東京都は2026年10月7日、令和9年度(2027年度)都内私立中学校入学者選抜実施要項を公表した。令和8年9月24日現在で取りまとめた集計で、2027年度に生徒を募集する都内私立中学校は180校、募集人員の合計は2万6,122人。前年度と比べて学校数は1校減り、募集人員は88人増えた。中学受験の志望校選びで「倍率」を読むときの分母になる数字が、これで2027年度分も確定したことになる。

同時に、2027年度から中学の生徒募集を行わない学校や、募集を停止する学校、そして共学化する学校も明らかになった。本記事では東京都の報道発表資料をもとに全体像を整理し、あわせて都内私立中15校の2027年度募集要項から回ごとの募集人員を一次情報で確認して一覧にした。募集人員は「受験生が何人受かるか」ではなく「学校が何人入学させる予定か」を示す数字で、同じ学校でも入試回によって10倍以上の差がつくことがある。その読み方まで含めて解説する。

東京都の発表:募集校180校・募集人員2万6,122人

まず全体像を押さえたい。東京都生活文化局が公表した集計では、都内私立中学校184校のうち2027年度に生徒を募集するのが180校、生徒非募集校が1校、募集停止校が3校となっている。学校数の集計には休校中の学校と特別支援学校は含まれない。募集人員が「若干」と書かれている場合は0人として集計されているため、実際に入学できる人数はこの集計よりやや多くなる。

区分 令和9年度(2027年度) 令和8年度(2026年度) 増減
男子校 28校/5,872人 28校/5,857人 学校数±0/+15人
女子校 60校/8,962人 61校/8,999人 学校数-1/-37人
男女校(共学) 92校/11,288人 92校/11,178人 学校数±0/+110人
合計 180校/26,122人 181校/26,034人 学校数-1/+88人
特別支援学校(別集計) 3校/15人 3校/16人 学校数±0/-1人

出典:東京都「令和9年度都内私立中学校入学者選抜実施要項」(2026年10月7日・生活文化局)。令和8年9月24日現在。募集人員が「若干」の場合は0人として集計。

増えた88人の中身を見ると、伸びたのは共学校(男女校)だけである。男女校が110人増、男子校が15人増の一方で、女子校は1校減って37人減った。学校数の構成も男女校92校・女子校60校・男子校28校で、共学校が全体の半分を占める。「女子校が減り、共学校が増える」という近年の流れが、2027年度の募集人員にもそのまま表れた形だ。

なお募集状況別の学校数は、生徒募集校180校・生徒非募集校1校・募集停止校3校の合計184校で、前年度の184校と同数。募集停止校だけが前年度の2校から1校増えている。

2027年度に中学募集を行わない学校と、共学化する学校

東京都の発表で名前が挙がった学校は次の5校である。「生徒非募集校」は中学入試そのものを実施しない学校、「募集停止校」は生徒募集を停止している学校を指す。志望校リストに入れていた家庭は、まずここを確認したい。

学校名 区分 2027年度の扱い
田園調布雙葉中学校 女子校 生徒非募集(中学の生徒募集を行わない)
成女学園中学校 女子校 募集停止
東邦音楽大学附属東邦中学校 男女校 募集停止
帝京八王子中学校 男女校 募集停止
吉祥寺湧水中学校(現・藤村女子中学校) 女子校 令和9年4月1日より共学化

出典:東京都「令和9年度都内私立中学校入学者選抜実施要項」(2026年10月7日)の注記。

とくに藤村女子中学校が2027年4月1日から「吉祥寺湧水中学校」に校名を変えて共学化する点は、2027年度入試を受ける家庭にとって実務的な影響がある。2027年4月入学の生徒は新校名・共学の1期生となるため、学校説明会や募集要項の表記が年度途中で切り替わる可能性がある。出願時には、どちらの校名で案内されているかを確認しておきたい。

応募倍率は7.1倍:募集人員が増えても倍率は下がっていない

募集人員が増えれば受かりやすくなる、とは限らない。東京都が公表した応募状況の推移を見ると、募集人員の増加を上回るペースで応募者が増えているため、倍率は上がり続けている。

