大学通信は2026年8月27日、「2026年MARCH現役進学者数【関東(東京を除く)】」を公表した。明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大の5大学へ現役で進学した人数を高校別に集計したもので、茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川の6県が県別の表で掲載されている。

本記事は、首都圏の中学受験と結びつきが強い埼玉・千葉・神奈川の3県(計230校)を対象に、私立112校の数字を整理した。先に公開した東京版と合わせると、一都三県の私立がこの表の上でどう並ぶかが見える。結論を先に書くと、3県の現役進学者6,895人のうち私立は3,582人で52.0%。そのうち5分の1強が、立教大・中央大・法政大の系属校3校だけから出ている。

この表の数字は「合格者数」ではなく「現役進学者数」

読み違えやすい表なので、先に定義を確認しておきたい。大学通信は全国約4,300校を対象に進学状況のアンケートを実施し、回答のあった高校の進学者数を集計している。前提は次の5点である。

  • 全入試枠の合計。一般選抜だけでなく、学校推薦型選抜・総合型選抜・系列校の内部進学もすべて含む。
  • 現役生のみ。浪人して翌年に進学した卒業生は数に入らない。
  • 2026年7月31日現在の判明分。集計時点で判明していない人数は反映されていない。
  • 空欄は0人とは限らない。未集計・未回答の学校があり、掲載人数より実際の進学者が多い場合がある。
  • 進学率は卒業生に占める割合。卒業生数は高校発表によるもので、定時制・通信制を併設する学校はそれらを除いた全日制の数である。

学校案内やウェブサイトで目にする「MARCH◯◯名」はほとんどが合格者数で、既卒生を含み、一人が複数学部・複数大学に合格すればその分だけ積み上がる。一方この表は実際に入学した現役生の実数なので、同じ学校でも数字が3倍から6倍ちがう。後半でその実例を挙げる。

3県230校の現役進学者は6,895人 私立が52.0%

掲載された230校を設置者別に合計すると次のようになる。私立112校と公立117校は校数がほぼ同じだが、進学者数では私立が277人上回った。

設置者 校数 卒業生数 現役進学者数 進学率 構成比
私立 112校 37,526 3,582 9.5% 52.0%
公立 117校 35,767 3,305 9.2% 47.9%
国立 1校 150 8 5.3% 0.1%
合計 230校 73,443 6,895 9.4% 100%

5大学の内訳は明治大1,652人、法政大1,517人、立教大1,415人、中央大1,338人、青山学院大973人。明治大が最も多く、青山学院大が最も少ない。

県別・設置者別に分けると、県ごとの性格の差がはっきりする。

県 設置者 校数 卒業生数 現役進学者数 進学率
埼玉 私立 31校 13,466 1,288 9.6%
埼玉 公立 43校 13,940 1,085 7.8%
千葉 私立 29校 9,793 640 6.5%
千葉 公立 39校 11,730 1,041 8.9%
神奈川 私立 52校 14,267 1,654 11.6%
神奈川 公立 35校 10,097 1,179 11.7%

神奈川は私立52校・公立35校が掲載され、進学率も私立11.6%・公立11.7%と拮抗している。これに対し千葉は私立6.5%・公立8.9%で公立が上回り、埼玉は私立9.6%・公立7.8%で私立が上回る。「私立のほうがMARCHに強い」は3県一律には言えない、というのが表から読み取れる最初の事実である。

