2027年度(令和9年度)の中学入試まで3か月あまり。各校の募集要項が出そろうなかで、共学校の要項を並べると「募集人員を男子・女子で分けている学校」と「男女の別を設けない学校」の2通りがあることがわかります。男女別に定員を置く学校では、同じ試験・同じ問題を受けても合格ラインが男子と女子で別々に決まります。志望校の実質倍率を読むうえで見落とせない違いです。

2027年度は、この男女別定員そのものを動かす学校も出ました。高槻中学校は2027年度の定員を264名に変更し、A日程・B日程とも男女の内訳を組み替えます。一方で公立中高一貫校の募集定員は、男女の別を設けずに示す形が広がっています。本稿では首都圏と関西の共学校16校について、2027年度の募集要項に書かれた男女別定員の有無を1校ずつ確認し、公表されている男女別の合格最低点とあわせて整理しました。数値・日程はいずれも出典時点の公表内容です。出願前に各校の最新の募集要項でご確認ください。

高槻中学校が2027年度の男女比を148対116に組み替え

まず2027年度の変更点から。高槻中学校(大阪府高槻市)の2027年度生徒募集要項は、募集人員を男子約148名・女子約116名の計264名としています。日程別の内訳は次のとおりです。

試験区分 男子 女子 2027年度の変更
A日程入試(土) 約108名 約88名 男女とも減員
英語選択型入試 男女 若干名 -
B日程入試(日) 約40名 約28名 女子のみ減員
合計 約148名 約116名 計264名

同校が公開している募集要項の解説資料では、変更の理由まで書かれています。1クラスあたりの定員を1名減らすこと、そして「2026年入試B日程で、男子の合格最低点が女子を9点上回ったので、B日程男子の定員は減らしません」という判断です。男女比の推移は180対90 → 160対110 → 150対120 → 148対116と同校が明示しており、女子枠を段階的に広げてきた流れのなかに2027年度の変更が位置づけられています。検定料は各日程20,000円、出願期間は2026年12月1日10:00〜12月25日23:59です。

2027年度に男女別定員を置く共学校9校

要項で「男子○名・女子○名」と分けて示している学校を、2027年度の数値で並べます。男女で定員が違う学校と、男女同数に揃えている学校の両方がある点に注意してください。

学校 試験区分 男子 女子
慶應義塾中等部 一次試験 2月3日 約120名 約50名
二次試験(2月5日)は女子7:50頃〜11:00頃、男子10:00頃〜18:00頃と性別で時間帯が分かれる
早稲田実業学校中等部 一般(計約110名) 約70名 約40名
桐光学園中学校 第1回 2月1日 80名 50名
第2回 2月2日 80名 50名
第3回・英語資格・総合型 2月3日 合計60名 合計30名
法政大学第二中学校 帰国生 1月10日 若干名 若干名
一般第1回 2月2日 70名 70名
一般第2回 2月4日 35名 35名
明治大学付属明治中学校 第1回(帰国生含む) 約45名 約45名
第2回(帰国生含む) 約30名 約30名
成蹊中学校 第1回 2月1日 約45名 約45名
第2回 2月4日 約20名 約20名
日本大学第二中学校 第1回 2月1日午前 74名 74名
第2回 2月3日午前 40名 40名
同志社香里中学校 前期 1月16日(計約190名・内部進学者含む) 約95名 約95名
後期 1月18日(計約50名) 約25名 約25名
高槻中学校 A日程 約108名 約88名
B日程 約40名 約28名
英語選択型 男女 若干名

男女で枠の大きさが違うのは慶應義塾中等部(男子約120名・女子約50名)、早稲田実業学校中等部(男子約70名・女子約40名)、桐光学園中学校、高槻中学校の4校です。桐光学園は男子部・女子部に分かれた別学校のため、入試そのものが男女別に設計されています。

これに対し法政大学第二中学校・明治大学付属明治中学校・成蹊中学校・日本大学第二中学校・同志社香里中学校の5校は、男女まったく同数の枠を置いています。成蹊中学校は受験番号まで分けており、第1回は男子1001番から・女子1501番から、第2回は男子2001番から・女子2501番からと要項に明記しています。

