大学通信は2026年9月2日、「2026年日東駒専現役進学者数【関東(東京を除く)】」を公表した。日本大・東洋大・駒澤大・専修大の4大学へ現役で進学した人数を高校別に集計したもので、茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川の6県が県別の表で掲載されている。

本記事は、首都圏の中学受験と結びつきが強い埼玉・千葉・神奈川の3県(計255校)のうち、私立115校の数字を整理した。難関10国立大・早慶上理・MARCHに続くシリーズの4本目にあたる。結論を先に書くと、3県の現役進学者6,162人のうち私立は3,037人で49.3%。そして県によって、進学先として多い大学そのものが入れ替わる。埼玉は東洋大、千葉は日本大、神奈川は専修大が大きく伸びる。

この表は「合格者数」ではなく「現役進学者数」

読み違えやすい表なので、先に定義を確認しておきたい。大学通信は全国約4,300校を対象に進学状況のアンケートを実施し、回答のあった高校の進学者数を集計している。前提は次の5点である。

  • 全入試枠の合計。一般選抜だけでなく、学校推薦型選抜・総合型選抜・系列校の内部進学もすべて含む。
  • 現役生のみ。浪人して翌年に進学した卒業生は数に入らない。
  • 2026年7月31日現在の判明分。集計時点で判明していない人数は反映されていない。
  • 空欄は0人とは限らない。未集計・未回答の学校があり、掲載人数より実際の進学者が多い場合がある。
  • 進学率は卒業生に占める割合。卒業生数は高校発表によるもので、定時制・通信制を併設する学校はそれらを除いた全日制の数である。

学校案内やウェブサイトで見かける「日東駒専◯◯名」はほとんどが合格者数で、既卒生を含み、一人が複数学部・複数大学に合格すればその分だけ積み上がる。一方この表は実際に入学した現役生の実数である。後半で、同じ学校の公表値と突き合わせた実例を示す。

3県255校の現役進学者は6,162人 私立が49.3%

掲載された255校を設置者別に合計すると次のようになる。校数では公立が139校と多いが、1校あたりの卒業生規模が近いため、進学者数は私立3,037人と公立3,117人でほぼ並んだ。

設置者 校数 卒業生数 現役進学者数 進学率
私立 115校 38,206 3,037 7.9%
公立 139校 40,797 3,117 7.6%
国立(筑波大附坂戸) 1校 150 8 5.3%
合計 255校 79,153 6,162 7.8%

4大学の内訳は日本大2,737人・東洋大1,958人・専修大799人・駒澤大668人で、日本大が全体の44.4%を占める。同じ3県のMARCH版では5大学の最多と最少の差が1.7倍(明治大1,652人対青山学院大973人)だったのに対し、この4大学は日本大と駒澤大で4.1倍の開きがある。学部数と所在地の数がそのまま効いている。

私立の進学者数 上位20校

私立115校を現役進学者数の多い順に並べた上位20校は次のとおり。日本大の付属校2校が突出し、その下は埼玉・千葉の大規模校が並ぶ。

順 高校 県 卒業生数 現役進学者数 進学率 日本大 東洋大 駒澤大 専修大
1 千葉日本大学第一中学校・高等学校 千葉 336 200 59.5% 198 2
2 日本大学藤沢高等学校 神奈川 403 161 40.0% 158 1 1 1
3 埼玉栄中学校・高等学校 埼玉 947 128 13.5% 41 59 12 16
4 浦和学院高等学校 埼玉 1,036 104 10.0% 22 41 7 34
5 敬愛学園高等学校 千葉 410 82 20.0% 39 21 15 7
6 八千代松陰中学校・高等学校 千葉 604 81 13.4% 45 29 5 2
6 日本大学習志野高等学校 千葉 368 81 22.0% 76 5
8 浦和麗明高等学校 埼玉 359 69 19.2% 12 40 7 10
9 叡明高等学校 埼玉 691 67 9.7% 16 39 2 10
10 横浜隼人中学校・高等学校 神奈川 512 65 12.7% 16 27 6 16
11 千葉敬愛高等学校 千葉 496 64 12.9% 27 26 4 7
11 向上高等学校 神奈川 509 64 12.6% 16 8 7 33
13 浦和実業学園中学校・高等学校 埼玉 1,014 63 6.2% 33 14 11 5
14 桐蔭学園高等学校 神奈川 901 61 6.8% 29 14 8 10
15 武南中学校・高等学校 埼玉 448 58 12.9% 24 23 7 4
16 専修大学松戸中学校・高等学校 千葉 398 54 13.6% 8 12 34
17 山村学園高等学校 埼玉 483 53 11.0% 10 30 7 6
17 川越東高等学校 埼玉 477 53 11.1% 21 22 10
19 星野高等学校 埼玉 540 52 9.6% 15 29 7 1
20 昌平中学校・高等学校 埼玉 489 51 10.4% 8 33 6 4

