中学受験の志望校選びで最後に効いてくるのが「入ったあとの進路」です。大学通信が2026年8月17日に公表した「2026年難関10国立大現役進学者数」の千葉県分には、公立16校・私立17校の計33校が掲載されました。私立で最も多かったのは渋谷教育学園幕張の127人、続いて市川86人、昭和学院秀英33人、東邦大学付属東邦32人です。

この調査が示しているのは、学校案内でよく目にする「合格者数」ではなく実際にその大学へ進んだ「現役進学者数」です。合格者数は1人が複数の大学に合格すれば重複して数えられますが、進学者数は1人につき1校しかカウントされません。学校間の比較には、こちらのほうが実態に近い数字になります。

この記事では千葉県の私立17校の数字を整理したうえで、そのうち何校が中学受験で入れるのかを千葉県が公表した令和9年度(2027年度)の私立中学校募集要項と突き合わせ、さらに各校が自校サイトで公表している合格者数と並べて「合格」と「進学」がどれだけ違うのかを確認します。数値はすべて出典時点の公表値です。

この調査の読み方 ― 「合格者数」ではなく「現役進学者数」

大学通信は全国約4,300校を対象に進学状況のアンケートを実施し、回答のあった高校について難関10国立大学への現役進学者数と進学率を集計しています。難関10国立大学とは東京大、京都大、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大、東京科学大、一橋大、神戸大の10大学です。

表を見る前に、押さえておきたい前提が4つあります。

  • 数字は全入試枠の合計。一般選抜だけでなく、学校推薦型選抜・総合型選抜・系列校の内部進学を含みます。
  • 2026年7月31日現在の判明分。集計後に判明した進学者は含まれないため、実際の進学者がこれより多い場合があります。
  • 空欄は0人とは限らない。一部に未集計・未回答があります。表に名前がない学校の実績が0だという意味ではありません。
  • 進学率は卒業生に占める割合。卒業生数は高校発表によるもので、定時制・通信制を併設する学校はそれらを除いた全日制の数字です。

つまりこの数字は「その高校の3年生が実際にどこへ進んだか」を表す実態データであり、学校案内に載る延べ合格者数とは性質が違います。

千葉の私立17校 難関10国立大への現役進学者数

大学通信の集計に掲載された千葉県の私立高校は17校でした。現役進学者数の多い順に並べ、千葉県の令和9年度私立中学校募集要項に中学の募集があるかどうかを「中学募集」欄に示します。学校名は略称ではなく正式名称に直しています。

学校名 卒業生数 現役進学者数 進学率 中学募集
渋谷教育学園幕張 352 127 36.1 ○
市川 417 86 20.6 ○
昭和学院秀英 258 33 12.8 ○
東邦大学付属東邦 302 32 10.6 ○
芝浦工業大学柏 289 11 3.8 ○
専修大学松戸 398 6 1.5 ○
日本大学習志野 368 5 1.4 ―
麗澤 224 4 1.8 ○
成田高等学校付属 346 4 1.2 ○
日出学園 161 2 1.2 ○
国府台女子学院 279 1 0.4 ○
二松学舎大学附属柏 241 1 0.4 ○
流通経済大学付属柏 390 1 0.3 ○
八千代松陰 604 1 0.2 ○
千葉敬愛 496 1 0.2 ―
東京学館浦安 477 1 0.2 ―
日本体育大学柏 525 1 0.2 ―

17校の現役進学者数を合計すると317人。上位4校(渋谷教育学園幕張・市川・昭和学院秀英・東邦大学付属東邦)だけで278人を占め、私立全体の約88%が4校に集中しています。進学率で見ると渋谷教育学園幕張は卒業生352人のうち127人、つまり卒業生の3人に1人以上が難関10国立大へ現役で進んだ計算になります。

いっぽうで、表の下のほうに並ぶ1人・2人という学校も、卒業生が400人から600人規模の総合的な進学校である場合が多く、難関10国立大以外の国公立大や私立大の実績は別に見る必要があります。この表はあくまで「難関10国立大」という1つのものさしで切り取った数字です。

中学受験で入れるのは17校中13校

千葉県が公表した令和9年度の私立中学校募集要項には、中学募集を行う私立中学校が24校掲載され、募集人員は合計3,665人(うち推薦860人)です。この24校と上の17校を突き合わせると、13校が中学受験で入れる学校でした。

中学から入れる13校は、渋谷教育学園幕張、市川中学校、昭和学院秀英、東邦大学付属東邦、芝浦工業大学柏、専修大学松戸、麗澤中学校、成田高等学校付属、日出学園、国府台女子学院中学部、二松学舎大学附属柏、流通経済大学付属柏、八千代松陰です。

残る4校 ― 日本大学習志野、千葉敬愛、東京学館浦安、日本体育大学柏 ― は高校からの入学になります。4校の現役進学者は合計8人で、千葉の私立317人のうち309人(97.5%)は中高一貫の13校から出ていることになります。千葉県で難関国立大を意識するなら、中学受験が有力な選択肢になるという数字です。