男女の別を設けない共学校6校

同じ共学校でも、要項に男女の区別を書かず、総数だけを示す学校があります。こちらは男女の受験者をまとめて得点順に判定する形です。

学校 2027年度の募集人員 要項の書き方
市川中学校 第1回(1月20日・幕張メッセ)280名/第2回(2月4日)40名 性別の記載なし。12月帰国生入試は若干名で、第1回の定員に含む
青山学院中等部 約140名 「男女合わせて約140名」と明記
成城学園中学校 一般第1回 約70名/一般第2回 約50名/海外帰国生 約10名 いずれも「男女約○名」
森村学園中等部 第1回40名/第2回30名/第3回20名 性別の記載なし
公文国際学園中等部 帰国生入試・A入試・B入試 すべての区分で「○名(男女)」と表記
洛南高等学校附属中学校 約280名(内部進学者約90名を含む) 出願資格は「男女」。定員に男女の別なし

市川中学校は2027年度の要項で、第1回入学試験の募集定員を280名とだけ記載しています。第1回は1月20日に幕張メッセで実施し、出願期間は2026年12月15日正午〜2027年1月16日15:00、合格発表は1月22日正午です。青山学院中等部は「男女合わせて約140名」という書き方で、出願期間は2027年1月10日10:00〜30日正午、検定料30,000円となっています。

定員が男女別だと、合格最低点も男女別になる

男女別定員の実務上の意味は「合格ラインが男女で別々に決まる」ことに尽きます。実際に男女別の合格最低点を公表している学校があります。

学校 年度・試験 男子 女子 差
洛南高等学校附属中学校 令和8年度 専願の合格点 221点 235点 女子が14点高い
法政大学第二中学校 2026年度 一般第1回 240点 238点 男子が2点高い
高槻中学校 2026年度 B日程 男子が女子を上回った 9点

洛南高等学校附属中学校は募集定員に男女の別を置いていませんが、合格発表では専願の合格点を男子221点・女子235点と性別ごとに示し、併願は男女共通で260点としています。令和8年度の入試状況は出願者902名(男子629名・女子273名)、受験者822名(男子557名・女子265名)、合格者296名(男子205名・女子91名)でした。

法政大学第二中学校の2026年度一般第1回は、男女同数の70名ずつという枠のもとで、志願者880名(男子467名・女子413名)、受験者684名(男子380名・女子304名)、合格者は男子122名・女子102名。合格最低点は男子240点・女子238点でした。男女同数の枠でも、受験者数が男女で違えば合格者数と合格ラインは別々の数字になります。

この「男女で合格ラインが変わる」構造は、公立でも長く議論されてきました。東京都教育委員会は男女別定員を定める都立高校で緩和措置を実施し、その実施状況を公表しています。令和4年度入学者選抜の10%緩和では、男女合同定員にした場合と結果が同じになる学校が109校中81校(74%)で、男女の合格最低点の差が最も大きい学校は59点差でした。令和5年度の20%緩和では同じ結果になる学校が108校中99校(92%)に増え、最大の点差は51点に縮まっています。都教育委員会はこの結果を踏まえ、令和6年度入学者選抜から男女合同選抜へ移行しました。

公立中高一貫校の定員は男女の別を設けない書き方

中学受験で併願先になる公立中高一貫校を見ると、2027年度(令和9年度)の募集定員は男女の別を設けずに示されています。

学校 令和9年度の募集定員 検査日
千葉県立千葉中学校 80名 一次検査 2026年12月5日/二次検査 2027年1月24日
千葉県立東葛飾中学校 80名 同上
神奈川県立相模原中等教育学校 160名 出願 2026年12月21日〜2027年1月4日

千葉県立の2校は出願登録期間が2026年10月27日〜11月9日、結果発表が12月16日午前9時です。二次検査の受検候補者は募集定員の4倍程度とされています。私立の共学難関校に男女別定員が残る一方で、公立側は男女を分けない形に寄っている、という対比になっています。

保護者・受験生への影響と対策

第一に、倍率は「学校全体」ではなく「自分の性別の枠」で見ることです。 桐光学園中学校の2026年度入試は、第1回が男子80名の枠に210名、女子50名の枠に106名の応募でした。学校全体の応募者数を定員合計で割った数字は、どちらの受験生の実感とも一致しません。男女別定員の学校では、必ず自分の性別の募集人員と応募者数を突き合わせてください。