年度 募集人員 応募者数 応募倍率 入学者数
令和9年度(2027年度) 26,122人(+88人) ― ― ―
令和8年度(2026年度) 26,034人(+238人) 186,301人(+7,953人) 7.1倍(+0.2ポイント) 26,294人(+444人)
令和7年度(2025年度) 25,796人(+177人) 178,348人(+6,301人) 6.9倍(+0.2ポイント) 25,850人(+285人)

出典:東京都「令和9年度都内私立中学校入学者選抜実施要項」(2026年10月7日)。カッコ内はいずれも前年度比。倍率は小数点第2位を四捨五入。入学者数は小学校からの内部進学者を含まない。

2026年度は募集人員2万6,034人に対して応募が18万6,301人で、倍率7.1倍。2025年度の6.9倍から0.2ポイント上がった。この「応募倍率」は1人が複数回・複数校に出願した件数を合計した数字なので、実際の合格率を示すものではない。1人あたり平均で7校分近く出願している、と読むのが近い。

注目したいのは入学者数が募集人員を上回っている点だ。2026年度は募集人員2万6,034人に対して入学者2万6,294人(小学校からの内部進学者を除く)で、260人多い。募集人員は定員の目安であり、学校は辞退を見込んで多めに合格を出すため、実際の入学者はこれを超えることがある。募集人員が少ない入試回でも、見かけの数字ほど門が狭くないケースがあるということでもある。

主な都内私立中の2027年度 募集人員(回別)

東京都の発表に添付された別表には全180校の募集人員が載っているが、画像化されたPDFのため学校別の数字を本記事では引用していない。代わりに、各校が公表している2027年度(令和9年度)募集要項から、回ごとの募集人員を直接確認して一覧にした。「単純合計」は各回の募集人員を足した数字で、学校が合計を明記していない場合も含む。

学校名 区分 回ごとの募集人員(2027年度) 単純合計
本郷中学校 男子校 第1回100名(2/1)・第2回140名(2/2)・第3回40名(2/5) 280名(学校が「第一学年 男子280名」と明記)
成城中学校 男子校 第1回100名(2/1)・第2回140名(2/3)・第3回40名(2/5) 280名
世田谷学園中学校 男子校 1次試験60名(本科55・理数5)・算数特選30名(本科15・理数15)・2次試験80名(本科65・理数15)・3次試験30名(本科25・理数5) 200名
山脇学園中学校 女子校 一般A70名(2/1)・一般B50名(2/2午後)・一般C40名(2/4)・国語1科/算数1科50名(2/1午後)・理数探究20名(2/3午後)・英語A/B/Cは帰国生入試と合わせて50名 280名
富士見中学校 女子校 第1回100名(2/1)・第2回80名(2/2)・第3回40名(2/3)・算数1教科20名・英語資格利用は各回若干名 240名+若干名
恵泉女学園中学校 女子校 第1回80名・第2回70名・第3回30名 180名
香蘭女学校中等科 女子校 第1回100名(2/1午前・4教科)・第2回60名(2/2午後・2教科) 160名
三田国際学園中学校 男女校 第1〜4回とMST入試の全体で160名(帰国生入試30名を含む) 160名
安田学園中学校 男女校 全6回の全体で「第1学年 男女240名」 240名
大妻中野中学校 女子校 アドバンスト入試5回=約55名(2/1午前)・約50名(2/1午後)・約45名(2/2午後)・約25名(2/3午前)・約10名(2/4午前)/海外帰国生入試 約36名 約185名(+帰国生約36名)
大妻多摩中学校 女子校 第1回45名(2/1午前)・第2回35名(2/1午後)・第3回30名(2/2午前)・第4回20名(2/2午後)・第5回10名(2/4) 140名
日本大学第二中学校 男女校 第1回 男子74名・女子74名(2/1午前)・第2回 男子40名・女子40名(2/3午前) 228名
立正大学付属立正中学校 男女校 第1回午前100名(2/1)・第1回午後20名(2/1午後)・第2回20名(2/2)・第3回10名(2/3)・第4回10名(2/7) 160名
女子聖学院中学校 女子校 第1回50名・スカラシップ(第2回)30名・BaM表現力5名・第3回20名・第4回10名・第5回10名・第6回10名・スカラシップ英語資格利用5名 140名
新渡戸文化中学校 男女校 35名(2/1)・10名(2/2)・若干名・若干名 45名+若干名

