩女子学院高等科
立教女学院中学校 立教女学院高等学校
豊島岡女子学園中学校 豊島岡女子学園高等学校
女子聖学院中学校 女子聖学院高等学校
富士見中学校 富士見高等学校
吉祥女子中学校 吉祥女子高等学校
晃華学園中学校 晃華学園高等学校
大妻多摩中学校 大妻多摩高等学校

女子御三家の3校(桜蔭中学校・女子学院中学校・雙葉中学校)はいずれも高校募集を行いません。中学で生徒を募集する都内私立の女子校は60校で、そのうち31校(田園調布雙葉を除く)が高校では募集しないことになり、割合では約52パーセントと男子校より高くなります。

男女校7校 ── 中高一貫化を打ち出した学校が並ぶ

男女校(共学)は7校で前年度と同数です。伝統校ではなく、ここ10年ほどで中高一貫校としての体制を整えた学校が目立ちます。

中学入試で入る学校名 高等学校・高等部の名称
広尾学園小石川中学校 広尾学園小石川高等学校
サレジアン国際学園世田谷中学校 サレジアン国際学園世田谷高等学校
東京農業大学第一高等学校中等部 東京農業大学第一高等学校
三田国際科学学園中学校 三田国際科学学園高等学校
渋谷教育学園渋谷中学校 渋谷教育学園渋谷高等学校
穎明館中学校 穎明館高等学校
ドルトン東京学園中等部 ドルトン東京学園高等部

中学で生徒を募集する都内私立の男女校は92校あるので、割合は約8パーセントにとどまります。共学校では高校募集を併用するのが主流で、高校募集をやめているのは少数派という構図です。

高校募集を続ける男子校17校の2027年度募集人員

対比として、高校で生徒を募集する男子校17校の募集人員を同じ資料から取り出しました。17校の合計は東京都の集計と同じ2,260人です(「若干」は0人として集計)。

学校名 2027年度 高校募集人員(普通科) 主な入試区分と選抜日
早稲田大学高等学院 360人 -
保善高等学校 300人 単願推薦130人・併願推薦20人ほか
正則学園高等学校 250人 A推薦125人・一般125人
日本大学豊山高等学校 240人 推薦120人・一般120人
明治大学付属中野高等学校 約165人 -
科学技術学園高等学校 160人 総合コース120人・特進コース40人
足立学園高等学校 160人 -
佼成学園高等学校 130人 -
京華高等学校 130人 進学・特進103人/S特進27人
開成高等学校 100人 一般100人・選抜日2月10日
城北高等学校 80人 推薦約20人(1月22日)・一般約60人(2月11日)
巣鴨高等学校 約70人 一般・選抜日2月12日
桐朋高等学校 約50人 一般・選抜日2月10日
世田谷学園高等学校 25人 推薦12人(1月24日)・一般13人(2月11日)
聖学院高等学校 20人 -
学習院高等科 約20人 一般・選抜日2月14日
立教池袋高等学校 若干 一般・選抜日2月13日(作文・書類審査・面接)

この表で目を引くのは、中高一貫の進学校が高校募集を残している場合、その枠がかなり小さいことです。立教池袋高等学校は「若干」、聖学院高等学校と学習院高等科は約20人、世田谷学園高等学校は25人で、中学の募集人員とは桁が違います。開成高等学校の100人や城北高等学校の80人、巣鴨高等学校の約70人は、高校受験の選択肢としてまとまった規模が残っている例です。

高校募集を続ける学校の入試日程は、一般財団法人東京私立中学高等学校協会が定める枠組みに沿っています。推薦入試は願書受付が2027年1月15日以降開始・選抜が1月22日以降、一般入試は願書受付が1月25日以降開始・選抜が2月10日以降です(帰国生入試は除く)。中学入試の願書受付が1月10日以降開始・選抜が2月1日以降であることと比べると、高校入試は約10日あとにずれています。

2027年度に起きた3つの変化

東京都の資料には、前年度からの変化が3点、注記として明記されています。

区分 学校 内容
新設 武蔵野音楽大学附属高等学校(男女校) 2027年度に高校として新設され、生徒募集校に加わった
募集再開(帰国生のみ) 聖心女子学院高等科(女子校) 生徒非募集校から生徒募集校へ。募集区分は帰国生入試のみ
募集停止 東邦音楽大学附属東邦高等学校(男女校) 高校の生徒募集を停止

このうち中学受験の家庭にとって意味があるのは後の2つです。

聖心女子学院高等科は、東京都の別表によると募集人員は「若干」で、募集区分は帰国生入試のみ。願書締切が2026年12月7日、選抜日と合格発表日がともに12月22日、試験科目は国語・数学・英語と面接、入学手続締切は12月23日です。一般入試・推薦入試は設けていないため、国内の中学3年生が通常の高校受験で入れる枠が開いたわけではありません。181校のうち募集区分が帰国生入試だけの学校はこの1校です。

東邦音楽大学附属東邦は、中学側の報道発表でも募集停止校として挙げられており、中学・高校の両方で生徒募集を停止します。中学の募集停止校は3校(成女学園中学校、東邦音楽大学附属東邦中学校、帝京八王子中学校)で、前年度の2校から1校増えました。

中学も高校も募集しない1校 ── 田園調布雙葉

52校のうち1校だけ、中学入試も高校入試も実施しない学校があります。田園調布雙葉です。東京都の中学側の報道発表では、2027年度の都内私立中学校184校のうち「生徒非募集校」は田園調布雙葉中学校の1校だけと明記されています。高校側の52校にも入っているため、中学・高校の両段階で外部からの募集がありません。