逆に、中学募集はあるが今回の集計表に名前が出ていない私立中も11校あります。昭和学院、和洋国府台女子、千葉日本大学第一、暁星国際、秀明大学学校教師学部附属、光英VERITAS、志学館、東海大学付属浦安、翔凜中学校、西武台千葉、千葉明徳です。前述のとおり未回答・未集計の可能性があるため、これらの学校の実績が0という意味ではありません。各校の公式サイトで進路実績を確認してください。

上位5校と公立中高一貫2校の大学別内訳

どの大学に進んでいるかは学校によってかなり違います。上位5校に、中学募集のある公立2校を加えて内訳を並べます。

学校名 東京 京都 北海道 東北 名古屋 大阪 九州 東京科学 一橋 神戸 合計
渋谷教育学園幕張 70 8 6 7 1 2 2 16 13 2 127
市川 22 8 7 8 2 3 4 18 12 2 86
昭和学院秀英 4 3 4 4 2 3 3 3 6 1 33
東邦大学付属東邦 4 – 2 7 – 1 – 10 8 – 32
芝浦工業大学柏 3 1 2 2 – – – 2 1 – 11
千葉県立千葉 15 4 1 8 3 2 – 8 10 – 51
千葉県立東葛飾 7 5 8 7 – – 1 12 5 2 47

特徴がはっきり出ています。渋谷教育学園幕張は127人のうち70人が東京大で、1校で突出しています。市川は東京大22人・東京科学大18人・一橋大12人と首都圏の大学に広く分散し、東邦大学付属東邦は東京科学大10人・一橋大8人・東北大7人と理工系と社会科学系の両方に厚みがあります。昭和学院秀英は10大学すべてに1人以上が進んでおり、特定の大学への偏りが小さいタイプです。

千葉県内で難関10国立大へ現役進学した人数を、表に載った33校で合計すると東京大は134人。そのうち70人、52%が渋谷教育学園幕張です。県内の東大進学者の半分が1校から出ている計算になります。

公立中高一貫の県立千葉中・東葛飾中という選択肢

千葉県の公立では、千葉県立千葉高校が51人(進学率16.4%)、千葉県立東葛飾高校が47人(15.0%)で、いずれも私立の昭和学院秀英・東邦大学付属東邦を上回っています。この2校には併設の県立中学校があり、中学受験で入ることができます(県立船橋高校は67人で県内公立最多ですが、中学は併設されていません)。

千葉県教育委員会が定めた令和9年度の入学者決定要項によると、2校の募集定員と日程は次のとおりです。

  • 募集定員:千葉県立千葉中学校 80名/千葉県立東葛飾中学校 80名
  • 願書等の提出期間:2026年11月16日(月)〜18日(水)、志願する中学校の校長へ提出
  • 一次検査:2026年12月5日(土)、適性検査
  • 一次の結果発表:2026年12月16日(水)午前9時に各校ホームページへ掲載。二次検査の受検候補者は募集定員の4倍程度
  • 二次検査の提出書類:2027年1月8日(金)〜12日(火)に郵送
  • 二次検査:2027年1月24日(日)、適性検査と面接等
  • 入学許可候補者の発表:2027年2月1日(月)午前9時に各校ホームページへ掲載

定員各80名に対し二次検査に進めるのが320名程度という二段階方式で、他の公立中等教育学校・公立併設型中学校との併願はできません。私立の1月入試と日程が重なる部分があるため、受験校の組み方は早めに決めておく必要があります。

学校公表の「合格者数」と「現役進学者数」はどれだけ違うか

学校説明会や学校案内で示されるのは、ほとんどが「合格者数」です。これと今回の「現役進学者数」を同じ学校で並べると、差の正体がはっきりします。各校が公式サイトで公表している2026年の数字と突き合わせました。

学校名 大学 合格者数
(総数)
うち現役
合格
現役
進学者数
学校公表の時点
渋谷教育学園幕張 東京大 82人 71人 70人 2026年5月8日現在
市川 東京大 23人 22人 22人 2026年4月1日現在判明分
市川 北海道大 14人 9人 7人 同上
昭和学院秀英 一橋大 7人 6人 6人 過去3年間の大学別合格者数
昭和学院秀英 名古屋大 3人 3人 2人 同上
麗澤 東京科学大 2人 2人 2人 2026年4月2日現在

読み取れることは3つあります。

  • 既卒生(浪人)の分だけ合格者数は多くなる。渋谷教育学園幕張の東京大は合格82人ですが、うち現役は71人。11人は既卒生です。現役進学者数はこの11人を含みません。
  • 現役合格と現役進学にもずれがある。市川の北海道大は現役合格9人に対し進学は7人。合格しても他大学を選んだ生徒がいるためです。同じく昭和学院秀英の名古屋大は現役合格3人・進学2人でした。
  • 国公立大は1人1校になりやすい。私立大は1人が複数学部・複数大学に合格できるので合格者数が膨らみますが、国公立大の一般選抜は前期・後期の枠が限られるため、合格者数と進学者数の差は私立大ほど大きくなりません。