出典:各校が公表している2027年度(令和9年度)生徒募集要項。2026年10月12日時点の掲載内容。実施内容は今後変更される可能性があるため、出願前に各校公式サイトで必ず確認すること。

一覧にして見えてくるのは、同じ学校のなかで入試回ごとの募集人員の差が非常に大きいことだ。本郷中学校は第2回が140名で第3回が40名、女子聖学院中学校は第1回50名に対してBaM表現力入試が5名、スカラシップ英語資格利用入試が5名である。募集人員が少ない回は、辞退を見込んだ上乗せが効きにくく、結果として実質倍率が跳ね上がりやすい。併願の組み方を考えるときは、学校の偏差値だけでなく「その回の募集人員」を必ず見ておきたい。

もうひとつの傾向は、午後入試と1科目入試に小さな枠を置く設計が標準になっていることである。世田谷学園中学校の算数特選30名、山脇学園中学校の国語1科・算数1科50名と理数探究20名、富士見中学校の算数1教科20名、大妻多摩中学校の第2回・第4回(いずれも午後)55名分がそれにあたる。募集人員の総数が大きく動かなくても、その中身は「午前の4教科1本」から「午前+午後の細かい枠」へと置き換わってきている。

「若干名」は都の集計では0人として扱われる

東京都の集計には「若干は0人として集計」という注記がある。つまり募集人員を「若干名」と書いている入試回は、2万6,122人という合計に1人も計上されていない。実際に入学する生徒がいるのに集計上は0人なので、合計値は実態よりやや少なめに出ることになる。

2027年度の要項で「若干名」や定員非設定を採用している例としては、富士見中学校の英語資格利用入試(第1〜3回とも若干名)、新渡戸文化中学校の後半2区分がある。さらに佼成学園女子中学校は2027年度要項で「定員は特に定めず(規定の点数を越えた受験生は全員合格とします)」と明記しており、募集人員という概念自体を置いていない。倍率を気にする家庭にとっては、こうした入試回の存在も知っておく価値がある。

2027年度に募集の枠組みを変える学校

募集人員の総数とは別に、入試回の構成そのものを組み替える学校がある。2027年度要項で確認できたものを挙げる。

  • 大妻多摩中学校……2027年度は2月1日午前・2月1日午後・2月2日午前・2月2日午後・2月4日の5回すべてを教科型とし、午前3回は「2科(国算)・4科」の選択、午後2回は「2科(算国)・1科(算数)」の選択とした。英検加点は4級3点・3級5点・準2級10点・準2級プラス13点・2級以上15点。
  • 日本大学第二中学校……2027年度の第1回・第2回はいずれも「4科(国算理社)または2科(国算)」の選択制。募集人員は男女別で、第1回が男子74名・女子74名、第2回が男子40名・女子40名となっている。
  • 十文字中学校……2027年度要項では英検利用入試を2月1日午前の「英検利用①」と2月2日午前の「英検利用②」の2回に設定している(2026年度要項では英検利用は2月1日午前の1回のみ)。
  • 明治大学付属世田谷中学校……2027年度に2月2日午後の「算数・理科入試」を新設し、第1回60名・第2回20名・第3回40名の計120名を募集すると報じられている(第2回のみ算数・理科の2教科各50分100点、午後3時集合)。同校サイトは本記事の調査時点で接続できなかったため、数値は教育メディアの報道による。

こうした「回の組み替え」は、学校全体の募集人員が変わらなくても受験生の併願設計を大きく変える。2月1日午後や2月2日午後に新しい枠ができると、その時間帯に入れていた別の学校の受験を見直す必要が出てくるためだ。

保護者・受験生への影響と対策

今回の発表を受けて、いまの時期にやっておきたいことを4点に整理する。

1. 志望校が180校に入っているかを確認する。生徒非募集・募集停止の5校に該当する学校を志望校リストに入れていた場合、代わりの学校を探す必要がある。とくに女子校は学校数が1校減っているため、女子の受験生は併願候補の数そのものを見直したい。