学校公式サイトでも同じ内容が確認できます。田園調布雙葉学園の「受験をお考えの方」のページに掲載されている入試情報は幼稚園と小学校の2つだけで、中学高等学校については転入・編入の案内しかありません。つまり、同校に入る通常の入口は幼稚園または小学校です。

学校公式サイトで確認できた「いつ高校募集をやめたか」

東京都の資料は2027年度の状態を示すだけで、各校がいつ高校募集をやめたのかは書かれていません。そこで、公式サイトに時期や方針を明記している学校を確認しました。確認できた4校は次のとおりです。

学校 公式サイトの記載 掲載ページ
豊島岡女子学園 「2022(令和4)年度より高等学校の募集はありません。」 2027年度 生徒募集要項のページ
三田国際科学学園 「高校募集は停止しています。」(一般入試・帰国生入試の各ページに注記) 入試情報 一般入試
東京農業大学第一 「本校は、2025年より完全中高一貫校として新たなスタートを切りました。」 受験生特設サイト
高輪 「平成26年度入試より高等学校の募集を停止しました。」(よくある質問) 入試Q&A

確認できた範囲では、高輪が平成26年度(2014年度)入試と最も早く、東京農業大学第一の2025年が最も新しいという幅があります。高校募集の停止は一時期に集中して起きたのではなく、学校ごとの判断で10年以上かけて進んできたことが分かります。残りの48校については、公式サイトに停止時期の記載を見つけられませんでした。志望校の過去の経緯を知りたい場合は、学校説明会や個別相談で直接たずねるのが確実です。

保護者・受験生への影響と対策

この52校というリストは、志望校表を作るときに3つの意味を持ちます。

1. 「高校でもう一度」が使えるかどうかの確認。中学受験で第1志望に届かなかった場合に高校受験で再挑戦する想定を立てるなら、その学校が生徒非募集校かどうかを先に確かめる必要があります。たとえば男子校では開成高等学校・城北高等学校・巣鴨高等学校・桐朋高等学校には高校募集がありますが、麻布中学校・武蔵中学校・駒場東邦中学校・海城中学校にはありません。女子校では、東京都の集計で生徒を募集する女子校39校のうち中高一貫の進学校は限られます。

2. 高校募集が残っていても枠は小さい。前掲の表のとおり、中高一貫校が残している高校募集枠は20人から100人程度です。中学の募集人員と比べて小さく、倍率も中学入試とは別の水準になります。「高校でも入れる」という事実だけで併願計画を楽観視しないほうがよいでしょう。

3. 6年間の集団が変わらないという特徴。生徒非募集校では高校入学者が加わらないため、中学1年で入った集団がそのまま高校3年まで続きます。学習進度を6年間で設計できる一方、途中で新しいメンバーが入る刺激はありません。どちらを好むかは家庭の価値観によるので、説明会で在校生の様子を見て判断したい点です。

注意点として、東京都の資料は令和8年9月24日現在でとりまとめたもので、東京都自身が「各学校の実施内容については、今後変更になる可能性がある」と明記しています。出願前には必ず志望校の2027年度募集要項で最終確認してください。

今後のスケジュール

時期 内容
2026年12月7日 聖心女子学院高等科 帰国生入試の願書締切
2026年12月22日 同 選抜日・合格発表日(入学手続締切は12月23日)
2027年1月10日以降 都内私立中学校の入学願書受付開始(各校の締切日は学校ごと)
2027年1月15日以降 都内私立高校の推薦入試 願書受付開始
2027年1月22日以降 都内私立高校の推薦入試 選抜日
2027年1月25日以降 都内私立高校の一般入試 願書受付開始
2027年2月1日以降 都内私立中学校の入学者選抜
2027年2月3日 都立中学校(一般枠募集)の適性検査(合格発表は2月9日)
2027年2月10日以降 都内私立高校の一般入試 選抜日
2027年2月21日 都立高校の一般入試(第一次募集。合格発表は3月1日)

よくある質問

「生徒非募集校」と「募集停止校」はどう違いますか

東京都の集計では別の区分です。生徒非募集校は、高等学校を設置していて在校生もいるけれども、高校段階では外部から生徒を募集しない学校を指します。いわゆる完全中高一貫校です。一方の募集停止校は、その学校自体が生徒の受け入れをやめた学校で、2027年度の高校では1校(東邦音楽大学附属東邦高等学校)が該当します。中学では成女学園中学校・東邦音楽大学附属東邦中学校・帝京八王子中学校の3校です。志望校選びでは、生徒非募集校は「中学で入れば6年間通える学校」、募集停止校は「今後その学校に入る道がなくなる学校」と読み分けてください。

52校のリストは毎年変わりますか

年度によって増減します。2027年度は52校で、前年度の53校から1校減りました。減ったのは聖心女子学院高等科が帰国生のみを対象に高校募集を再開したためです。男子校13校と男女校7校は前年度と同数で、変動したのは女子校だけでした。東京都は毎年10月上旬に翌年度の実施要項を公表しているので、最新の区分はその発表で確認できます。

中学受験の難易度に影響しますか

東京都の公表資料は募集人員と日程をまとめたもので、難易度そのものを示す数字ではありません。ただし、高校募集をやめた学校ではその分の生徒を中学入試で受け入れることになるため、中学の募集人員が増える場合があります。2027年度の都内私立中学校全体では、学校数が1校減ったにもかかわらず募集人員は88人増えて2万6,122人になりました。志望校の募集人員が前年度から動いているかどうかは、各校の2027年度募集要項で入試回ごとに確認するのが確実です。

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出典

最終更新: 2026年10月26日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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