2027年度(令和9年度)の中学入試まで4か月を切り、首都圏の私立中学校では2027年度募集要項の公開がほぼ出そろった。出願期間や試験科目に比べて読み飛ばされやすいのが、試験が終わってから受験生が校舎を出るまでに何分かかるかという記載である。2月1日に午前と午後で別の学校を受ける家庭では、この数分から30分の差が併願そのものの成否を決める。

各校の2027年度募集要項と入試Q&Aを確認し、試験終了後の退場・解散について記載がある26校を整理した。要点は三つある。第一に、多くの学校は全員を一度に帰さず、教室・階・受験番号・受付順のいずれかで時差退場させる。第二に、その所要時間を数字で公表している学校は少数で、最長は30分程度である。第三に、保護者と受験生の合流場所は学校が指定し、受験生が自由に校門へ向かうわけではない。

一覧:2027年度入試の「試験終了後の退場・解散」26校

都県の偏りが出ないよう並べた。出典はいずれも学校公式の2027年度募集要項または入試Q&Aである。「―」は要項・Q&Aに記載が見当たらなかった項目を示す。

学校名 所在 試験終了後の退場 保護者との合流・下校
東邦大学付属東邦 千葉 受験室ごとに時差退場。早い受験室は試験終了後5分程度、最も遅い受験室で30分程度。退場スケジュールはホームページで発表予定 ―
渋谷教育学園幕張 千葉 一次入試は各階ごとに時差解散し、全員の解散まで約30分。二次入試は終了後5分ほどで一斉解散。帰国生入試は面接終了後に順次流れ解散 控室は講堂(席数に限りあり)。送迎は入校時間と解散時間を目安に
本郷 東京 受験生は受験番号順に退室 ―
世田谷学園 東京 試験終了後はグループごとに下校誘導 ―
高輪 東京 ― 試験終了後、教職員が保護者を受験会場まで誘導し、保護者と一緒に下校
山脇学園 東京 ― 待ち合わせ場所・時間は当日案内。控室の保護者は外出自由だが試験終了時刻前に戻る
鎌倉学園 神奈川 ― 待ち合わせはグラウンドやピロティを利用
森村学園 神奈川 試験教室ごとの退室。試験終了時刻の15分後には全受験生が下校を完了する予定 ―
大宮開成 埼玉 入場が受付順のため、退出も受付の早い順 受付順に体育館・図書館などの合流場所へ誘導。保護者は指定時間までに指定場所へ戻る
香蘭女学校 東京 本校が指定する順に退出(入室順・受験番号順ではない)。終了・解散予定は12:40頃/17:30頃 礼拝堂で合流場所と時間を案内。解散時は受験番号で呼び出すため番号を控える
東京農業大学第一 東京 解散予定時刻を回ごとに明記(第1回12:50、第2回17:30/18:10、第3回16:50/17:50) 第2回も受験する場合は控室で待機可
山手学院 神奈川 A日程は2科受験生10:10〜10:20、4科受験生12:00〜12:10に諸連絡後退室。特待選抜はグループ①18:10〜18:20、グループ②19:15〜19:25 ―
富士見 東京 試験終了後、受験生に10分程度のアンケート(マークシート・合否には無関係)を実施 アンケート終了後に保護者と合流
駒込 東京 ― 保護者と受験生がスムーズに合流できるよう係が案内
東京家政大学附属女子 東京 試験終了後に5分程度の諸連絡。その後、受験生を試験会場入口まで誘導 合流場所は試験会場入口。引率の保護者は試験会場入口まで来る
佼成学園 東京 解答を終えた場合でも試験終了までは退出できない 試験終了までは受験生と会えないため、待ち合わせ場所(渡り廊下付近・正門前など)を事前に打ち合わせる
成城 東京 時間割に「解散 12:35〜」と明記 ―
昭和学院秀英 千葉 試験終了後、混雑を避けるため受験番号ごとに帰りの時間が異なることがある ―
日本大学豊山 東京 教室退出時刻は各入試終了後のおよそ20分後を予定 ―
東京成徳大学 東京 解答を終えた場合でも試験終了までは退出できない。途中で退出するとその時間の科目は再受験できない ―
佼成学園女子 東京 解答を終えた場合でも試験終了までは退室できない(発病等やむを得ない場合を除く) ―
三田国際学園 東京 理科と社会の間の5分は休憩時間ではなく、トイレ等での一時退出はできない ―
西武学園文理 埼玉 試験開始後、試験終了まで試験会場内からの退室は原則認めない ―
城北埼玉 埼玉 ― 下校時は試験終了10〜15分後に学校から各駅へスクールバスが出発(保護者は乗車不可)
獨協埼玉 埼玉 ― 試験終了後、本校からせんげん台駅までバスを運行
須磨学園 兵庫 3教科型は理科終了後、4教科型は社会終了後に退出 本校会場・三宮会場とも試験終了まで受験生と会えない。午後も続けて受験する場合は午前の入試終了後に保護者控室で一緒に食事可