私立112校の上位20校 系属校が1〜3位を占める

私立112校を現役進学者数の多い順に並べた上位20校は次のとおり。学校名は中学受験での表記に合わせ、高校単独校は「高等学校」と記した。

順 高校 県 卒業生 現役進学 進学率 明治 青学 立教 中央 法政
1 中央大学附属横浜中学校・高等学校 神奈川 344 275 79.9% 5 1 2 267 0
2 立教新座中学校・高等学校 埼玉 316 265 83.9% 0 0 263 2 0
3 法政大学国際高等学校 神奈川 317 241 76.0% 4 1 5 2 229
4 浦和麗明高等学校 埼玉 359 157 43.7% 30 12 40 40 35
5 桐蔭学園高等学校 神奈川 901 150 16.6% 32 29 31 30 28
6 大宮開成中学校・高等学校 埼玉 591 138 23.4% 43 20 36 23 16
7 川越東高等学校 埼玉 477 90 18.9% 22 12 15 29 12
8 山手学院中学校・高等学校 神奈川 443 87 19.6% 34 21 13 11 8
9 開智中学校・高等学校 埼玉 644 79 12.3% 25 11 13 18 12
10 日本大学習志野高等学校 千葉 368 79 21.5% 23 8 13 20 15
11 日本大学藤沢高等学校 神奈川 403 78 19.4% 19 18 7 14 20
12 専修大学松戸中学校・高等学校 千葉 398 73 18.3% 12 9 25 15 12
13 淑徳与野中学校・高等学校 埼玉 321 69 21.5% 20 5 26 5 13
14 横浜隼人中学校・高等学校 神奈川 512 51 10.0% 6 17 6 8 14
15 国府台女子学院高等部 千葉 279 50 17.9% 15 7 14 7 7
16 鎌倉学園中学校・高等学校 神奈川 285 49 17.2% 20 4 5 14 6
17 日本大学中学校・高等学校 神奈川 448 49 10.9% 10 11 9 6 13
18 栄東中学校・高等学校 埼玉 471 46 9.8% 22 1 9 10 4
19 成田高等学校付属中学校 千葉 346 45 13.0% 10 7 10 5 13
20 神奈川大学附属中学校 神奈川 208 41 19.7% 11 10 8 8 4

1位から3位までを、中央大・立教大・法政大の系属校が占めた。4位の浦和麗明高等学校は卒業生359人に対し157人(43.7%)で、系属校以外では突出している。5位の桐蔭学園高等学校は卒業生901人と母数が大きく、5大学すべてに28〜32人をほぼ均等に送り出しているのが特徴だ。

中高一貫の進学校では、6位の大宮開成中学校・高等学校(138人)、8位の山手学院中学校・高等学校(87人)、9位の開智中学校・高等学校(79人)、12位の専修大学松戸中学校・高等学校(73人)、13位の淑徳与野中学校・高等学校(69人)が目立つ。いずれも国公立大や早慶上理の実績でも知られる学校で、MARCHが「併願先」ではなく進学先として機能していることが分かる。

系属3校だけで私立全体の21.8%

上位3校を抜き出すと、その重みがはっきりする。

高校 県 卒業生 現役進学 進学率 最多の大学
中央大学附属横浜中学校・高等学校 神奈川 344 275 79.9% 中央大 267
立教新座中学校・高等学校 埼玉 316 265 83.9% 立教大 263
法政大学国際高等学校 神奈川 317 241 76.0% 法政大 229
3校計 — 977 781 79.9% —

3校の781人は、3県私立の現役進学者3,582人の21.8%にあたる。大学別に見ると、3県私立から立教大へ進んだ844人のうち31.2%が立教新座、中央大812人のうち32.9%が中央大学附属横浜、法政大769人のうち29.8%が法政大学国際である。この3校を除いた私立109校で計算し直すと、卒業生36,549人・現役進学2,801人・進学率7.7%となり、全体の9.5%から1.8ポイント下がる。

内部進学の数字は学校側も公表している。中央大学附属横浜中学校・高等学校は公式サイトの「進路」で、2025年度卒業生の進学先状況(2026年4月1日現在)として在籍344名・中央大(内部推薦)267名・進学率77.6%を掲げており、大学通信の中央大267人と完全に一致する。学部別の内訳も公表され、法学部79名・商学部57名・経済学部41名・文学部32名などとなっている。

立教新座中学校・高等学校は、立教大への推薦について「過去3年間では、立教大学への推薦を希望した生徒の99%が進学しました」と明記している。同時に「例年約20%の生徒が他大学への進学を目指し、受験に挑んでいます」とも説明しており、高校2年から他大学進学クラスを原則1クラス設置している。推薦権を放棄して他大学を受験する生徒が一定数いるため、進学率は100%にはならない。

県によって「進学する大学」が変わる

5大学の構成比を県別に出すと、同じMARCHでも県ごとに顔ぶれが入れ替わる。まず私立112校。

県 計 明治大 青山学院大 立教大 中央大 法政大
埼玉 1,288 260
20.2%
117
9.1%
511
39.7%
205
15.9%
195
15.1%
千葉 640 153
23.9%
77
12.0%
139
21.7%
123
19.2%
148
23.1%
神奈川 1,654 289
17.5%
261
15.8%
194
11.7%
484
29.3%
426
25.8%