2. 「学校の募集人員」ではなく「受ける回の募集人員」で考える。上の一覧のとおり、同じ学校でも回によって10名から140名まで開きがある。140名の回と10名の回では、必要な得点も合格の読み方もまったく違う。過去問演習の優先順位は、募集人員が大きい回から組むのが基本になる。

3. 倍率7.1倍という数字に引っぱられない。これは応募件数を募集人員で割った数字で、1人が複数回出願すればそのぶん膨らむ。志望校の実質倍率(受験者数÷合格者数)は各校が入試結果ページで公表しているので、そちらを見るほうが実態に近い。

4. 10月後半から11月の要項更新を追う。東京都の集計は令和8年9月24日現在の情報で、都自身が「各学校の実施内容については、今後変更になる可能性がある」と注記している。10月から11月は各校が募集要項の詳細版を出す時期にあたるため、出願直前にもう一度確認する前提で動きたい。

今後のスケジュール

2027年度の都内中学入試の主な日程は次のとおり。私立の日程は一般財団法人東京私立中学高等学校協会の申し合わせで枠が決まっている。

時期 内容
2026年10月〜11月 各校が2027年度募集要項の詳細版を公開。学校説明会・入試説明会の最終回が集中する
2026年12月20日(日)ごろ 多くの学校でインターネット出願の入力・検定料決済が可能になる(本郷中学校・世田谷学園中学校・成城中学校・立正大学付属立正中学校はいずれも12月20日開始)
2027年1月10日(日) 私立中学校の入学願書受付開始(東京私立中学高等学校協会の申し合わせにより、この日以降)
2027年2月1日(月) 私立中学校の入学者選抜開始(同協会の申し合わせにより、この日以降)
2027年2月3日(水) 都立中学校・都立中等教育学校の適性検査実施日(一般枠募集)
2027年2月9日(火) 都立中学校・都立中等教育学校の合格発表日(一般枠募集)

出典:東京都「令和9年度都内私立中学校入学者選抜実施要項」(2026年10月7日)、および各校2027年度募集要項。応募資格は令和9年3月に小学校第6学年を修了見込みの者。帰国生入試はこの申し合わせの対象外。

私立の出願開始が1月10日で統一されている一方、締切は学校ごとに違う。本記事で確認した学校では、山脇学園中学校が「各試験日当日の7:00(決済完了時刻)」まで、大妻中野中学校が「試験日前日23:59」まで、本郷中学校が回ごとに1月31日・2月1日・2月4日の各23:59までと幅がある。直前出願を考えるなら、締切の時刻まで要項で確認しておきたい。

よくある質問

募集人員が増えた学校は受かりやすくなりますか

一概には言えない。2027年度の都内私立中全体では募集人員が88人増えたが、過去2年は募集人員の増加を上回って応募者が増え、応募倍率は6.9倍→7.1倍と上昇している。募集人員が増えると「受かりやすくなった」と受け取られて出願が集まり、結果として倍率が変わらないか上がることもある。判断材料にするなら、募集人員の増減ではなく各校が公表する実質倍率(受験者数÷合格者数)の推移を見るほうが確実である。

「募集人員」と「定員」「入学者数」はどう違うのですか

募集人員は、学校がその入試で入学させる予定として公表する人数である。実際の入学者数はこれと一致しない。東京都の集計では2026年度の募集人員2万6,034人に対し、小学校からの内部進学者を除く入学者数は2万6,294人で、260人多かった。学校は入学辞退を見込んで募集人員より多く合格を出すため、入学者が募集人員を上回ることがある。逆に辞退が想定より多ければ、繰上合格(補欠合格)で調整される。

募集人員が「若干名」の入試は受けるべきでしょうか

募集人員が少ない回や「若干名」の回は、合格のハードルが読みにくい。東京都の集計でも「若干」は0人として扱われており、公表された合計人数には含まれていない。一方で、佼成学園女子中学校のように「定員は特に定めず、規定の点数を越えた受験生は全員合格」と明記する学校もあり、少人数枠が必ず狭き門というわけでもない。受けるかどうかは、その回の過去の受験者数・合格者数が公表されているかを確認し、公表がない場合は学校説明会で直接たずねるのが確実である。

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出典

最終更新: 2026年10月12日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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