時差退場に何分かかるかを数字で書いている学校

退場に要する時間を明示している学校は26校中5校だった。最も詳しいのは東邦大学付属東邦で、入試Q&Aに「受験室ごとに時差退場を行う」「早い受験室は試験終了後5分程度、最も遅い受験室で30分程度」と書き、退場スケジュールを入試直前にホームページで発表するとしている。渋谷教育学園幕張も一次入試について「全ての受験生が解散するまで約30分ほどかかる」と明記し、二次入試は5分ほどで一斉解散、帰国生入試は面接終了後の流れ解散と、回ごとに方式を分けている。

学校名 全受験生が出るまでの目安
東邦大学付属東邦 早い受験室は5分程度、最も遅い受験室で30分程度
渋谷教育学園幕張 一次入試は約30分(二次入試は約5分で一斉解散)
森村学園 試験終了時刻の15分後に下校完了予定
日本大学豊山 各入試終了後のおよそ20分後に教室退出
城北埼玉 試験終了10〜15分後にスクールバスが各駅へ出発

この5校を見ると、午後入試への移動時間は「試験終了時刻」ではなく「試験終了時刻+20〜30分」から逆算すべきことがわかる。受験生の数が多い学校、校舎が高層の学校ほど時差退場の幅が大きくなる傾向がある。

退場の順番は「受験番号順」とは限らない

退場の順番にも学校ごとの設計がある。本郷は「受験生は受験番号順に退室します」と要項に書き、昭和学院秀英は「混雑を避けるため、受験番号ごとに帰りの時間が異なることがあります」としている。一方で香蘭女学校は「本校が指定する順に退出します(入室順・受験番号順ではありません)」とわざわざ注意書きを置いている。

大宮開成はさらに踏み込み、試験会場への入場が受験番号順ではなく当日の受付順であることを前提に、退出も受付の早い順とした。早く着いた受験生が早く帰れる仕組みで、保護者も受付順に体育館・図書館などの合流場所へ誘導される。世田谷学園はグループごとの下校誘導、森村学園と東邦大学付属東邦は試験教室(受験室)ごとの退室である。

つまり「受験番号が早いから早く出られる」とは限らない。番号順の学校(本郷・昭和学院秀英)、受付順の学校(大宮開成)、学校が任意に決める学校(香蘭女学校)が混在している。

解散時刻を数字で公表している学校

時間割の末尾に解散予定時刻まで書く学校もある。東京農業大学第一は5つの試験区分すべてに解散予定時刻を置き、第2回の16:00集合枠は18:10解散である。山手学院の特待選抜はさらに遅く、グループ②が19:15〜19:25に諸連絡後退室となっている。真冬の夜の下校になるため、帰路の手配を先に決めておく必要がある。

学校名 回 解散・退室の時刻
東京農業大学第一 第1回(2月1日・8:20集合) 解散予定12:50
東京農業大学第一 第2回(2月1日・15:20集合/16:00集合) 解散予定17:30/18:10
東京農業大学第一 第3回(2月2日・14:30集合/15:30集合) 解散予定16:50/17:50
山手学院 A日程・2科受験生 10:10〜10:20に諸連絡後退室
山手学院 A日程・4科受験生 12:00〜12:10に諸連絡後退室
山手学院 特待選抜・グループ①/② 18:10〜18:20/19:15〜19:25
成城 第1回〜第3回 解散12:35〜
香蘭女学校 午前/午後 終了・解散予定12:40頃/17:30頃

保護者との合流場所は学校が指定する

試験終了後に受験生が自分で保護者を探すわけではない。東京家政大学附属女子は「試験終了後、受験生に諸連絡を行います(5分程度)」「諸連絡終了後に、受験生を試験会場入口まで誘導します」と手順を分解し、合流場所は試験会場入口と指定している。駒込は「保護者と受験生とがスムーズに合流できるよう、係がご案内いたします」、香蘭女学校は礼拝堂で合流場所と時間を案内し、解散時は受験番号で呼び出すため番号を控えるよう求めている。

高輪は入試Q&Aで、保護者同伴での来校を勧めたうえで「試験終了後、ご子息の受験会場まで保護者の方を本校教職員が誘導し、保護者の方と一緒に下校していただいています」と説明している。富士見は一般入試・算数1教科入試のいずれも試験終了後に10分程度のアンケート(マークシート・合否には無関係)を行い、アンケート終了後に保護者と合流する設計である。

控室を使わない家庭には、待ち合わせ場所を自分で決めさせる学校もある。鎌倉学園は「試験終了後に待ち合わせをされる場合は、グラウンドやピロティなどをご利用ください」、佼成学園は「試験終了までは受験生とは会えませんので、待ち合わせ場所(渡り廊下付近、正門前など)は事前に打ち合わせを」と要項に書いている。山脇学園は待ち合わせ場所・時間を当日案内する方式である。

試験中の途中退出は原則できない

「早く解き終わったので先に出たい」は、ほぼどの学校でも通らない。佼成学園と佼成学園女子はともに「解答を終えた場合でも、試験終了までは退出できません」と明記し、西武学園文理は「試験開始後、試験終了まで試験会場内からの退室は原則認めません」としている。