埼玉は立教大が39.7%で突出し、神奈川は中央大29.3%・法政大25.8%が上位で立教大は11.7%にとどまる。千葉は明治大23.9%・法政大23.1%・立教大21.7%とほぼ横並びで、特定の大学への偏りが小さい。

これは系属校3校の影響が大きいが、3校を除いても傾向は消えない。

県 校数 計 明治大 青山学院大 立教大 中央大 法政大
埼玉 30校 1,023 25.4% 11.4% 24.2% 19.8% 19.1%
千葉 29校 640 23.9% 12.0% 21.7% 19.2% 23.1%
神奈川 50校 1,138 24.6% 22.8% 16.4% 18.9% 17.3%

系属校を外しても、立教大の比率は埼玉24.2%に対し神奈川16.4%、青山学院大は神奈川22.8%に対し埼玉11.4%・千葉12.0%と、2倍前後の差が残る。同じ構成比を公立117校で計算しても同じ方向を向いている。

県 計 明治大 青山学院大 立教大 中央大 法政大
埼玉 1,085 301
27.7%
123
11.3%
252
23.2%
190
17.5%
219
20.2%
千葉 1,041 295
28.3%
107
10.3%
200
19.2%
140
13.4%
299
28.7%
神奈川 1,179 352
29.9%
288
24.4%
115
9.8%
196
16.6%
228
19.3%

公立では、埼玉の立教大23.2%に対し神奈川は9.8%、神奈川の青山学院大24.4%に対し埼玉11.3%・千葉10.3%。千葉は法政大28.7%が最大で、私立・公立どちらでも法政大の比率が高い。設置者を問わず県単位で同じ偏りが出る以上、学校の進路指導というより通学圏の影響と考えるのが自然だろう。

実際、立教大は東京・池袋に加えて埼玉県新座市北野に新座キャンパスを、青山学院大は東京・渋谷の青山キャンパスに加えて神奈川県相模原市中央区淵野辺に相模原キャンパスを置く。いずれも大学公式サイトで確認できる所在地である。中学受験の段階で大学名だけを見て志望校を決めると、6年後に通学時間という現実的な条件が効いてくることは意識しておきたい。

合格者数と現役進学者数は3〜6倍ちがう

この表を学校案内と並べて読むときに最も誤解が生じるのが、合格者数との差である。学校公式サイトで現役・既卒を分けて合格者数を公表している2校で突き合わせてみる。

大学 山手学院 現役合格 山手学院 現役進学 専修大学松戸 現役合格 専修大学松戸 現役進学
明治大 178 34 62 12
青山学院大 96 21 24 9
立教大 79 13 51 25
中央大 65 11 40 15
法政大 93 8 45 12
合計 511 87 222 73

山手学院中学校・高等学校は2026年度の大学合格者数を5月7日現在で公表しており、カッコ内が既卒生である。明治大193名(うち既卒15)、青山学院大103名(7)、立教大85名(6)、中央大71名(6)、法政大101名(8)。既卒を差し引いた現役合格は計511名だが、大学通信の現役進学者は87名で、5.9倍の差がある。卒業生は443名なので、一人あたり1件以上のMARCH合格を積み上げている計算になる。

専修大学松戸中学校・高等学校は令和8年度(2026年度)入試で明治大75(現役62)、青山学院大25(24)、立教大56(51)、中央大46(40)、法政大52(45)を公表しており、GMARCH合計は276(現役242)。MARCH5大学の現役合格222名に対し現役進学は73名で3.0倍である。大学別に見ると立教大は現役合格51名に対し進学25名(49.0%)と歩留まりが高く、明治大は62名に対し12名(19.4%)と低い。合格しても進学先に選ばれるとは限らないことが数字に出ている。

卒業生数そのものの照合もできる。大宮開成高等学校は進路実績ページで「令和7年度 卒業生591名(一貫部83名,高校部508名)」と記しており、大学通信の卒業生591人と一致する。同校は難関私立10大学の合格を1,243名と掲げているが、これは既卒を含む延べ合格者数であり、現役進学138人とは別の指標である。

