中学受験の出願がまもなく始まるこの時期、志望校を絞り込む保護者が最後に気にするのが「入ったあと、6年後にどこへ進むのか」です。大学通信が2026年8月17日に公表した「2026年難関10国立大現役進学者数【東京】」によると、東京都の私立高校では開成中学校が181人で最多、続いて海城中学校80人、桜蔭中学校71人、渋谷教育学園渋谷中学校61人という結果でした。

この調査の特徴は、よく目にする「合格者数」ではなく実際にその大学へ進んだ「現役進学者数」を集計している点にあります。合格実績は1人が複数の大学に合格すれば重複して数えられますが、進学者数は1人につき1校です。東京都では私立96校・公立35校・国立3校の計134校が掲載され、合計2,118人が10大学のいずれかへ現役で進学しました。

この記事では、東京の私立96校の数字を整理したうえで、各校が自校サイトで公表している合格者数と突き合わせ、「合格」と「進学」がどれだけ違うのかを確認します。さらに都立中高一貫校との比較、そして表に名前が載っていない学校の読み方まで扱います。数値はすべて出典時点の公表値です。

この調査の読み方 ― 「合格者数」ではなく「現役進学者数」

大学通信は全国約4,300校を対象に進学状況のアンケートを行い、回答のあった高校について東京大・京都大・北海道大・東北大・名古屋大・大阪大・九州大・東京科学大・一橋大・神戸大の10大学への現役進学者数を集計しています。数字は一般選抜・学校推薦型選抜・総合型選抜・系列校の内部進学を含む全入試枠の合計で、2026年7月31日現在の判明分です。

読むうえで押さえておきたい前提が3つあります。

  • 空欄は0人とは限らない。一部未集計・未回答の学校があり、掲載した人数より実際の進学者が多い場合があります。
  • 浪人(既卒)は入らない。現役進学者だけの集計なので、浪人してから難関大に入る生徒が多い学校は数字が小さく出ます。
  • 進学率は卒業生数で割った値。卒業生が多い大規模校は、同じ人数でも進学率が低く見えます。

つまりこの表は「どの学校が強いか」のランキングというより、その学校を出た生徒が現役でどこへ進んでいるかの実測値として見るのが適切です。

東京の私立 現役進学者数ランキング(上位26校)

私立96校を現役進学者数の合計で並べると、上位は次のとおりです。「率」は卒業生に占める10大学への現役進学者の割合です。

順位 学校 卒業生数 現役進学者数 率 東京大 東京科学大 一橋大
1 開成中学校 412 181 43.9% 143 20 8
2 海城中学校 313 80 25.6% 42 10 7
3 桜蔭中学校 218 71 32.6% 54 7 2
4 渋谷教育学園渋谷中学校 200 61 30.5% 34 9 9
5 本郷中学校 284 55 19.4% 20 8 5
6 武蔵中学校 171 53 31.0% 21 9 4
7 女子学院中学校 215 52 24.2% 25 11 5
8 早稲田中学校 316 50 15.8% 29 12 2
9 駒場東邦中学校 228 49 21.5% 27 7 8
10 芝中学校 287 47 16.4% 18 5 3
11 豊島岡女子学園中学校 240 44 18.3% 17 14 2
12 城北中学校 330 41 12.4% 6 5 6
13 巣鴨中学校 270 39 14.4% 11 4 5
14 広尾学園中学校 299 39 13.0% 7 17 6
15 桐朋中学校 322 38 11.8% 10 7 7
16 攻玉社中学校 228 33 14.5% 14 3 1
17 吉祥女子中学校 232 32 13.8% 6 12 4
18 世田谷学園中学校 203 27 13.3% 5 6 2
19 鴎友学園女子中学校 248 26 10.5% 4 7 2
20 東京都市大学付属中学校 225 24 10.7% 9 3 2
21 朋優学院高等学校 360 21 5.8% 1 3 3
22 東京農業大学第一中等部 310 20 6.5% 2 2 2
23 雙葉中学校 174 19 10.9% 7 6 2
24 三田国際学園中学校(現・三田国際科学学園) 197 15 7.6% 5 3
25 国際基督教大学高等学校 241 14 5.8% 2 3 3
26 安田学園中学校 493 14 2.8% 5 4

私立96校の合計は1,390人(卒業生26,129人・率5.3%)。大学別では東京大556人、東京科学大255人、一橋大129人で、この首都圏3大学だけで940人=全体の67.6%を占めます。一方、京都大84人・大阪大32人・神戸大16人の関西3大学は合計132人(9.5%)にとどまります。