東京成徳大学はさらに踏み込み、「試験の途中で退出した場合、その時間の科目は再受験できません」と結果まで書いている。三田国際学園は理科と社会の間の5分について「休憩時間ではありません。トイレ等で一時退出することはできません」と注意している。体調が悪くなった場合の申し出は別扱いなので、無理をせず試験監督に伝えるのが正しい。

試験終了後の交通手段

郊外の学校では、終了後の帰りの便まで要項に書かれている。城北埼玉は「下校時は、試験終了10〜15分後に学校から各駅に向けて出発します」とスクールバスの発車時刻を示し、保護者はこのバスに乗車できない。獨協埼玉は試験終了後に本校からせんげん台駅までバスを運行する。

関西では須磨学園が、本校会場・三宮会場のいずれでも試験終了まで受験生と会えないとしたうえで、午後からも続けて受験する場合は午前の入試終了後に保護者控室で一緒に食事をとれると案内している。3教科型は理科終了後、4教科型は社会終了後に退出となるため、同じ会場でも退出時刻が二つに分かれる。

保護者・受験生への影響と対策

第一に、午後入試の移動時間は「試験終了時刻+30分」で見積もる。要項に所要時間の記載がない学校では、東邦大学付属東邦や渋谷教育学園幕張の「最大30分」を上限の目安にするのが安全である。移動に余裕がない併願を組むより、午後入試の集合時刻に間に合う組み合わせへ組み替えるほうがよい。

第二に、合流場所を出願前に確認し、当日は受験生にも伝えておく。合流場所が「試験会場入口」(東京家政大学附属女子)なのか「礼拝堂での呼び出し」(香蘭女学校)なのか「自分で決めた待ち合わせ場所」(佼成学園・鎌倉学園)なのかで、受験生の動き方が変わる。受験番号で呼ばれる学校では、保護者が番号を手元に残しておく必要がある。

第三に、遅い時刻の入試は帰路を先に決める。山手学院の特待選抜グループ②(19:25退室)や東京農業大学第一の第2回16:00集合枠(18:10解散)のように、解散が夜になる回がある。東京農業大学第一は第2回も受験する場合に控室で待機できると案内しており、こうした待機の可否も事前に確認しておきたい。

第四に、時差退場の詳細は入試直前に出る。東邦大学付属東邦は退場スケジュールをホームページで発表予定としている。1月中旬以降、出願済みの学校のサイトを再確認する習慣をつけておくとよい。

今後のスケジュール

時期 確認すること
2026年10月〜11月 東京・神奈川校の2027年度募集要項の詳細版が順次公開。退場・解散の記載は「受験上の注意」「保護者の方へ」欄に入る
2026年12月 併願校の組み合わせを確定。午前校の解散時刻+移動時間が午後校の集合時刻に収まるか検算する
2027年1月上旬 埼玉・千葉入試が始まる(1月10日前後)。城北埼玉・獨協埼玉のバス発車時刻、大宮開成の受付順退出を再確認
2027年1月中旬〜下旬 各校が「入試当日の案内」を公開。東邦大学付属東邦の時差退場スケジュールなど、直前に出る情報を拾う
2027年2月1日〜 東京・神奈川入試。午前校の退場に時間がかかった場合に備え、午後校への移動は代替経路も用意しておく

よくある質問

試験が終わってすぐに校舎を出られる学校はありますか

渋谷教育学園幕張の二次入試は「試験終了後、5分ほどで一斉解散」と要項に明記されており、全体では早いほうである。東邦大学付属東邦も早い受験室は終了後5分程度である。ただし同じ学校でも回によって方式が違い、渋谷教育学園幕張の一次入試は約30分かかる。「この学校は早い」ではなく「この回は早い」と考えるべきである。

午前校の解散が遅れて午後校に間に合わなかった場合はどうなりますか

遅刻の扱いは午後校の規定次第で、学校によって認められる時間が異なる。交通機関の乱れについては各校がホームページで対応を告知する運用が一般的だが、退場の混雑は交通機関の遅延には当たらない。したがって、解散の所要時間は自己責任で見積もるしかない。要項に所要時間の記載がない午前校を受ける場合は、30分の余裕を前提に午後校を選ぶのが現実的である。

保護者が控室を使わない場合、どこで待てばよいですか

学校の指定に従うのが原則である。鎌倉学園はグラウンドやピロティを待ち合わせ場所として案内し、佼成学園は渡り廊下付近や正門前を例示している。一方で、車での送迎や路上での待機を禁じている学校が多いため、校外で待つ場合も駅やその周辺に限るのが無難である。山脇学園のように待ち合わせ場所を当日案内する学校では、受験生を送り出したあとに掲示や係員の案内を確認しておきたい。

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出典

最終更新: 2026年10月8日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)

中学受験専門塾で長年、受験生と保護者の進路相談を担当している中村です。偏差値・倍率・過去問傾向・学校ごとの出題特徴をもとに、志望校選びをわかりやすくサポートしています。

特に得意なのは、単に偏差値だけで学校を判断するのではなく、
「倍率」「受験者数の推移」「合格可能性」「併願パターン」まで含めて、一人ひとりに合った本当に狙いやすい学校を見つけることです。