上位20校には高校単独校や、高校からの募集が中心の学校が多く含まれる。日東駒専の進学者数が多い学校と、中学受験で志望者が集まる学校は、必ずしも重ならない。この点は後半の「中高一貫の難関校ほど、この表の数字は小さい」で詳しく見る。

日本大の付属3校だけで、私立の日本大進学者の29.3%

表を最も強く歪めているのが日本大の付属校である。3県に掲載された付属3校を取り出すと次のようになる。

高校 県 卒業生数 現役進学者数 進学率 うち日本大
千葉日本大学第一中学校・高等学校 千葉 336 200 59.5% 198
日本大学藤沢高等学校 神奈川 403 161 40.0% 158
日本大学習志野高等学校 千葉 368 81 22.0% 76
3校計 – 1,107 442 39.9% 432

3校合計の日本大進学者432人は、3県私立の日本大進学者1,474人の29.3%にあたる。逆に、この3校を除いた私立112校で集計し直すと、卒業生37,099人・現役進学2,595人・進学率7.0%となり、全体の7.9%より1ポイント近く下がる。

千葉日本大学第一中学校・高等学校は公式サイトで日本大への学部別の進学者数を公表している。令和8(2026)年3月卒業生で、法学部38・文理学部24・経済学部32・理工学部41・生産工学部12・生物資源科学部11・薬学部9など、学部別の内訳は計197名。これに短期大学部1名を加えると198名となり、大学通信の日本大198人と一致する。付属推薦の枠がそのまま数字になっていることが確認できる。

県で進学先の大学が入れ替わる

この表でいちばん実用的なのは、県ごとに4大学の構成比が大きく違うことである。私立だけを県別に集計すると次のようになる。

県(私立) 卒業生数 現役進学者数 進学率 日本大 東洋大 駒澤大 専修大
埼玉(30校) 13,150 1,126 8.6% 368
(32.7%)
525
(46.6%)
113
(10.0%)
120
(10.7%)
千葉(31校) 10,656 1,034 9.7% 647
(62.6%)
242
(23.4%)
64
(6.2%)
81
(7.8%)
神奈川(54校) 14,400 877 6.1% 459
(52.3%)
161
(18.4%)
88
(10.0%)
169
(19.3%)

埼玉では東洋大が46.6%で日本大を上回り最多になる。千葉は日本大が62.6%と圧倒的で、神奈川は日本大52.3%に次いで専修大が19.3%と、ほかの2県の2倍前後の比率を占める。

同じ傾向は公立でも出る。公立139校で見ると、埼玉は東洋大48.3%が最多、千葉は日本大50.5%が最多、神奈川は日本大37.6%に専修大34.7%が肉薄し、東洋大は11.7%で4大学中の最下位になる。私立・公立を問わず成り立つということは、学校の方針ではなく地理が効いていると考えるのが自然である。

実際、各大学の公式サイトで所在地を確認すると次のとおりだった。

大学 3県に関わる主なキャンパス所在地 備考
東洋大 川越キャンパス=埼玉県川越市鯨井2100(理工学部・総合情報学部)、朝霞キャンパス=埼玉県朝霞市岡48-1(生命科学部・食環境科学部) 埼玉県内に2拠点
専修大 生田キャンパス=神奈川県川崎市多摩区東三田2-1-1(経済・経営・文・ネットワーク情報・人間科学の5学部) 神奈川県内に1拠点
日本大 理工学部船橋校舎=千葉県船橋市習志野台7-24-1、薬学部=千葉県船橋市習志野台7-7-1、生物資源科学部=神奈川県藤沢市亀井野1866 千葉・神奈川の両県に拠点
駒澤大 駒沢・深沢・玉川の3キャンパスがいずれも東京都世田谷区(学部はすべて駒沢キャンパス) 3県に拠点なし

3県内にキャンパスを持たない駒澤大は、私立・公立を合わせても668人で4大学中の最少。私立では各県とも6〜10%の範囲にとどまる。通学時間が読める大学に進学者が集まるという、ごく素直な構図である。中学受験の段階で大学の所在地まで考える必要はないが、「この学校からはどの大学に行きやすいか」を見るときの背景として知っておくと、進学実績の読み方が変わる。