第二に、過去問の合格最低点も性別で読み分けることです。 洛南高等学校附属中学校のように14点差がつく年があります。学校サイトの入試結果ページに男子・女子の欄が分かれていれば、自分の側の数字を目標点に設定します。男女共通の数字しか出ていない学校は、男女まとめて判定していると考えてよい場合が多いですが、断定できないときは学校説明会や個別相談で確認しておくと確実です。

第三に、男女比の変更は受験年の倍率に直結します。 高槻中学校のように女子枠を段階的に広げている学校では、前年の倍率がそのまま使えません。A日程・B日程とも男女の定員が動いた2027年度は、前年の実質倍率をそのまま当てはめず、定員の増減分を割り引いて考える必要があります。説明会資料で定員変更の理由まで公開している学校は、その説明自体が翌年以降の方針を読む材料になります。

第四に、試験当日の運用も性別で分かれることがあります。 慶應義塾中等部の二次試験は2月5日に女子7:50頃〜11:00頃、男子10:00頃〜18:00頃という時間帯で、男子は半日以上を学校で過ごす前提になります。併願校の集合時刻と重ならないか、出願前に確認しておきましょう。

今後のスケジュール

時期 内容
2026年10月27日〜11月9日 千葉県立千葉中・東葛飾中の出願登録
2026年12月1日〜12月25日 高槻中学校の出願(志願者サイト)
2026年12月5日 千葉県立中学校 一次検査
2026年12月15日正午〜2027年1月16日 市川中学校 第1回の出願
2026年12月21日〜2027年1月4日 神奈川県立相模原中等教育学校の出願
2027年1月10日〜30日正午 青山学院中等部の出願
2027年1月16日・18日 同志社香里中学校 前期・後期
2027年1月20日 市川中学校 第1回(幕張メッセ)
2027年2月1日〜4日 東京・神奈川の男女別定員校が集中(桐光学園・成蹊・日本大学第二・法政大学第二ほか)
2027年2月3日・5日・6日 慶應義塾中等部 一次試験・二次試験・合格発表

よくある質問

男女別定員は共学校の多数派ですか

いいえ。今回確認した範囲では、男女別に定員を置く共学校のほうが限られています。大学附属校(慶應義塾中等部、早稲田実業学校中等部、法政大学第二中学校、明治大学付属明治中学校、日本大学第二中学校、同志社香里中学校)と、男女別学の桐光学園中学校に集中する傾向がありました。市川中学校、青山学院中等部、成城学園中学校、森村学園中等部、公文国際学園中等部のように、男女の別を設けない共学校も多くあります。募集要項の「募集人員」欄に性別の記載があるかどうかで判断できます。

男女同数の定員なら、男女で有利・不利は生じませんか

男女同数でも、応募者数が男女で違えば倍率は変わります。法政大学第二中学校の2026年度一般第1回は男女とも70名の枠に対し、受験者は男子380名・女子304名で、合格者は男子122名・女子102名、合格最低点は男子240点・女子238点でした。枠が同じでも結果の数字は別々に出ます。自分の性別の受験者数と合格者数で倍率を計算してください。

募集人員の「若干名」はどう考えればよいですか

人数を確約しない枠という意味で、帰国生入試や英語選択型入試でよく使われます。高槻中学校の英語選択型入試、法政大学第二中学校の帰国生入試(男子若干名・女子若干名)、市川中学校の12月帰国生入試などが該当します。市川中学校のように帰国生の合格者を第1回入試の定員に含めると明記している学校もあるため、一般入試の枠がその分だけ目減りする点も含めて要項を読んでおくと安全です。

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出典

最終更新: 2026年10月18日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)

中学受験専門塾で長年、受験生と保護者の進路相談を担当している中村です。偏差値・倍率・過去問傾向・学校ごとの出題特徴をもとに、志望校選びをわかりやすくサポートしています。

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「倍率」「受験者数の推移」「合格可能性」「併願パターン」まで含めて、一人ひとりに合った本当に狙いやすい学校を見つけることです。