見落とされやすいのが北海道大134人・東北大132人で、両校を合わせた266人は一橋大の129人を上回ります。名古屋大17人・九州大35人は少なく、東京の受験生の進路が「首都圏+北日本」に寄っていることが読み取れます。

進学率で見ると順位が変わる

人数ではなく卒業生に対する割合で並べ替えると、卒業生数の少ない学校が上がってきます。

順位 学校 卒業生数 現役進学者数 率
1 開成中学校 412 181 43.9%
2 桜蔭中学校 218 71 32.6%
3 武蔵中学校 171 53 31.0%
4 渋谷教育学園渋谷中学校 200 61 30.5%
5 海城中学校 313 80 25.6%
6 女子学院中学校 215 52 24.2%
7 駒場東邦中学校 228 49 21.5%
8 本郷中学校 284 55 19.4%
9 豊島岡女子学園中学校 240 44 18.3%
10 芝中学校 287 47 16.4%
11 早稲田中学校 316 50 15.8%
12 攻玉社中学校 228 33 14.5%

開成中学校は人数(181人)でも率(43.9%)でも1位ですが、2位以下は入れ替わります。卒業生171人の武蔵中学校は人数では6位ながら率は31.0%で3位、卒業生200人の渋谷教育学園渋谷中学校は30.5%で4位です。逆に早稲田中学校(卒業生316人・50人・15.8%)や城北中学校(330人・41人・12.4%)のような1学年300人規模の学校は、人数が多くても率では中位になります。学年の規模が違う学校を人数だけで比べると見誤ります。

同じことは上位26校に入らなかった学校にも言えます。卒業生155人の白百合学園中学校は11人・7.1%、卒業生210人の頌栄女子学院中学校は13人・6.2%で、人数では26位までに届きませんが、率で並べるとそれぞれ96校中23位・26位と上位3割に入ります。

東大以外も見る ― 東京科学大・一橋大に強い学校

10大学のうち東京大は556人で私立全体の40.0%を占めますが、残り6割は別の大学です。とくに東京科学大(旧・東京工業大+東京医科歯科大)と一橋大は都内から通える国立大として実数が大きく、学校ごとの顔ぶれも変わります。

東京科学大への現役進学者が多い私立

学校 東京科学大 現役進学者数合計
開成中学校 20 181
広尾学園中学校 17 39
豊島岡女子学園中学校 14 44
吉祥女子中学校 12 32
早稲田中学校 12 50
女子学院中学校 11 52
海城中学校 10 80
渋谷教育学園渋谷中学校 9 61

開成中学校の20人に次ぐのが広尾学園中学校の17人で、同校は10大学合計39人のうち4割以上が東京科学大です。豊島岡女子学園中学校14人、吉祥女子中学校12人と女子校が続くのも特徴で、理系志向の強さが数字に出ています。

一橋大への現役進学者が多い私立

学校 一橋大 現役進学者数合計
渋谷教育学園渋谷中学校 9 61
開成中学校 8 181
駒場東邦中学校 8 49
海城中学校 7 80
桐朋中学校 7 38
城北中学校 6 41
広尾学園中学校 6 39
女子学院中学校 5 52

一橋大では渋谷教育学園渋谷中学校の9人が最多で、開成中学校・駒場東邦中学校が各8人、海城中学校・桐朋中学校が各7人と続きます。城北中学校6人・広尾学園中学校6人は東京大の人数(それぞれ6人・7人)とほぼ同数で、学校によっては一橋大が東京大と並ぶ主要進学先になっています。

10大学すべてに現役進学者を出した学校

今回の表で、東京の私立96校のうち10大学すべてに現役進学者を出したのは城北中学校(1校のみ)でした。内訳は東京大6人、京都大3人、北海道大5人、東北大9人、名古屋大1人、大阪大1人、九州大3人、東京科学大5人、一橋大6人、神戸大2人の計41人です。

9大学に進学者がいたのは芝中学校・攻玉社中学校・世田谷学園中学校・鴎友学園女子中学校・朋優学院高等学校の5校。上位校ほど首都圏の大学に集中しがちななかで、これらの学校は全国の旧帝大に生徒が散っていることになります。寮や下宿を伴う地方進学を学校が後押ししているかどうかは、説明会で確認する価値のあるポイントです。