表に名前がない学校をどう読むか

この集計はアンケート回答が前提なので、実績のある学校が載っていないことがある。3県の表で見当たらない主な私立は次のとおりである。

大学通信自身が「掲載した人数よりも実際の進学者が多い場合や、一部未集計・未回答の場合があり、空欄は0人とは限らない」と注記している。掲載がないことは実績がないことを意味しない。東京版でも麻布など複数の難関校が同じ理由で表に載っていなかった。

逆に、掲載されていて数字が小さい学校の読み方も注意がいる。渋谷教育学園幕張中学校・高等学校は卒業生352人に対しMARCH現役進学9人(2.6%)、栄光学園中学校は179人に対し2人(1.1%)、浅野中学校は281人に対し18人(6.4%)である。これはMARCHに受からないのではなく、国公立大や早慶へ進んでいるためで、同じ大学通信の「2026年難関10国立大現役進学者数」「2026年早慶上理現役進学者数」と併せて読む必要がある。東邦大学付属東邦中学校・高等学校の14人、市川中学校・高等学校の27人も同じ文脈で理解したい。

中学受験の学校選びにどう使うか

この表を志望校選びに生かすなら、次の3点を押さえておきたい。

  1. 系属校は「進学先が決まっている学校」として別枠で考える。中央大学附属横浜・立教新座・法政大学国際の進学率76〜84%は、進路指導の成果というより制度の設計である。その大学に進みたいかどうかが入学判断の中心になる。
  2. 合格者数ではなく進学者数で学校を比べる。同じ「MARCH」の数字でも定義が違えば3〜6倍ずれる。学校説明会で数字を見たら、現役か既卒込みか、合格か進学かを必ず確認したい。
  3. MARCH進学者が少ない=実績が低い、ではない。難関校ほどこの表の数字は小さくなる。難関10国立大や早慶上理の表と3枚セットで見て、はじめて進路の全体像が分かる。

加えて、3県の私立112校のうち5大学すべてに現役進学者を出したのは71校。進学先が特定の大学に偏らない学校が多数派であることも、合わせて知っておくとよい。

今後のスケジュール

大学合格実績まわりの情報は、次のサイクルで更新される。

時期 更新される情報
11月〜12月 各校の2027年度入試要項が出そろう。説明会では2026年春の進路実績が配布資料として示される
2027年1月〜2月 埼玉・千葉・神奈川の中学入試本番。多くの学校が入試期間中も進路実績ページを掲載したまま運用する
2027年3月〜5月 2027年春の大学合格者数を各校が順次公表。現役・既卒の内訳が出るのはこの時期
2027年7月31日時点 大学通信の次回集計の基準日。例年8月下旬に県別の表が公開される

学校説明会で配られる実績は3月〜5月の速報値であることが多く、確定値と数名ずれることがある。公式サイトの「◯年◯月◯日現在」という但し書きを確認する習慣をつけたい。

よくある質問

なぜ難関校ほどMARCHの進学者数が少ないのですか

この表が現役進学者数だからです。難関校の受験生はMARCHにも合格しますが、国公立大や早慶上理に合格すればそちらへ進むため、MARCHの進学者として数えられません。渋谷教育学園幕張の9人、栄光学園の2人はこの典型です。学校の実力を見るときは、難関10国立大・早慶上理・MARCHの3つの表を並べて、卒業生数に対する合計の割合で比べるのが実態に近くなります。

系属校に入れば必ずその大学に進学できますか

成績条件があり、全員が進学するわけではありません。立教新座は「推薦を希望した生徒の99%が進学」としていますが、推薦には卒業研究論文の提出、英語・国語その他の科目の能力認定、出欠状況など8項目の基準があります。また同校は例年約20%の生徒が他大学進学を目指しており、高校2年から他大学進学クラスに入ると推薦権を放棄することになります(高3の11月下旬までは取り消し可能)。中央大学附属横浜は、中央大に設置のない学部や国公立大であれば内部推薦の権利を保持したまま併願受験ができる制度を設けています。

表に載っていない学校は実績が悪いということですか

違います。この集計は各高校へのアンケートに基づくもので、未回答・未集計の学校は掲載されません。神奈川の聖光学院や桐光学園、埼玉の西武学園文理などは3県の表に見当たりませんが、それは実績の有無とは無関係です。大学通信も「空欄は0人とは限らない」と注記しています。気になる学校については、各校公式サイトの進路実績ページで現役・既卒の内訳まで確認するのが確実です。

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出典

最終更新: 2026年11月3日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)

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