「合格者数」との差はどれくらいか

学校が公表する合格者数と、この表の現役進学者数を突き合わせると差の大きさが分かる。公式サイトで現役・既卒を分けて公表している学校で照合した。

高校 公表の条件 学校公表値 大学通信の現役進学者数 差
山手学院中学校・高等学校 2026年度・5月7日現在/()内は既卒 日本大53(7)・東洋大77(2)・駒澤大29(2)・専修大35(1)=現役合格182 23
(日6・東8・駒4・専5)
約7.9倍
専修大学松戸中学校・高等学校 令和8年度・付属推薦と一般/総合型を区分して公表 専修大の付属推薦33+一般/総合型15(全員現役)=合格48 専修大34 約1.4倍
千葉日本大学第一中学校・高等学校 令和8年3月・日本大の学部別進学者数を公表 学部別の内訳計197+短期大学部1=198 日本大198 一致

山手学院中学校・高等学校のように一般選抜で受験する学校では、現役合格182人に対して現役進学は23人と約8倍の開きが出る。一人が複数学部に出願し、最終的には他大学へ進むためである。一方、付属推薦が進路の軸になっている千葉日本大学第一中学校・高等学校では、学校公表値と大学通信の数字が一致する。合格者数と進学者数の比は、その学校の進路の作り方をそのまま映す。

専修大学松戸中学校・高等学校は付属校でありながら、専修大への付属推薦は令和8年度で33名。卒業生398名に対して8.3%にとどまり、同校のGMARCH合格は276(うち現役242)に達する。「付属校=系列大学に進む学校」とは限らない典型例である。

中学募集のある学校の数字

上位20校以外で、中学入試を実施している私立のうち現役進学者が多かった学校を挙げる。中学受験の志望校選びで候補に入りやすい層である。

高校 県 卒業生数 現役進学者数 進学率 日本大 東洋大 駒澤大 専修大
大宮開成中学校・高等学校 埼玉 591 44 7.4% 18 23 3
横浜創英中学校・高等学校 神奈川 433 42 9.7% 20 4 4 14
開智中学校・高等学校 埼玉 644 35 5.4% 24 7 2 2
成田高等学校・付属中学校 千葉 346 33 9.5% 19 8 4 2
西武台千葉中学校・高等学校 千葉 362 31 8.6% 13 13 3 2
千葉明徳中学校・高等学校 千葉 371 31 8.4% 17 8 4 2
二松学舎大学附属柏中学校・高等学校 千葉 241 30 12.4% 22 7 1
城西川越中学校・高等学校 埼玉 230 28 12.2% 11 8 2 7
獨協埼玉中学校・高等学校 埼玉 360 26 7.2% 11 7 1 7
山手学院中学校・高等学校 神奈川 443 23 5.2% 6 8 4 5
日出学園中学校・高等学校 千葉 161 21 13.0% 14 5 1 1
神奈川学園中学校・高等学校 神奈川 165 20 12.1% 5 4 3 8
東京成徳大学深谷中学校・高等学校 埼玉 200 12 6.0% 4 8
麗澤中学校・高等学校 千葉 224 12 5.4% 4 7 1
和洋国府台女子中学校・高等学校 千葉 218 12 5.5% 8 2 2
桐蔭学園中等教育学校 神奈川 269 10 3.7% 5 1 4
自修館中等教育学校 神奈川 116 10 8.6% 3 2 1 4

神奈川学園中学校・高等学校や城西川越中学校・高等学校のように、専修大の比率が高い学校は神奈川・埼玉西部に集まる。獨協埼玉中学校・高等学校も専修大7人で、同校の東洋大7人と並ぶ。通学圏と大学の所在地の重なりが、そのまま数字に出ている。

中高一貫の難関校ほど、この表の数字は小さい

日東駒専の表は、進学先の主力がより上位の大学帯にある学校では数字が小さくなる。卒業生200人以上で中学入試を行っている私立から、進学率の低い主な学校を挙げる。

高校 県 卒業生数 現役進学者数 進学率
聖光学院中学校・高等学校 神奈川 228 1 0.4%
中央大学附属横浜中学校・高等学校 神奈川 344 1 0.3%
日本女子大学附属中学校・高等学校 神奈川 364 1 0.3%
洗足学園中学校・高等学校 神奈川 241 3 1.2%
栄東中学校・高等学校 埼玉 471 7 1.5%
市川中学校・高等学校 千葉 417 8 1.9%
逗子開成中学校・高等学校 神奈川 268 6 2.2%
昭和学院秀英中学校・高等学校 千葉 258 6 2.3%
芝浦工業大学柏中学高等学校 千葉 289 8 2.8%
東邦大学付属東邦中学校・高等学校 千葉 302 9 3.0%
淑徳与野中学校・高等学校 埼玉 321 10 3.1%
鎌倉学園中学校・高等学校 神奈川 285 12 4.2%