「合格者数」と「現役進学者数」はどれだけ違うのか

各校が自校サイトで公表しているのは多くが「合格者数」です。同じ2026年春の実績を並べると、差の出方がわかります。

学校 大学 学校公表の合格者数 うち現役 現役進学者数(大学通信)
開成中学校 東京大 198 143 143
開成中学校 東京科学大 25 21 20
開成中学校 一橋大 11 9 8
海城中学校 東京大 46 42 42
海城中学校 京都大 9 7 7
海城中学校 東京科学大 13 10 10
豊島岡女子学園中学校 東京大 21 17 17
豊島岡女子学園中学校 東京科学大 16 15 14
豊島岡女子学園中学校 北海道大 7 6 4
攻玉社中学校 東京大 15 14 14
攻玉社中学校 東北大 4 4 3
本郷中学校 東京大 23 非公表 20
桜蔭中学校 東京大 62 非公表 54
武蔵中学校 東京大 非公表 非公表 21

開成中学校は合格者数と進学者数の両方を公表している数少ない学校です。2026年度の東京大は合格198人(現役143人・既卒55人)で、進学者数も198人(現役143人)と完全に一致しています。一方で東京科学大は現役合格21人に対し現役進学20人、一橋大は現役合格9人に対し現役進学8人と、合格しても進学しない生徒がいます。

差が大きいのは桜蔭中学校です。同校が公表した2026年の東京大合格者は62人ですが、これは既卒生を含む数字で、現役進学者数は54人。豊島岡女子学園中学校の北海道大は合格7人(現役6人)に対し現役進学4人で、合格しても別の大学を選んだ生徒がいることがわかります。

武蔵中学校は「合格者数は公表しておりません」と明記し、進学者数だけを公表する方針です。同校が公表した2026年の現役進学者は東京大21人・京都大10人・東京科学大9人で、大学通信の表の数字(それぞれ21人・10人・9人)と一致します。学校が出す数字の定義は一様ではないため、他校と比べるときは「合格か進学か」「現役のみか既卒込みか」をそろえる必要があります。

表に名前がない学校もある ― 麻布のケース

今回の東京の表には、麻布中学校の名前がありません。これは進学者がいないという意味ではなく、冒頭で触れたとおりアンケートに回答していない学校や未集計の学校が表に載らないためです。実際、同校が公表した2026年の大学合格者数は東京大77人(うち現役58人)、京都大12人(同7人)、東京科学大17人(同13人)、一橋大9人(同7人)、北海道大8人(同7人)でした。

国立でも、今回掲載されているのは筑波大学附属駒場・東京学芸大学附属・東京科学大学附属科学技術の3校のみで、筑波大学附属は表にありません。この種の一覧で名前を見つけられなくても、学校の実績が低いとは限らないのは中学受験の学校選びで知っておきたい点です。気になる学校は、必ず学校公式サイトの進路ページを直接確認してください。

なお掲載された国立3校のうち、筑波大学附属駒場は卒業生158人に対し現役進学77人・進学率48.7%で、東京都内の全134校を通じて最も高い進学率でした(東京大67人)。東京学芸大学附属は卒業生303人・32人・10.6%です。

都立中高一貫校と比べるとどうか

中学受験で私立と併願されることの多い都立中高一貫校も、同じ表の公立欄に掲載されています。

学校 卒業生数 現役進学者数 率 東京大
小石川中等教育学校 152 45 29.6% 20
都立武蔵高等学校附属中学校 109 26 23.9% 6
桜修館中等教育学校 148 23 15.5% 4
三鷹中等教育学校 151 22 14.6% 8
南多摩中等教育学校 146 21 14.4% 3
都立両国高等学校附属中学校 109 13 11.9% 4
九段中等教育学校 148 13 8.8% 2
都立白鷗高等学校附属中学校 130 7 5.4% 2
立川国際中等教育学校 138 7 5.1%

小石川中等教育学校の進学率29.6%は、私立96校のうち開成中学校・桜蔭中学校・武蔵中学校・渋谷教育学園渋谷中学校の4校しか上回っていません。都立武蔵高等学校附属中学校の23.9%も海城中学校(25.6%)に迫る水準です。一方で立川国際中等教育学校は5.1%、都立白鷗高等学校附属中学校は5.4%と幅があり、「都立中高一貫校」をひとまとめにして語れないことがわかります。

公立全体では35校・現役進学618人(卒業生8,590人・率7.2%)で、率としては私立96校の5.3%を上回ります。ただし公立側は日比谷など表に掲載のない学校があり、都立西(90人・29.3%)や都立国立(64人・20.1%)のような高校募集のみの進学校が平均を押し上げている点に注意が必要です。