市川の場合、難関10国立大の現役合格を合計すると89人で、現役進学者数86人との差は3人でした。昭和学院秀英も現役合格34人に対し進学33人と、ほぼ一致します。一方、芝浦工業大学柏が公表する8大学の合格者数の合計は16人ですが、これは現役と既卒を区別していない数字で、現役進学者数は11人でした。学校が公表する数字を読むときは「現役か全体か」「合格か進学か」の2点を必ず確認してください。

麗澤は卒業生224名に対し国公立大学等の合格が34人(うち現役29人)で、難関10国立大への現役進学は4人。東京大学文科一類、東京科学大学(生命理工・医(保健衛生))、東北大学農学部と、学校公表の現役合格と今回の進学者数が一致していました。

保護者・受験生への影響と対策

この種のデータを志望校選びに使うときに注意したいのは、規模の違いを進学率で補正して見ることです。卒業生604人の八千代松陰と161人の日出学園を人数だけで比べても意味がありません。進学率の欄を併せて見ると、学校の性格の違いが分かりやすくなります。

そのうえで、次の3点を押さえておくと説明会での質問が具体的になります。

  • その実績は何年分か。昭和学院秀英の東京大は2026年4人・2025年6人・2024年6人、市川の東京大は2026年23人・2025年17人・2024年31人と、単年では10人前後動きます。1年だけの数字で学校を判断しないことです。
  • どのコース・どの入試から入った生徒の実績か。千葉の私立は高校募集を併設している学校が多く、中学入学組と高校入学組が混ざった数字になっています。学校説明会では「中高一貫生の実績」を切り分けて聞くと実態に近づきます。
  • 難関10国立大以外も見る。千葉大学は県内志向の強い受験生にとって主要な進学先で、市川は37人(現役27人)、昭和学院秀英は27人(現役22人)、芝浦工業大学柏は21人が合格しています。この表には含まれない大学です。

今後のスケジュール

千葉県の2027年度入試に向けた直近の日程は次のとおりです。

  • 2026年11月16日〜18日:県立千葉中学校・県立東葛飾中学校の願書等提出
  • 2026年12月1日:千葉県の私立中の推薦・第一志望入試が集中(東邦大学付属東邦の推薦、成田高等学校付属の第一志望入試、流通経済大学付属柏の第一志望入試、二松学舎大学附属柏の推薦、日出学園の推薦など)
  • 2026年12月5日:県立中学校の一次検査
  • 2026年12月16日:県立中学校の一次検査結果発表(午前9時)
  • 2027年1月20日〜23日:千葉の私立1月入試の本番。市川中学校の第1回が1月20日、専修大学松戸の第1回が1月20日、麗澤中学校の第1回が1月21日、渋谷教育学園幕張の一次入試と昭和学院秀英の第1回が1月22日、芝浦工業大学柏の第1回が1月23日
  • 2027年1月24日:県立中学校の二次検査
  • 2027年2月1日:県立中学校の入学許可候補者発表(午前9時)

なお大学通信の集計は毎年8月前後の公表で、2027年春の実績は2027年夏ごろに更新される見込みです。各校の2027年の合格実績は、例年どおりであれば3月下旬から4月にかけて公式サイトに掲載されます。

よくある質問

Q. 表に載っていない学校は実績が0ということですか。

いいえ。大学通信の集計はアンケート方式で、一部に未集計・未回答の学校があります。公表資料にも「空欄は0人とは限らない」と明記されています。中学募集のある千葉の私立24校のうち11校は今回の表に名前がありませんが、これは実績が0であることを示すものではありません。各校の公式サイトの進路実績ページで確認してください。

Q. 「現役進学者数」と「合格者数」はどちらを見ればよいですか。

学校どうしを比べるなら現役進学者数のほうが実態に近い数字です。合格者数は1人が複数の大学・学部に合格すると重複して数えられるためです。ただし現役進学者数は既卒生(浪人)の進学を含まないので、既卒生も含めた学校全体の力を見たいときは、各校が公表する合格者数の「総数」と「現役」を両方見るのが確実です。

Q. 県立千葉中・県立東葛飾中と私立を併願できますか。

私立中との併願は可能ですが、他の公立中等教育学校・公立併設型中学校との併願は要項で認められていません。また県立中の一次検査は2026年12月5日、二次検査は2027年1月24日で、千葉の私立1月入試(1月20日前後から)と日程が近接します。二次検査に進めるのは募集定員の4倍程度(各校320名程度)なので、私立の押さえをどう組むかは11月の出願までに決めておくことをおすすめします。

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出典

最終更新: 2026年10月29日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)
合格之助(中村先生)

中学受験専門塾で長年、受験生と保護者の進路相談を担当している中村です。偏差値・倍率・過去問傾向・学校ごとの出題特徴をもとに、志望校選びをわかりやすくサポートしています。

特に得意なのは、単に偏差値だけで学校を判断するのではなく、
「倍率」「受験者数の推移」「合格可能性」「併願パターン」まで含めて、一人ひとりに合った本当に狙いやすい学校を見つけることです。