中央大学附属横浜中学校・高等学校と日本女子大学附属中学校・高等学校がいずれも1人なのは、系列大学への内部進学が進路の中心だからで、学力の問題ではない。前回のMARCH版では中央大学附属横浜から中央大へ267人が現役進学していた。同じ学校でも、見る表を変えれば数字は正反対になる。

フェリス女学院中学・高等学校は3人、横浜雙葉中学・高等学校も3人、浦和明の星女子中学校・高等学校は4人、サレジオ学院中学校・高等学校と公文国際学園中等部・高等部は各1人だった。この表に名前がない、あるいは人数が小さいことは、進学実績が弱いことを意味しない。神奈川では桐光学園、埼玉では西武学園文理など、表に掲載がない学校も複数ある。

保護者・受験生はこの表をどう使うか

中学受験の志望校選びでこの表を読むときは、次の3点に注意したい。

  • 進学率の高さだけで比較しない。日東駒専の進学率が高い学校は、進学先の中心がその帯にある学校である。より上位の大学帯が主力の学校では数字が小さくなるので、同じ偏差値帯の学校どうしで比べる必要がある。
  • 付属校・系列校は別枠で見る。日本大の付属3校だけで3県私立の日本大進学者の29.3%を占める。付属推薦の有無で数字の意味がまったく変わるため、同じ表に並んでいても比較対象にはならない。
  • 学校案内の「合格者数」と混同しない。山手学院中学校・高等学校の例では現役合格182人に対し現役進学23人と約8倍の差があった。説明会で示される数字がどちらなのかを確認すること。

そのうえで実用的なのは、志望校の所在地と大学の所在地の関係を見ることである。埼玉西部なら東洋大の川越・朝霞、神奈川中部なら専修大の生田、千葉北西部なら日本大の船橋というように、通学圏にキャンパスがある大学には現に進学者が集まっている。6年後の進路の幅を考えるときの材料になる。

今後のスケジュール

大学通信のこのシリーズは、大学群・地域別に順次公開されている。すでに公表済みのものと、2027年度入試に向けた直近の日程は次のとおり。

時期 内容
公表済 2026年難関10国立大・早慶上理・MARCH・日東駒専の現役進学者数(東京/関東(東京を除く)ほか地域別)
2026年12月 埼玉県の私立中で出願受付が始まる(開始日は学校ごとに異なるため、各校の募集要項で確認が必要)
2027年1月 埼玉県の私立中入試が例年1月10日前後に始まり、千葉県は1月20日前後から
2027年2月1日 東京都・神奈川県の私立中入試の解禁日
2027年春 2027年3月卒業生の大学進学実績が各校公式サイトで順次公表。大学通信の集計は例年7月末時点で8〜9月に公開

進学実績は3月から5月にかけて各校公式サイトで更新される。説明会で配布された資料の数字は前年度のものであることが多いため、出願前にもう一度公式サイトで確認したい。

よくある質問

日東駒専の進学者数が多い学校は「進学実績が良い学校」ですか

一概には言えない。この表は日本大・東洋大・駒澤大・専修大への現役進学者数だけを集計したもので、国公立大や早慶上理、MARCHへ進んだ生徒は含まれない。聖光学院中学校・高等学校が1人、洗足学園中学校・高等学校が3人と小さいのは、進学先の中心がより上位の大学帯にあるからである。志望校の進学実績を見るときは、難関10国立大・早慶上理・MARCH・日東駒専の各表を並べて、どの帯に厚みがあるかを確認するのが実態に近い。

表に学校名がない場合、進学者はゼロということですか

違う。大学通信は「掲載した人数よりも実際の進学者が多い場合や、一部未集計・未回答の場合があり、空欄は0人とは限らない」と明記している。アンケートに回答していない学校は表に載らない。3県でも、神奈川の桐光学園、埼玉の西武学園文理など、中学受験で志望者が多い学校が掲載されていない。掲載の有無は回答の有無であって、実績の有無ではない。

付属校に入れば系列大学に進めますか

学校によって大きく異なる。千葉日本大学第一中学校・高等学校は卒業生336人のうち198人が日本大へ現役進学し、進学率59.5%と高い。一方、専修大学松戸中学校・高等学校の専修大への付属推薦は令和8年度で33名、卒業生398名に対して8.3%で、同校のGMARCH合格は276(うち現役242)に達する。同じ「付属」でも、内部進学が主流の学校と、他大学受験が主流の学校がある。志望校の推薦枠の人数と、実際に推薦を使っている生徒の割合を、説明会で必ず確認したい。

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出典

最終更新: 2026年11月4日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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