保護者・受験生への影響と対策

この数字を学校選びに使うときの注意点を整理します。

  1. 6年後の数字ではなく、6年前に入学した世代の結果です。2026年春に卒業したのは2020年度に入学した生徒で、いま受験する子の結果が出るのは2033年春です。コース新設や共学化の直後は、数字が実態に追いついていません。
  2. 医学部医学科の志向が強い学校は低く出ます。10大学に含まれるのは旧帝大などの医学部だけで、私立医科大学や地方国立大の医学部は数に入りません。医学部実績を売りにする学校は、別に医学部進学者数を確認してください。
  3. 浪人を前提にする学校は低く出ます。現役のみの集計なので、既卒で難関大に入る層は反映されません。学校公表の「現役・既卒別」の合格者数と併せて見ると実像に近づきます。
  4. 規模の違う学校は率で比べる。1学年400人の学校と170人の学校を人数だけで比べても意味がありません。
  5. 進学先の「散らばり」も見る。同じ40人でも、東京大中心の学校と全国の旧帝大に分散している学校では校風も進路指導も違います。

秋から冬の学校説明会では、合格実績のスライドが必ず出てきます。そのとき「これは合格者数ですか、進学者数ですか」「現役だけですか」と質問できると、各校の数字を同じ土俵で比べられます。学校ごとの偏差値・入試日程・学費と合わせて検討してください。

今後のスケジュール

時期 内容
2026年8月17日 大学通信が「2026年難関10国立大現役進学者数」を地域別に公表(東京・関東ほか)
2026年10月下旬〜 教育メディアが都県別に記事化(10月29日に千葉県公立、10月30日に千葉県私立)
2026年12月〜2027年1月 2027年度中学入試の出願(埼玉1月10日〜、千葉1月20日〜、東京・神奈川2月1日〜が試験日)
2027年4〜5月 各校が2027年春の大学合格実績・進路状況を公表
2027年夏 大学通信が2027年の現役進学者数を集計・公表(次回の更新)

学校公式の進路ページは4月下旬から5月にかけて更新されます。2027年度入試で受験する学校については、出願前の12月時点で見られるのは2026年春までの実績である点を踏まえて判断してください。

よくある質問

「合格者数」と「現役進学者数」は、どちらを見ればよいですか

学校の指導力を人数の規模で見たいなら合格者数、実際の進路を知りたいなら現役進学者数です。合格者数は1人が複数大学に合格すると重複して数えられ、既卒生(浪人)を含むのが一般的なので、数字は大きく出ます。進学者数は1人1校なので重複がありません。同じ学校の両方を並べると、たとえば開成の東京大は合格198人に対し進学も198人、桜蔭は合格62人に対し現役進学54人という違いが見えます。

志望校が表に載っていません。進学者がゼロということですか

いいえ。大学通信はアンケートに回答のあった高校を掲載しており、未回答・未集計の学校は表に載りません。表の注記にも「空欄は0人とは限らない」と明記されています。実際、東京では麻布や筑波大学附属が掲載されていませんが、麻布は自校サイトで2026年の東京大合格77人(現役58人)を公表しています。気になる学校は、学校公式サイトの進路・進学実績ページで直接確認してください。

進学率が高い学校を選べば、わが子も難関大に行けますか

進学率は入学時の学力層や各家庭の進路志向を大きく反映します。同じ学校でも、医学部志望が多い年、海外大志望が多い年、浪人してでも第一志望を狙う層が多い年で数字は動きます。また表の数字は6年前に入学した世代の結果であり、いまの指導体制をそのまま示すものではありません。進学率は候補を絞る材料の一つとして使い、通学時間・校風・入試科目との相性・6年間の費用と合わせて判断するのが現実的です。

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出典

最終更新: 2026年10月31日。掲載内容は出典時点の公表情報に基づきます。最新の募集要項は各校公式サイトで必ずご確認ください。

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合格之助(中村先生)
合格之助(中村先生)

中学受験専門塾で長年、受験生と保護者の進路相談を担当している中村です。偏差値・倍率・過去問傾向・学校ごとの出題特徴をもとに、志望校選びをわかりやすくサポートしています。

特に得意なのは、単に偏差値だけで学校を判断するのではなく、
「倍率」「受験者数の推移」「合格可能性」「併願パターン」まで含めて、一人ひとりに合った本当に狙いやすい学校を見つけることです。